ワン チャンスの紹介:2013年イギリス映画。自信が持てないために才能をなかなか開花させられないポール。チャンスを逃し続けたどん底から、起死回生のチャレンジの結果は如何に?イギリスのオーディション番組であるブリテンズゴッドタレントに出演し素晴らしい歌声でオペラ歌手となったポールポッツの人生を描いた映画。
監督:デビッド・フランケル 出演者:ジェームズ・コーデン、アレクサンドラ・ローチ、ジュリー・ウォルターズ、コルム・ミーニー、マッケンジー・クルック、バレリア・ビレロ ほか
映画「ワン チャンス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ワン チャンス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ワンチャンスの予告編 動画
映画「ワン チャンス」解説
この解説記事には映画「ワン チャンス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ワンチャンスのネタバレあらすじ:ポールの始めの一歩
ウェールズの聖歌隊でひと際いい声で歌うポールはちょっと太めで、自分で自分の鼓膜を壊してしまうほど声が大きく歌が好き。しかしその体格のせいでマシューを始めとするいじめっ子一派の標的に。
小さな街なので彼らが成長してもその関係は変わらず、ポールのいじめられっ子ポジションは変わらない。父が止めようとしても母のフォローがあり、大好きなオペラを聴きながらの朝食を済まし、仕事先の携帯屋に行くと、今日もマシューが商品に難癖をつけにやってくる。
店長のブラドンに対応を押し付け、バックヤードにこもっていると、ブラドンはいつの間にかポールの携帯電話で、彼が一年もメールのやり取りをしていた女性(推測)に会う約束を取り付けていた。向こうは自分をキャメロン・ディアスに似ていると自称、ポールはブラッド・ピットに似ていると自称していたので、当日鏡の前で髪をセットするものの、いかんせんぽっちゃり体型なので諦める。
待ち合わせの駅に行く途中、花屋が休みだったので、プレゼントになぜか懐中電灯を購入。駅で待っていたのは、すこしふくよかなキャメロン・ディアス、本名はジュルズ。彼女のピザ屋に行く途中で、ポールの母親に遭遇、そのままポールの家で昼食をすることになる。
父親も同席し、ラグビー部時代の自慢話が始まる。歌よりも腕っ節の良さをよしとする父親から逃げるようにジュルズを連れて自室へ。部屋にはオタクといわれるほどのオペラのコレクションがあった。ポールがオペラが好きなのは、それが外国語である事、ロマンチックであると同時にリアルな世界が広がる事。
散歩をして、バーに行っても話は尽きず、ポールはいつかベニスのパバロッティが学長をしている音楽学校に行きたいが後500ポンド足りないとぼやく。そこへ、バーに恋人と入ってきたブラドンが町のタレント・コンテストの賞金が300ポンドだという話をする。オペラ歌手になりたいと言いつつも、なかなか一歩を踏み出せないポールに、ジュルズは次に電話をくれる時はベニスからじゃないと、もう会わないと言う。
ワンチャンスのネタバレあらすじ:憧れのベニスでパバロッティとご対面
ポールはコンテストで、道化の恰好をしたままオペラを一曲歌い、見事優勝。しかし、それを見ていたマシューに目をつけられて、あわや賞金を奪われそうになってしまうところを、ブラドンの恋人が暴れてくれたおかげで、無事にベニスの学校へ行く事になる。
水上バスの上から電話をかけるとジュルズはびっくりして、ベニスの町や学校の事を彼に聞く。ポールは半分は本当のことを、そして友人関係や食生活などはうまくいっているふりをする。
上級クラスに入っていた彼に、パバロッティに師事してもらえるかもしれないチャンスが巡ってくる。しかしそれには、クラス内の選抜で勝ち抜かなければならない。ラ・ボエームの楽譜を渡され、アレッサンドラと組む事になったポール。どうしても選ばれたいアレッサンドラは、なかなか恋人らしくしてくれないポールの役作りのために、旅行に誘い、家へ食事に誘い、広場やゴンドラ、教会などで歌の練習をする。
無事、パバロッティに歌を見てもらう権利を勝ち取り、アレッサンドラと良い雰囲気になるものの、心はジュルズにあり、アレッサンドラは先生が言っていたポールの純粋さを認める。ポールはジュルズに、なにより先にパバロッティに歌を見てもらえることを伝える。
しかし当日はソロ。とても緊張してしまったポールはうまく歌う事が出来ず、パバロッティは、自信がないことを指摘し、オペラ歌手には今もこれからもなれないと言う。
ベニスで燃え尽きて帰ってきてしまったポールは、ジュルズに情けない結果を連絡できず、鉄鋼所で働き始めるが、うまくいかない。そこへブラドンがやってきて、ポールには才能があると励ましてくれるが、既に時遅く、今度はジュルズがポールの連絡に答えなくなってしまった。
思い切ってジュルズの勤め先を訪れるポールだが、レジ係の彼女に職場で長話が出来るわけがなく、店の中では邪険にされてしまう。仕方なく夜まで待っていると、出てきたジュルズに、心配をしていた事、パバロッティの件があり、自分はポールが帰ってきたら一緒に住めるものだと荷造りをしていた事を明かす。
怒って帰ろうとするジュルズに、ポールは英語で愛の歌をうたう。ジュルズが以前、ポールに歌って欲しいと言っていたのだ。
