2014年フランス・ドイツ合作 監督:フォルカー・シュレンドルフ 出演者:アンドレ・デュソリエ、ニエル・アレストリュプ、チャーリー・ネルソン、ジャン=マルク・ルロほか
ナチス・ドイツ軍占領下のフランスを舞台に、パリ破壊を命じられたドイツ軍将校と、パリを愛するスウェーデン総領事が繰りひろげる攻防を描いた歴史ドラマ。
映画「パリよ、永遠に」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パリよ、永遠に」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
パリよ、永遠にの予告編 動画
映画「パリよ、永遠に」解説
この解説記事には映画「パリよ、永遠に」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
迫り来る連合軍とパリ爆破計画:パリよ、永遠にのあらすじ
二次大戦も末期の1944年8月25日、迫り来る連合軍を前に、パリを占領していたナチス・ドイツ軍にパリを徹底的に破壊せよとの命令が下る。エッフェル塔、ルーブル美術館、オペラ・ガルニエ、ノートルダム教会、ポン・ヌフ以外のセーヌ川にかかる橋のすべて、パリを代表するモニュメントを爆破せよというのだ。爆弾は配置済み、あとはホテル・ル・ムーリスに駐在するコルティッツ将軍の指示を待つばかり。この時のパリ市民たちの暮らしぶりがおもしろい。ホテルの従業員たちのようにナチス・ドイツ軍相手に商売をする者もいれば、レジスタンスとして地下活動をしている者もいる。
隠し階段から現れたノルドリング:パリよ、永遠にのあらすじ
パリ破壊作戦の会議が終わり、ホテルの部屋でひとり過ごすコルティッツの元へ、中立国のスウェーデン総領事ノルドリングが現れる。曰く、コルティッツの滞在する部屋は、かつてナポレオン3世の愛人が滞在していた部屋でもあり、表通りから直接入ることの出来る隠し階段で通じているだと。連合軍とナチス・ドイツの調停役を担っていた彼は、爆破担当のヘッゲルからレジスタンスに爆破装置を破壊されたという連絡を受けたコルティッツに、パリを無傷のまま開放するように交渉を始める。
コルティッツの心模様はいかに:パリよ、永遠にのあらすじ
ノルドリングはパリを破壊することでどれだけの市民の命が奪われるかを話す。しかし、すでにドイツはハンブルグなどの都市を市民もろとも連合軍に爆撃されているのだと、コルティッツは取り合わない。さらにコルティッツは自分の家族のナチスに握られており、命令に背けば妻子が処刑される、「おまえならどうするか」と言う問いに「分からない」と答えるノルドリング。
ホテル・ル・ムーリスの屋根から眺めるパリ:パリよ、永遠にの結末
ノルドリングはユダヤ人である自身の妻をスイスに逃がした方法で、コルティッツの妻子も逃がしてはどうかと持ちかけるが、逃げればゲシュタポに囚われてどんな目に合うか知れないと断られる。もはや打つ手なしと思った時、コルティッツが持病の喘息の発作を起こす。このまま放っておけば、彼は倒れたまま作戦の指示も出せずパリは無傷のままだろう。しかしノルドリングは薬を渡し、介抱する。外交官の彼にとってパリを開放するのに必要なのは、あくまでもコルティッツとの交渉なのだ。明るくなり始めた窓辺に座り、ノルドリングはパリの美しさについて語る、そしてパリの命運がコルティッツの手にゆだねられているということも。
パリが無条件降伏したら、ナチスはパニックに陥るだろう、その隙をみて家族はたすかるかもしれない、そんな事を考えながら、コルティッツは唯一繋がる回線のあるホテルの屋根へ上がる。パリのほぼ中心にあるホテルの屋根からは、美しい街並みをぐるりと見渡せる。そして、彼がヘッゲルに出した指示は、爆破の中止だった。頭に血が上ったヘッゲルは爆破装置に手を掛けるが、フランス人技師ランヴァンによって撃たれる。こうしてパリは無傷のまま開放された。
以上、映画パリよ、永遠にのあらすじと結末でした。
歴史と文化の拠り所としてのパリ:パリよ、永遠にについて
たとえば太平洋戦争中、京都・奈良が壊滅していたらどうなっていただろうか、日本を日本たらしめる場所を喪失していたら、戦後復興はもっと遅れていたかもしれない。それと同じことがパリにも言えるのではないだろうか。パリと言う都市はフランスの首都であると同時に、文化や歴史の交差する街である。アパルトマンに、ここに誰それが住んでいたというプレートが付いていたり、街角に史跡の説明盤がある。ヨーロッパの歴史そのものと言っても過言ではない。だからこそヒトラーはパリの破壊を計画したのかもしれない。が、皮肉にもパリは燃えずに残った。
戦争を扱った映画であるが、重きは室内での会話に置かれている。殺し合いではない、話し合いもまた戦争の一つの側面であると、この作品で認識できる。
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