ノスフェラトゥの紹介:1978年西ドイツ,フランス映画。F・W・ムルナウのサイレント映画の名作「吸血鬼ノスフェラトゥ」をリメイク。監督のヘルツォークはわざとオリジナルと同じような白塗りのメーキャップを使い、ハリウッドやイギリスのドラキュラものとは違ったホラー映画に仕上げている。
監督:ヴェルナー・ヘルツォーク 出演:イザベル・アジャーニ(ルーシー・ハーカー)、クラウス・キンスキー(ドラキュラ伯爵)、ブルーノ・ガンツ、ローランド・トパー、ほか
映画「ノスフェラトゥ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ノスフェラトゥ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ノスフェラトゥ」解説
この解説記事には映画「ノスフェラトゥ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ノスフェラトゥのネタバレあらすじ:起
悪夢のせいで目覚めるルーシー。彼女は不動産業者ジョナサン・ハーカーの妻です。今ジョナサンはトランシルヴァニアへ出張中。ドラキュラ伯爵という人物から住居購入の相談があり、わざわざブレーメンから出向いたのです。ドラキュラの館にゆこうとするのですが、どの馬車も行き先を知ると断ります。仕方なくジョナサンは徒歩で出発。途中で拾った馬車でようやくたどり着きますが、面会したドラキュラは異様な風体です。白い顔、髪の毛のない頭、長く伸びた爪。おまけに口からは牙のようなものがのぞいています。しかし、大金を払ってくれる顧客として、ジョナサンは何も言わず丁寧に接し、ドラキュラも貴族らしい慇懃さで彼をもてなします。
ノスフェラトゥのネタバレあらすじ:承
食事の最中、指を切ってしまうジョナサン。その血を吸うドラキュラ。これにはさすがにジョナサンも度肝を抜かれます。やがて契約書にサイン。その際、ジョナサンが首に下げているペンダントの中の写真をドラキュラは見ます。そこに写っていたのは妻のルーシーでした。心動かされた様子のドラキュラ。館に宿泊するうち、ますます顧客に不審を感じたジョナサンはやがてドラキュラに襲われ、血を吸われます。その一方、遠く離れた夫の危機に感応したルーシーは街を彷徨い、虚ろな表情。
ノスフェラトゥのネタバレあらすじ:転
いよいよドラキュラは昼間寝るための棺桶を用意し、それを帆船に積みこませます。船底に隠れながらのブレーメンへの旅。ジョナサンは吸血鬼へ変わりかけながらも、その跡を追います。帆船上では病気のため船員が次々に死亡。ドラキュラだけとなります。船が着くと町も汚染。通りにはネズミに溢れ、ペストが広まります。ジョナサンもようやくブレーメンに着きますが吸血鬼への変化が進み、ルーシーに会っても妻だとはわかりません。やがてルーシーのもとにドラキュラが姿を見せます。彼女はジョナサンの日記でドラキュラの事を知り、対策を講じます。資料によると、彼は十字架、聖餅を嫌い、日を浴びると絶命するはずです。
ノスフェラトゥの結末
ある夜、ルーシーはドラキュラを自分の部屋に導き入れます。彼を引き止めているうちにやがて朝が来ました。倒れるドラキュラ。そこへ駆けつけた協力者の医師が十字架を打ち込みます。妖鬼は去りました。しかしその時、夫のジョナサンが新しく吸血鬼となっていたのです。
「ノスフェラトゥ」感想・レビュー
-
この映画「ノスフェラトゥ」はタイトルでも分かるように、世界で最初の吸血鬼映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」のリメイク作品だ。
導入部から展開、そして結末に至るまで、呆れるほど忠実に再現している。
カメラアングルさえも、同じではないかと笑ってしまうくらいだ。いかにオリジナルの作品が偉大であるかを証明するような作品なのだが、それでも何か所か、とてつもなく怖く、素晴らしい場面が、新たに挿入されている。
こんなリメイクなら、オリジナル版のF・W・ムルナウ監督も、きっと喜ぶに違いない。
ドラキュラの餌食となる娘が、イザベル・アジャーニだけに、遥かに魅惑的でもある。
古い映画は苦手でという人は、とりあえずこの作品で恐怖の夜を楽しむのもいいかも知れません。
ムルナウそのままのドラキュラ伯爵が登場しますが、オリジナルにあるような特殊撮影(早回しや白黒反転など)はありません。全編を通して美しい薄闇とゆったりとした時間に覆われ、ヘルツォーク作品ならではの壮大な雰囲気の中で物語は淡々と進みます。ペストで荒廃した街角で優雅に食事を取る人々のシーンが印象的です。