鉄道員(ぽっぽや)の紹介:1999年日本映画。原作は浅田次郎の同名の短編小説。北海道にある、廃止が決定したローカル線の終着駅で駅長を務める孤独な男と、雪のなか駅を訪れた少女との交流を描く。
監督:降旗康男 出演者:高倉健(佐藤乙松)、大竹しのぶ(佐藤静枝)、山田さくや(幼少時の佐藤雪子)、谷口紗耶香(小学校6年生の佐藤雪子)、広末涼子(高校生の佐藤雪子)、小林稔侍(杉浦仙次)、田中好子(杉浦明子)、志村けん(吉岡肇)、奈良岡朋子(加藤ムネ)、ほか
映画「鉄道員(ぽっぽや)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「鉄道員(ぽっぽや)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
鉄道員(ぽっぽや)の予告編 動画
映画「鉄道員(ぽっぽや)」解説
この解説記事には映画「鉄道員(ぽっぽや)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
鉄道員(ぽっぽや)のネタバレあらすじ:起
佐藤乙松(高倉健)の定年退職が近づいてきた冬。折しも駅長を務める幌舞駅が終着駅で、北海道ローカル線である幌舞線が廃止になる翌年の春と同じ時期だった。寡黙に仕事をこなす彼に家族はいない。
17年前まだ幼かった一人娘の雪子、そして妻の静枝(大竹しのぶ)が亡くなった日も仕事をこなし、駅のホームに立ち続けていた。正月に同僚の美寄駅長を務める杉浦(小林稔侍)がたずねてきて、共にトマムのホテルへ再就職するよう誘われるが、乙松は賛同しなかった。
鉄道員(ぽっぽや)でなくなった自分など想像できなかったし、これからどうなるのかなんて、これっぽっちも考えていなかったのだ。
鉄道員(ぽっぽや)のネタバレあらすじ:承
変わらず業務をこなす乙松のもとへ、小さな女の子(山田さくや)が姿を見せる。正月休みを使ってここまでやって来たのだと話した女の子は、帰り際に人形を駅に忘れていってしまう。最近ではあまり見かけない人形は、生前の雪子に自分があげた人形とそっくりだったのを思い出す。
午後になって、女の子の姉だと言う小学校6年生の少女(谷口紗耶香)が、人形を取りにきたと駅を訪れる。人見知りしない彼女は、不器用な乙松にも親しげに話し、彼の頬にキスをして帰っていった。
また顔を見に来ていた杉浦に、相手は雪女かと茶化されるが「雪女にちゅーされたら凍っちまうべ」と呟く乙松の顔は、まんざらでもなさそうだった。
鉄道員(ぽっぽや)のネタバレあらすじ:転
杉浦も帰り、また一人になった駅に高校生くらいの少女(広末涼子)が現れ、乙松に声をかけた。「また姉さんかい」と聞く乙松に、自分たちは近所に住む寺の住職の孫だと話す。「鉄道が好きなの」と話す少女は本当に鉄道が好きらしく、二人は誰も来ない駅舎で会話を弾ませていった。
更に少女は、乙松のために鍋を作ってくれた。感極まる乙松は、もういつ死んでもいいと少女にこぼす。
そこへ電話がかかってきて出てみると、住職からのものだった。そこで住職から「孫は帰って来てない」と告げられ、驚く乙松。
鉄道員(ぽっぽや)の結末
改めて少女の顔を見た乙松は、人形を忘れた女の子や6年生の少女にも感じていた既視感に確信を持つ。
「ゆっこ(雪子)か?」という問いかけに、その少女、佐藤雪子は笑って答えた。死んだ娘の雪子が幽霊となって、17年で成長していく姿を見せに現れたのだ。
人形もやはり、かつて乙松が買ってあげた人形に間違いなかった。強く抱きしめる乙松に、雪子は微笑んで抱き返す。やがて雪子は乙松を残して静かに消えた。日誌には「異常なし」の文字だけがつづられていた。
翌日の駅のホームには、冷たくなった乙松の亡骸が雪に埋もれていたのを、ラッセル車の乗員が発見するのだった。
以上、映画「鉄道員(ぽっぽや)」のあらすじと結末でした。
「鉄道員(ぽっぽや)」感想・レビュー
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私には、主人公の生き方も人々の心も、ストーリーも撮影のアングルも全てが美しい映画でした。
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あらすじがよく分かり、改めて感動しました。ありがとうございました。
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感動しました.娘の幽霊が高校生になって帰ってきた時は驚きましたが雪子とわかったときは又、びっくりです。涙があふれて止まりませんでした。何度も繰り返し見てしまいました。見るたびに涙があふれて止まりませんでした。素晴らしい映画でした。
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ファンタジーと考える人が多いわけですがそうではないでしょう。
一種の臨死体験、またはお迎え体験だったのでしょう。
最期、副葬品の人形は持ち去られていますが雪子が調えた料理はそのままに残されています。決して夢なんかではない。「私と一緒に行きましょう」と言われたわけです。死の前に、乙松の悔いの多かった人生は許される必要があるのです。彼は責められてはいない。
美しい映画だったと思います。 -
少し哀しい物語です。しあわせって何ですか。
言わなくても行動しなくても気持ちは伝わるって本当ですか。
広末さんとのシーンが透明で美しくて、泣いてしまいました。 -
このように一筋な人生。寂しいような素晴らしいような。遠い昭和を懐かしく思った。80代。ぽっぽに乗って旅をしたことがある。
この映画は、父が亡くなって数年後、世情も雇用状況が悪化していて、私自身も不安な状況にあった時、職場の方が連れて行ってくれて、一緒に観た温かい思い出のある映画です。
映画の印象は、北国の冬のため、色彩的には雪の白とグレーが背景に流れる、凍えるような厳しい生活環境があり、その中で、逞しく、優しく生きる人々が、温もりを感じさせてくれる作品でした。
作品中、主人公の鉄道員は、仕事一途なため、子供が生まれた時も、その子が病気になった時にも、又、その子や妻の死に目にも会えずに、働いています。その彼の前に、亡くなったはずの女の子が現れて、少しずつ大きくなっていく姿を見せてくれる流れに、救われたような気がしました。
いつの世にも、私事を犠牲にして仕事をし、社会を下支えして下さっている人がいる。ただ、この乙松ほどではなくとも、多かれ少なかれ、世の中の多くの人の仕事も、何か社会を支えていると思います。
作中、乙松は雪の降りしきる中、仕事中に倒れて息を引き取ります。あまりにもまっすぐな生き方のラストシーンは、それを象徴しているような感じがして、涙が出ました。
もちろん、映画は小説をもとにした、フィクションですが、ある時代背景に生きた人々を象徴的に表現していると思いました。
今は、人間の仕事自体が少なくなっていくといわれている時代ですが、乙松にはなれなくとも、仕事において、自分の心にあまり嘘はつきたくはないし、人にとって、少しでも良い方向に向かう仕事がしたいと思いました。