ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカの紹介:1984年アメリカ映画。1920年代にニューヨークで友情を結んだユダヤ人の少年たちが暗黒街でのしあがっていく。彼らの40年にわたる、友情と裏切りと喪失の物語。10年以上の構想の末に完成し1984年にカンヌ映画祭において上映時間3時間49分版でプレミア上映されたこの作品がセルジオ・レオーネ監督の遺作となった。音楽は『荒野の用心棒』以来のレオーネの協力者であるエンニオ・モリコーネ。マーティン・スコセッシ監督が設立した「フィルム・ファンデーション」がイタリアのブランドGUCCIのサポートによって2012年に修復した、レオーネの本来意図した形にいっそう近い4時間11分版が、2019年に「午前十時の映画祭9」の1本として日本各地で延べ4週間上映される。
監督:セルジオ・レオーネ 出演者:ロバート・デ・ニーロ(ヌードルス)、ジェームズ・ウッズ(マックス)、エリザベス・マクガヴァン(デボラ)、チューズデイ・ウェルド(キャロル)その他
映画「ワンスアポンアタイムインアメリカ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ワンスアポンアタイムインアメリカ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ワンスアポンアタイムインアメリカの予告編 動画
映画「ワンスアポンアタイムインアメリカ」解説
この解説記事には映画「ワンスアポンアタイムインアメリカ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ワンスアポンアタイムインアメリカのネタバレあらすじ:ヌードルスの帰還
1933年、間もなく禁酒法は廃止されようとしていた。ニューヨークで、3人のギャング、マックス、パッツィー、コックアイが密造酒の運搬中に、密告により警察に射殺された。組織は密告者ヌードルスを捜す。ヌードルスの情婦イヴを殺した後、もぐり酒場の支配人だったファット・モーに過酷な拷問をしてヌードルスが影絵劇場の裏のアヘン窟にいることを聞き出す。アヘンで心地よい夢を見ていたヌードルスだが、辛うじて捜索前にアヘン窟を出る。ファットのいるオフィスに張り付いていた男を殺して、駅の手荷物預かり所のロッカーのカギを持ち出す。ロッカーには彼と殺された3人の仲間が長年ためた大金が入っているはずだった。だが、ロッカーの中のカバンに入っているのは古新聞だけだった。
35年の月日が流れた。逃亡を続けていたヌードルスはニューヨークの彼が生まれ育った一角に帰って来た。最近何者かがユダヤ人墓地の売却による改葬について知らせる手紙を偽名で暮らすヌードルスによこしたからだ。ファット・モーは昔と同じ場所で安レストランを経営している。どうやら仲間の金を奪ったのは彼ではない。そして手紙を出したのもファットではなかった。ファットの店に泊まることになったヌードルスは少年時代と変わらない建物の中を歩き、トイレの壁の昔と同じ穴から隣の物置をのぞく。
ワンスアポンアタイムインアメリカのネタバレあらすじ:ユダヤ人の不良少年たち
1920年代、ファットの家はロウアー・イースト・サイドのユダヤ人向けの大はやりのレストランだった。そのトイレの壁の穴からヌードルスはファットの妹で女優志望のデボラがダンスの練習をするのをのぞいていたものだった。ヌードルス、パッツィー、コックアイ、ドミニクは地元のチンピラであるバグジーの下請け仕事をする不良グループだった。ブロンクスから引っ越してきたマックスがそれに加わったことで、彼らはバグジーから自立するという野望をもつようになる。
過ぎ越しの祭の日、レストランで留守番をしているデボラとキスすることにヌードルスは成功するが、それをマックスがのぞいていた。ヌードルスとマックスはけんかになるが、そこに現れたバグジーの一味に、ヌードルスたちが独自にビジネスを始めたことへの制裁を受ける。だが、それにこりず、ヌードルスたちは警察に押収されて川に捨てられた密造酒の積み荷を回収するアイデアをギャングのボスに売り込んで成功する。駅の手荷物預かり所のロッカーを借り、これからは稼ぎの半分を5人の共同資金としてそこにため、ロッカーのカギはファットに託すことにした。だが、その直後に悲劇が起こる。バグジーがピストルをもって襲いかかりドミニクが射殺される。他の三人はしり込みするがヌードルスはバグジーをナイフで刺し殺し、止めに入った警官も刺してしまい刑務所行きとなる。
1968年、マックス、パッツィー、コックアイは誰かの手で立派な霊廟に移葬されていた。その中でヌードルスはなんと「霊廟がヌードルスに建立された」という銘文を見る。銘文の下には手荷物取扱所のロッカーの鍵が。ロッカーには「次の仕事の前金」の大金をつめた古いカバンがあった。