ワンチャンスのネタバレあらすじ:新婚生活に降りかかる受難
二人はそのままゴールイン。結婚式でも歌を披露し、聖歌隊の指揮者に誉められる。そして市民オペラのアイーダのラダメス役を頼まれ、二つ返事でOKした。その夜、ジュルズはポールに、蓄音機とプッチーニのトゥーランドットのオリジナルキャストのレコードをプレゼントする。まだパバロッティも生まれていないと言って。
ポールは携帯屋で働きながら、練習する。しかし公演の前日、店長のブラドンが恋人に振られ飲んだくれて出勤、そのまま付き合えと言われ、きついリキュールを飲むはめに。ジュルズが帰宅すると、キッチンに倒れているポールを発見、すぐに病院へ連れて行くと、虫垂炎ですぐに切除しないと破裂して死に至るとの事。そして、手術をした翌日の夜に歌うのも危険だと言われる。
飲酒が原因ではなかったとポールは安堵し、無理だと止められるも、手術の後、舞台に立つ事を選ぶ。案の定ポールは舞台の途中で倒れてしまい、そのまま再び入院を余儀なくされる。しかも今度は甲状腺に腫瘍があると言われて、喉の手術を施される。もう歌えなくなるかもしれないということが、どんなにポールにとって怖い事だろうと、眠るポールの横で泣くジュルズ。
退院後、ポールはお祝いをしてもらうが、声は出ないままだった。そのまま6ヶ月歌う事なく、携帯屋で働いていると店長のブラドンが、この店がこの地区で売り上げがよく昇進し、ポールのお給料も上がると言う。ふざけて、ブラドンがオペラ風に歌うので、ポールもそれに返すと、すんなりと歌う事が出来た。
嬉しくなったポールは勇み足で帰宅しようとすると、車にはねられてしまう。一命を取り留めたものの、今度は18ヶ月のリハビリ生活。両親と食事をすれば過去のラグビーの話、ポールの天敵マシューが、鉄工所の事故で仲間を助けた話。ポールはマシューに殴られた傷を見せて、いじめにあっていた反論をしても、いじめられたのはポールが太っていたからだと一蹴されてしまった。
ワンチャンスの結末:起死回生の一歩も少しずつ
ニートになり果てていたポールの元に、ブラドンがやってくる。彼は店の功績によりさらに昇進し、地域担当者になるとの事。そして今の店の店長にポールを指名して去って行った。ポールは再び携帯屋で働き始め、疲れて帰ってきては風呂場で歌う。ジュルズはその声を聞いて、昔と変わらない声で歌えるのに、ポールが歌わない事をもったいないと思い始めるが、歌えている事にポールが気づいていない。
ポールとジュルズ夫婦の家計は火の車。借金と滞納した税金で首が回らない状態になっていた。何とかしようとパソコンをいじっていると出てくる、テレビ番組タレントオーディションの広告が邪魔だとぼやく。
ふと思いついたように、宝くじを買うより、これに参加する方が安いとポールが言うと、ジュルズはすかさず出るように促す。促されると迷うポールがコイントスで決めようと申し出ると、コインをつかんだジュルズは申し込みボタンを押して申し込みが完了する。
後日、出演OKの知らせがやってくる。出演日までにあらゆる所でボイストレーニングをするポール。準備は万端だが緊張で眠れなかったポール、おまけに進行の関係で発声練習を直前に十分に出来ないと焦っていると、スタッフに出るか出ないか問いただされる。
同行していたジュルズと母はもちろん出ると答え、そのまま袖に彼を残し客席へ。ジュルズはそこで彼の緊張を解くために、彼の携帯電話にパバロッティを茶化すような内容のメールをキャメロン名義で送信。ポールに出会った時の事を思い出してもらいたかった。
おかげでポールはその声をいかんなく発揮する事ができた。審査員の女性は感動のあまり涙を零し、本当に携帯屋の店員なのか?と聞かれ、ダイヤモンドの原石を見つけた、このまま決勝に進めるだろうと、お墨付きをもらうのだった。
そして、言葉どおり優勝したポールはレコードを出し、女王陛下の前で歌うまでに上り詰める。楽屋で彼がオペラを歌う事にいい顔をしなかった父が、子供が親を超えることについて話し、和解する。そこへ母が「陛下がお待ちだ」と呼びに来る。
場所は変わり、ベニスでジュルズと旅行をしているポール。彼の人生のオペラというナレーションと共に、ベニスの風景をバックにエンドロールが始まる。
以上、映画ワンチャンスのあらすじと結末でした。
ワンチャンスのレビュー・考察:チャンスを生かす難しさ
「事実は小説より奇なり」を地で行くポール・ポッツ。彼は自分が言うほど自信が無かったのか?というと、ベニス行きの賞金がかかっている時や、ジュルズに告白をする時、手術明けにラダメスを歌うなど、岐路に立った時はきちんと実力を発揮しているので一概にそうとも言えない。ただ、彼本人が自分の声や、どれだけ発揮できたかを自覚していないだけで。これが単なる成功物語ではなく、彼の前に現れる色んなチャンスと、彼が向かい合い、時には手にし、時には逃し、喜び時には自棄になり、そんなポール・ポッツの人生の起伏を描いているからこそ、彼曰く人生のオペラと言うのに納得がいく。ポールの華々しい所だけではなく、弱さを描いているからこそ、説得力のある作品になっている。
ポールの純粋さと、歌に対する情熱に惹きつけられます。いじめられても歌うことをやめなかった子供時代、その後次々と問題にぶちあたって、不器用なりになんとかやっていく、、そんな彼の人生を応援せずにはいられません。なんといってもポール役のジェームズ・コーデンがはまり役!ポールの歌声も圧巻。笑いあり、涙ありで、生きる元気をもらえます。