神々と男たちの紹介:2010年フランス映画。アルジェリア山間部の僧院で、フランス人修道士たちは地元のイスラム教徒たちと平穏な毎日をおくっていた。しかしアルジェリア軍と原理主義者による内戦が激化し、彼らの周囲にも暴力の影が忍び寄り始める。修道院はアルジェリア政府軍と過激派の抗争に巻き込まれ、ついにはフランス人修道士7人が原理主義者側に誘拐され、監禁の後殺害されてしまう。1996年に起こった『ティビリヌの修道士殺害事件』を題材にしたドラマ。第63回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞作。
監督:グザビエ・ボーボワ 出演者:ランバート・ウィルソン (クリスチャン)、マイケル・ロンズデール(リュック)、オリビエ・ラブルダン(クリストフ)、ロイック・ピション(ジャンピエール)、オリヴィエ・ペリエ(ブリュノ)ほか
映画「神々と男たち」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「神々と男たち」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
神々と男たちの予告編 動画
映画「神々と男たち」解説
この解説記事には映画「神々と男たち」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
神々と男たちのネタバレあらすじ:起
1996年、北アフリカ大陸の国家・アルジェリアの北西部、アトラス山脈にあるカトリックのアトラス修道院。そこには、村人の生活に融けこみながら生活していました。修道院長・クリスチャンを始めとするフランス人修道士とと医師たち8人が共同生活を送っていました。戒律を厳格に守りつつ、村の生活に溶け込んでいました。修道士の1人、リュックは医者でもあり、修道院内にある村で唯一の診療所でも診察を行っていました。
神々と男たちのネタバレあらすじ:承
当時のアルジェリアは、政府軍と武装イスラム集団との内戦が続いていました。武装集団による市民虐殺やテロ行為は日を追うごとに増え、修道士たちもいつ襲われるか判らない状況です。そして、ある日修道院から20キロも離れていない場所でクロアチア人12人が殺害される事件が起こります。犯人はクロアチア人をイスラム教徒とキリスト教徒とに分け、キリスト教徒を殺害します。武装イスラム集団の勢力は、もう近くまで迫っていました。
とうとう、クリスマスイブの夜に数名の武装イスラム集団が修道院に押し入ります。武装集団はリュックを銃で脅しながら、負傷者の手当てと医薬品の提供だけでなく、医師であるリュックまで連れ出そうとします。しかしクリスチャンはリュックは高齢で病気がちのため外出はできず、医薬品も欠乏しており分けることはできないと毅然な態度で拒否しました。
そしてこの日から村にも武装イスラム集団やゲリラがひんぱんに現れるようになります。協力を断った住民は首をはねられ、政府職員も拷問の末に惨殺される事件が多発しました。
修道士たちが狙われるのももはや時間の問題でした。アルジェリアを去るべきか否か、会合が行われます。各自の意見はまとまらず、8人の修道士のうち、3人は留まる、3人は去る、1人はまだ分からないという意思を表明します。クリスチャンも、結論を出すのはまだ早いと考えていました。
神々と男たちのネタバレあらすじ:転
その頃、クリスチャンは地元の役所に呼び出されます。フランスの内務省から大使館に修道士たちの帰国命令が出ていたのです。もはやアルジェリアに留まれないと思いながらも、クリスチャンは村の信者たちに自分たちに帰国命令が出ていることを伝えます。しかし「小鳥のような住民にとって修道士達は枝であり、樹がなくなれば小鳥は生きることもできない」留まる事を懇願されます。
また、アルジェリアの政府当局者から政府軍が修道院の警備を行うことを提案されますが、クリスチャンは神の居る場に武器を持つものが入ってはならない、と断りました。
そしてクリスチャンは「今から採決しよう。私たち全員の意志が一つかどうか」と最後の会合を開き、再び修道士全員の意見を求めます。議論を繰り返して彼らが出した結論は、この地に留まる事でした。神を信じるなら暴力に屈しないという考えに至り、フランス内務省からの帰国命令も無視する決断をします。
修道院内ではラジカセから「白鳥の湖」が流れる中、最後の晩餐がはじまります。修道院からもう一人の修道士を迎え、赤ワインを飲み束の間のおだやかな時間を過ごします。住民の死や戦闘に巻き込まれ、自らの命を狙われた時の恐怖を乗り越えた彼らに、もはや苦悩はありませんでした。武器を持たない彼らがテロリストに対抗する手段は、信仰と聖歌だけだったのです。
神々と男たちの結末
そしてとうとう最後の日が訪れます。ある雪の夜、武装イスラム集団が修道院を襲いました。寝間着姿のまま、修道士達はゲリラ達に誘拐され、山に入っていきます。幸運にも、ジャン=ピエールとアメデの2人は、修道院ではない場所で就寝していたため、襲撃から逃れていました。 山の斜面を登る修道士たちはおぼつかない足取りですが、その表情は絶望もあきらめも浮かんでいません。やがて修道士たちの姿が見えなくなり、あとには雪が降りしきるのみでした。
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