ワンスアポンアタイムインアメリカのネタバレあらすじ:デボラを失う
刑務所から出てきたヌードルスをマックスは霊柩車で迎えに来た。ビジネスの隠れ蓑に葬儀社を始めていたのだった。仲間たちは街一番のもぐり酒場を経営していて、ファットが支配人になっている。そしてその夜は、女優の道を歩みパレス劇場に出演中のデボラもヌードルスの出所を祝うために客として来た。
彼らの仕事はもぐり酒場だけではない。デトロイトの大物ギャング、ジョーの依頼で宝石店を襲撃するが、盗んだダイヤモンドを渡すときにジョーとその手下を皆殺しにする。さらに、労働組合に取り入ろうと、組合のリーダー、ジミー・オドネルに貸しを作る。
ヌードルスは海辺のレストランを貸し切ってデボラとデートをする。好きだったのはヌードルスだけだけれど、あなたは私を束縛すると言うデボラ。彼女は女優としてキャリアを追求するため翌日ハリウッドに行く。帰りの自動車の後部座席でヌードルスは拒むデボラを無理やり犯してしまう。後で駅に見送りに行くが彼女と話すことはできなかった。
ワンスアポンアタイムインアメリカのネタバレあらすじ:禁酒法時代の終わり
事業の方針についてマックスとヌードルスは考えが合わなくなってきていた。二人は仲直りするために愛人をともなってフロリダで過ごすが、そこに禁酒法廃止のニュースが届く。もぐり酒場の時代が終わった後何をすべきか。マックスは全米一の警備を誇る連邦準備銀行を襲撃するという夢を打ち明ける。マックスはこの無謀な計画に凝り固まる。キャロル(宝石店襲撃の際ヌードルスにレイプと見せかけてセックスをさせた好色な女店員だったが、ニューヨークの娼館でヌードルスたちと再会してから夫を捨ててマックスの情婦になっていた)は連邦準備銀行襲撃の前に警察に密告してマックスを逮捕させる以外に彼の命を助ける方法はないとヌードルスに話す。
もぐり酒場で禁酒法葬送のパーティーが盛大に開かれた晩、キャロルの提案にしたがいヌードルスは最後の密造酒出荷について警察に電話するが、それが悲劇を呼んでしまった。
ワンスアポンアタイムインアメリカの結末:親友は死んだ
35年後、ヌードルスは年老いたキャロルを福祉施設に訪れる。彼女はマックスが自分の死を願っていて密告を仕向けたのだと解説する。その施設は汚職スキャンダルの渦中の人物、ベイリー商務長官の興した財団の設立で、財団の後援者たちを写した写真の中央にはデボラがいた。そしてその財団からヌードルスにパーティーへの招待状が来ていた。
大女優になったデボラの楽屋にヌードルスが行く。年をとっても輝き続ける彼女を称えた後、ベイリーについて問い詰める。彼女は常識的なことしか答えないがベイリーの愛人であるのに違いない。そして楽屋を出たヌードルスは若い頃のマックスに瓜二つの青年、ベイリーの息子に出くわす。
パーティーの晩、多くの大物がベイリー邸に集うが、ヌードルスだけはベイリーの書斎に行く。ベイリーはマックスだった。35年前に殺されたのは別人で、共同資金を奪ったのも彼だった。正体を偽り富と権力を得た彼が今ヌードルスに依頼する仕事はマックス自身を殺すことだった。彼の証言を恐れる連中に命をとられるよりは友人に借りを返すことを選んだのだ。しかし、ヌードルスは仕事を拒否し、昔親友を助けようとしたが親友は死んだと話してベイリー邸を出る。
邸を出たヌードルスは、彼を追ってきたマックスの姿がゴミを切り刻みながら走る巨大なゴミ回収車が走り去る陰に消えたのを見る。そして陽気な禁酒法時代の人々を乗せた自動車が走り去っていく幻を見る。
「ワンスアポンアタイムインアメリカ」感想・レビュー
-
50長く語る必要はない。「心から感動した」、この一言に尽きる。
-
この作品は完全版を観ないと、話が分からないですよね。そして、1度観ただけでは、理解しきれない箇所もあります。そしてまた考察し始めると、伏線が張られまくっていて、構成が上手いんです。
ジェームズ・ウッズは最近の作品しかほとんど知らなかったので、期待していなかったですが、この作品ではデ・ニーロの相手役として、素晴らしい役作りでした。
どんな俳優にとっても「俺はこの作品で、スターになるんだ」というターニングポイント的な作品があるのですが、彼にとってはまさにこの作品だったと思います。
レオーネ監督、デ・ニーロと共演、そして、脚本もかなり良くできていますから、売れると判断したでしょうね。
ただ、公開当時は配給会社の意向?でずいぶんカットされてしまって、ストーリーが分からなくなってしまって、興行的には失敗してしまいました。 -
なにせ、1900年代初頭にしか見えないニューヨークの景色の再現が、凄すぎますよ。
素晴らしい人生ドラマ。熱い友情が裏切られていくのを見るのは悲しい。激情が胸を襲う。予断をゆるさないストーリー展開、そしてダイナミックなアメリカ社会の歴史の断面。