パプリカの紹介:2006年日本映画。人と夢を共有するセラピーマシンが盗まれた!夢探偵パプリカは悪用する犯人を追うが、夢が現実に流れ込んできて境は限りなく曖昧に。
監督:今敏 声の出演:林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫、山寺宏一
映画「パプリカ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パプリカ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
パプリカの予告編 動画
映画「パプリカ」解説
この解説記事には映画「パプリカ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パプリカのネタバレあらすじ:盗まれたDCミニで夢にハッキングするのは誰?
不安神経症の粉川警部を、夢探偵をすることで治療を始めたパプリカ。彼女が千葉敦子に戻り帰宅すると、同僚の時田から人と夢を共有する機械DCミニが三つ盗まれたと報告される。それはまだ試作品で悪用すれば誰でも他人の夢にハッキングすることが出来きてしまう。ことは一刻を争うと敦子、時田、所長は理事長に報告に行く。すると理事長はまだ未完成のその機械で勝手に治療しているパプリカの話を始めた。そこで交渉を始めようとした所長の言動がなにやらおかしい、意味不明の言葉を語り出し終いに上階からガラスを破って外に飛び出した。一命を取り止めた所長の脳をスキャンすると無機物がパレードをする誇大妄想患者の夢を見ていて、その中に人形に扮した時田の助手氷室の姿があった。しばらく研究所を休んでいる彼が怪しいと、時田、敦子、助手の小山内で氷室宅を家捜し、そこで敦子は眠ってもいないのに夢を見せられ、マンションの柵を飛び越えそうになるところを小山内に助けられた。改めて作戦を立てていると、教授の容態が急変、敦子はパプリカになり所長の夢に入ると強制的に連れ出した。
パプリカのネタバレあらすじ:粉川刑事と夢探偵パプリカ
未解決事件をあたっている粉川警部はパプリカと約束した時間にインターネットの中で彼女と待ち合わせ場所で彼女に会う。映画に誘う彼女に粉川は映画は嫌いだと叫ぶ。研究所では再び夢に介入され犠牲者が出てしまい、時田たちの開発は凍結されてしまう。原因を探る敦子は時田の着ていたTシャツの模様を氷室の家で見た夢に出てきた遊園地だと思い出し、時田と共にそこを訪れる。観覧車乗り場まで行くと、DCミニをつけたままの氷室が転落してきた。夢に介入された職員が待ちに出てきてしまった事から、粉川警部もこの事件に関わることになる。彼は敦子がパプリカだとさっするが、敦子も所長も口を割らない。粉川警部は時田に事情を聞くが結局夢が人を攻撃すると言うのは事件として立件できず、事故として処理されるだろうと予想する。その帰り、粉川警部は不安神経症の発作に襲われる。敦子は氷室以外に犯人がいるのではと時田の研究室を訪れたが、懲りずにDCミニを作っている彼を叱り飛ばした。そこへ、所長から粉川警部が発作を起こした事を知らされた敦子は、粉川警部のもとを訪れる。粉川は再び未解決の発砲事件の夢を見ていた。それは転じて自分で自分を殺す夢に変化していた。一方研究所では急ごしらえのDCミニで時田が氷室の夢の中に入っていった。しかしそれは氷室の夢ではなかった。引き続き粉川の夢のなかのパプリカは粉川がかつて映画を作っていた事を知る。そこへ、所長が見た悪夢が流れ込んでくる。強制的に覚醒したパプリカと粉川は難を逃れる。
パプリカのネタバレあらすじ:黒幕は夢の中にいる
