パットン大戦車軍団の紹介:1970年アメリカ映画。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で史上最大の戦果を挙げたアメリカ陸軍の名将、ジョージ・S・パットン将軍の波乱に満ちた半生を壮大なスケールで描いた映画史上に残る不朽の歴史スペクタクル大作です。
監督:フランクリン・J・シャフナー 出演者:ジョージ・C・スコット(ジョージ・S・パットン)、カール・マルデン(オマール・ブラッドレー)、スティーヴン・ヤング(チェスター・ハンセン)、マイケル・ストロング(ホバート・カーヴァー)、ポール・スティーブンス(チャールズ・コッドマン)、カール・ミヒャエル・フォーグラー(エルヴィン・ロンメル)ほか
映画「パットン大戦車軍団」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パットン大戦車軍団」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「パットン大戦車軍団」解説
この解説記事には映画「パットン大戦車軍団」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パットン大戦車軍団のネタバレあらすじ:起
第二次世界大戦の真っ最中の1943年2月、北アフリカ戦線に派兵されたロイド・フレデンドール少将率いるアメリカ軍の第2機甲兵団は、エルヴィン・ロンメル将軍(カール・ミヒャエル・フォーグラー)率いるドイツ軍に苦戦を強いられていました。士気の下がった第2機甲兵団の立て直しを命ぜられたオマール・ブラッドリー少将(カール・マルデン)は、モロッコでの“トーチ作戦”に参戦していた稀代の名将ジョージ・S・パットン将軍(ジョージ・C・スコット)を呼び寄せました。赴任したパットン将軍はブラッドリーを副官に付け、鬼のような猛訓練や徹底した兵隊教育を図り、戦う気の失せた者たちを叩き出しました。訓練の最中、パットンは古戦場であるカルタゴの遺跡を訪れ、過去の戦いの想いを馳せました。
パットン大戦車軍団のネタバレあらすじ:承
1943年3月、ロンメル率いるドイツ軍が進軍しているとの報告を受けたパットンは、チュニジア・エルゲタールでドイツ軍を迎え撃ちました。徹底的に訓練された部隊は見違える程に生まれ変わっており、見事にロンメル部隊を撃破しました。この勝利を機に、アメリカ軍はイギリス陸軍のバーナード・モントゴメリー大(マイケル・ベイツ)と連携、英軍のハロルド・アレキサンダー大将(ジャック・グウィリム)らを抱き込んだパットンは連合軍のシシリア島侵攻作戦における第2兵団司令官に就任しました。作戦を巡って強行派のパットンと慎重派のモントゴメリーは対立しましたが、パットンは指令本部の命令を無視して作戦を強行、パレルモを奪取するものの、前線の兵士を気遣うブラッドリーと気性の激しいパットンとの間には溝が生まれていました。そんなある日、パットンは野戦病院で怖気づいた兵士を殴ったことが問題視され、パットンは謝罪に追い込まれたあげくに司令官を解任され、前線から外されてコルシカ島やマルタなど各地の視察に回されました。やがて連合軍はシシリア島からイタリア本土へ上陸、イタリアを見限ったドイツ軍が連合軍の侵攻への対策を始めるなか、ロンドンに赴任したパットンは、婦人クラブで行われた歓迎パーティーの席上で「世界をリードするのは米英だ」と同盟を組むソ連を無視するような過激な内容のスピーチが物議を醸してしまい、またしてもパットンは窮地に追い込まれました。
パットン大戦車軍団のネタバレあらすじ:転
1944年6月6日、連合軍はノルマンディー上陸作戦を決行しました。囮部隊の指揮を担っていたパットンはアメリカ軍最高司令官に就任していたブラッドリーに呼ばれ、苦境を打破するため第3兵団司令官に任ぜられました。名誉回復の場を与えられたパットンの第3兵団は勇猛果敢に進撃を繰り広げ、見事にドイツ軍を打ち破り作戦の成功に貢献しました。連合軍は勢いのままにパリを解放、1944年12月にベルギー・バストーニュに孤立したアメリカ第101空挺師団の救援としてバットン部隊は出撃、雪の中を160km行軍したバットン軍団はドイツ軍と壮絶な死闘の末にバストーニュを解放、後に“バルジの戦い”と呼ばれることになる一連の戦闘でパットンは戦史に残る大戦歴を挙げました。
パットン大戦車軍団の結末
ヒトラーを失ったドイツは遂に降伏、第二次世界大戦は終戦を迎えました。大将に昇進したパットンは相変わらずソ連嫌いを公言し、共和・民主党員はナチスと同じようなものだと暴言を吐き、またしても物議を醸してしまいます。今まで必死に擁護してくれた連合軍最高司令官アイゼンハワーからも見放されたパットンは第3兵団司令官を解任され、失意のうちに部隊に別れを告げました。パットンは共に大将へ昇進したブラッドリーから大戦での功績を讃えられ、食事の約束をしてその場を立ち去りました。パットンの脳裏には、古代ローマ時代に戦果を挙げて凱旋した軍人が背後から奴隷にささやかれた言葉「全ての栄光は消え去る」が浮かんでいました。
「パットン大戦車軍団」感想・レビュー
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まず映画全体を通して戦車の数に驚かされる。
古い映画ではあるが、実物の戦車がこれほどまで多く登場する映画は見たことがない。
特に戦闘シーンは迫力があり、主人公のパットンについて知識が無くても、戦車の戦闘シーンだけで十分楽しめる。
舞台が雪の降るバルジであるはずなのに、いつの間にか暑そうな砂漠で戦闘していたりして物語の進行に疑問に思うところは多々あるが、娯楽映画としては全く問題がない。
主演のジョージ・C・スコットはジョージ・パットン陸軍大将と同様に尊大な人物であり、本作での、名誉あるアカデミー賞の主演男優賞の受賞を拒否したことなどで多くの物議を醸したことでも知られています。特に印象的なのは冒頭での、有名な演説シーンです。20世紀の名将の一人でありながら、過激過ぎる言動により多くの人から嫌悪され、大戦終結の功労者でありながら軍人としての最高の名誉である元帥位を授かること無く軍籍を離れました。これ以上ない配役だったでしょうね。両者には重なる部分が多いのですから。パットンの悲劇は彼が軍人であり過ぎたことに起因したからでしょうか。有能な指揮官イコール理想的な上司では必ずしもない。しかし彼の指揮下に居た軍人の多くは率先して闘い、多くの軍功を挙げたのです。人間パットンと軍人パットン。その両方に魅力があるのですが、簡単に語れないのが彼でしょう。私は十字路で道を互いに譲らない戦車の姿に業を煮やして交通整理を自ら行った姿が好きです。軍の最高指揮官が行う必要はありませんでしたが、躊躇せずに行い、見事に解決したのは彼の人間性ですね。こういう点を多くの人に見てもらいたいです。野蛮な英雄、という姿は確かに見られなくなりました。ヴェトナム戦争の泥沼で国が分裂していた時期だったからこそこういう映画が作られたのでしょう。強いリーダー。それは正しく彼でした。だからと言ってこのような人物が再び軍の主導権を握るのも危険な気も。矛盾だらけですが、強い指揮官を追い求めるのはこれからもずっと続くでしょう。