研究所に帰った敦子は氷室が夢を見ていないことを知る。原因を探るためにパプリカとして氷室の夢の中に入った彼女は、夢の歪から深層へと降りて行くと抜け殻になった氷室を見つけた。パプリカの侵入に気付いた夢は彼女を攻撃し始める。覚醒した敦子は所長と黒幕の理事長の家へ向かった。しかしそれはまだ夢の中で、理事長と小山内に追われるはめに。そして覚醒できないまま小山内の夢の中に閉じ込められた。そこでパプリカは理事長と通じた小山内が氷室を誘惑してDCミニを取引していたと知り、指摘すると小山内は激昂した。以前パプリカと待ち合わせをしたバーで酔っ払った粉川はかつて友人と映画を作っていた事を思い出した。作りかけのまま粉川は友人に押し付けたかれは「続きはどうするんだよ」という声を聞く。表に飛び出した粉川は広がる映画街の甲板にパプリカを見つけ、スクリーンに囚われたパプリカが映されているのを発見する。その中で小山内はパプリカの化けの皮を剥いで中から敦子を取り出した。無理矢理スクリーンの中に入った粉川は敦子を救い出し、自分の夢の中に退避しようとする。そしてそこで未解決事件の映像を見せた小山内を粉川は撃った。彼の夢は大団円で終り、敦子は覚醒した。
パプリカのネタバレあらすじ:暴走する夢が、現実に流れ込む
現実に戻った敦子達、しかしそこへ夢が侵入し、奇妙なパレードが始まる。粉川はバーテン達と夢の後始末に向かう。研究所では大きな日本人形に追われる敦子と所長の前にパプリカが現れる。現実に流れ込んできた夢の中に時田を見つけた敦子は、黒幕を探すよりも時田を助ける事を優先し、ロボットになった時田の中に飲まれてしまった。黒幕の所に行こうとしていた彼らは街に大穴が開きあちらの世界とつながってしまった事に気付く。粉川達と無事に合流できたパプリカは暴走し自分の夢で現実世界を新しくしようとする理事長を止めるため、小さな女の子に姿を変えると理事長の夢を飲み込み成長していく。すべて飲み込んだ敦子は消え、現実を犯していた夢は消え、すべて覚醒した。昔の相棒を思い出した粉川は刑事モノの映画を地で行ったじゃないかと、相棒の声を聞く。後日無事担当していた事件を解決した粉川は、パプリカから祝辞と敦子の苗字が時田に変わると知らされる。追伸で映画を勧められた彼は、嫌いだといっていた映画を一本見に行った。
「パプリカ」感想・レビュー
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表題になっているパプリカは、敦子が夢探偵をする時に使う変装と名前、その彼女は敦子本人とはおおよそかけ離れている。容姿のみならず性格もほぼ逆。敦子自身はそれを自分の分身として使いこなしてるつもりでいる。あくまでつもりなのは、彼女が意図しない時に鏡と対話するようにパプリカと敦子が対話したり、パプリカから警告を受けるようなシーンが時折見受けられるからだ。夢が現実に混入し始めてからはそれがはっきりとして、パプリカ自身が敦子と所長の前に現れる。その際に、自分を分身扱いする敦子に対して、パプリカが、敦子こそが分身ではないのかと煽る。それは時田に恋心抱きつつも素直になれない敦子への叱咤でもあるのだが、自分とは逆要素、自由や活発さを持った分身は、敦子にとっては現実世界では持てないけれど、本当は欲しいと思っている要素、つまり、本人も無自覚のまま自分の理想の像を作っているように見える。それは、誰もが持つ変身願望とも似ている。
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他人の見る夢をインターネットのように「共有」出来る機械、それを介して精神の治療をする主人公パプリカがとても魅力的。筒井康隆らしいセリフの言い回しは皮肉が利いてるのに素敵だ。「礼とは四角いか?」なんてどうしたら浮かんでくるんだろう。
映像美には圧巻の一言。人形に埋もれながらパレードする所長の悪夢の表現力は思わずうなってしまうほどだった。最高の映画を見せてもらった。
奇才、今敏の映像美を楽しませてもらいました。
ストーリーはSFで、ストーリーが進むにつれて、夢と現実の境界線がどんどんあいまいになっていき、見ているほうも、今のシーンが夢なのか現実なのか分からなくなってきてドキドキします。
その中で夢の中での色彩感が心を揺さぶるほど美しい、というか衝撃的でした。
今敏監督の夭逝が悼まれます。もっといろいろな作品を見せてほしかったです。