空の大怪獣 ラドンの紹介:1956年日本映画。1954年のゴジラの大ヒットに続く、東宝の怪獣スペクタル作品の第2弾。阿蘇山の炭鉱落盤事故により、巨大化した古代恐竜プテラノドンが現れ、福岡の街を破壊し始めました。博士はラドンと名付け、自衛隊のラドン撃退作戦に参加します…という内容です。この当時の作品は子供対象ではなく、大人が見て楽しめる、ディザスタームービーといえます。
監督:本多猪四郎 出演者:佐原健二(河村繁)、平田昭彦(柏木久一郎)、田島義文(井関)、松尾文人(葉山)、草間璋夫(須田)、白川由美(キヨ)、ほか
映画「空の大怪獣 ラドン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「空の大怪獣 ラドン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
空の大怪獣 ラドンの予告編 動画
映画「空の大怪獣 ラドン」解説
この解説記事には映画「空の大怪獣 ラドン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
空の大怪獣ラドンのネタバレあらすじ:起
阿蘇山のふもとの炭鉱で、水があふれていると連絡が入り、技術士の河村が現場に向かいました。炭鉱は途中から水路のように水があふれ、水面に炭鉱夫の吉造が浮いていました。医師に見せるとすでに死亡していましたが、日本刀のような刃物で切られていると言いました。吉造と同僚の五郎はいつも喧嘩していました。その五郎が戻らない事から、犯人は五郎ではないかと噂され始めました。
五郎と親友の河村は、五郎の妹のキヨに出歩くなと言い、犯人は五郎ではないと言いました。五郎を探して炭鉱夫3人が水浸しの炭鉱に入りました。3人は次々と水中に引き込まれ、同じように切られて殺されました。ますます疑われる五郎の家の周りには、炭鉱夫の妻たちが集まりはじめました。河村はキヨに寄り添い、元気づけていました。その時トンボの幼虫のような、人間より少し大きい怪獣がキヨの家に現れました。
空の大怪獣ラドンのネタバレあらすじ:承
警察と炭鉱夫達が幼虫怪獣を追いました。拳銃で撃っても効果がなく、逆に数人の警官が襲われました。大きなハサミで切られた傷を見て、医師は犯人はこの怪獣だと言いました。幼虫怪獣が炭鉱に逃げ込んだことから、河村らがトロッコに砕いた岩を積んで炭鉱を塞ぎ、幼虫怪獣を閉じ込めました。
柏木博士は幼虫怪獣の姿を見て巨大トンボ『メガヌロン』の幼虫だと発表しました。その時、地震が起りました。炭鉱で調べていた河村は、地殻変動による落盤事故に遭い、出れなくなっていました。落盤事故を調べに行くと、大きな崩壊が見られ、河村がよろけながら歩いているのが見えました。急いで河村を助けますが、衝撃で記憶喪失になっていました。この落盤事故により、阿蘇山噴火の予兆が現れました。そのころ、自衛隊機が音速以上で飛ぶ飛行物体を追っていました。
空の大怪獣ラドンのネタバレあらすじ:転
飛行物体は急旋回し、自衛隊機を撃墜しました。北京やフィリピンにも表れた飛行物体は、1体ではないと発表されました。立ち入り禁止の阿蘇山河口付近に行った新婚夫婦が死体で見つかりました。二人のカメラには、空を飛ぶ恐竜のようなものが映っていました。写真からプテラノドンに違いないと言いますが、柏木博士は発表を控えました。キヨの家で療養する河村は、キヨの飼う小鳥の卵の孵化を見ました。すると記憶が蘇りました。閉ざされた洞窟にはメガヌロンの幼虫が沢山いて、奥に大きな卵がありました。その卵が孵化し、鳥獣が生まれると、メガヌロンの幼虫を全部食べて巨大化しました。
このことを柏木博士に話すと、プテラノドンが巨大化した変異体だと言って、ラドンと名付けました。そこで阿蘇山と炭鉱を結ぶ線上に巣があるはずだと、探しに行くと、ラドンが地底から現れて飛び立ちました。自衛隊はすぐに戦闘機を飛ばして攻撃しますが、ラドンの羽根の音速の風によって撃墜されました。
空の大怪獣ラドンの結末
ラドンは西海橋を破壊し、福岡の街に入りました。自衛隊の総攻撃が始まりますが、ラドンには効果がなく、街は破壊し続けられました。柏木博士は、野生獣の習性から、必ず巣に帰って来ると言って、巣に帰ったところを総攻撃し、落盤事故を誘発させ、巣を埋めようと言いました。これを聞いた阿蘇山の担当者は、そんなことをすると阿蘇山が大噴火すると言って反対しました。このまま街を破壊され続ける被害と、阿蘇山大爆発による被害を比べた結果、阿蘇山大爆発にかけました。
炭鉱の住人や阿蘇山周辺の住人を全て避難させました。キヨは避難せず、河村に寄り添いました。ラドンが巣に帰ったのを見計らい、総攻撃が始まりました。山や崖が崩れ、ラドンの巣を埋め尽くしました。その時、阿蘇山が大噴火を起こしました。ラドンが溶岩の間から飛び立ちました。するともう1体ラドンが飛び立ちますが、溶岩の中に落ちて焼け始めました。飛び立ったラドンが助けに溶岩に入りました。しかし溶岩の炎は強く、2体ともラドンは燃え尽きました。ラドンは夫婦でいたのでした。この光景を見ていた河村とキヨは複雑な気持ちで悲しみました。
以上、映画「空の大怪獣 ラドン」のあらすじと結末でした。
東宝三大怪獣の地位にありながら、バイプレイヤーとしての活躍が多いラドン。
この「空の大怪獣ラドン」は、そのラドン唯一の単独主演作だ。
公開は1956年。東宝の怪獣映画第三作目にして、初のカラー映画。
監督は、お馴染み本多猪四郎、特技監督は、もちろん円谷英二、原作は黒沼健という陣容だ。
初期の東宝特撮映画は、原作者に香山滋や中村真一郎など一流の作家を起用しているが、この作品でも黒沼健を起用しているのが要注目だ。
今ではほとんど知られていない作家だが、SFやミステリの翻訳・著作で活躍し、とりわけオカルト系については、多くの著作を残している。
この原作が功を奏したのか、この作品のストーリーが、なかなか悪くないのだ。
尺は短いものの、阿蘇山近くの炭坑町で起こったトラブルから殺人事件への発展、意外な犯人、そこから、さらに大きな事件へと連鎖し、やがて、ラドンの出現へと繋がる流れは非常に上手い。
しかも、テンポがいいんですね。
ラドンの出現からラストに至るまで、全く間延びすることなく、ピシッと引き締まっている。
観る者を全く退屈させない鮮やかな作りになっていると思う。
舞台を阿蘇山や北九州に絞ったところ、主人公を記者や科学者、パイロットといった怪獣映画に便利な職業にせず、炭坑で働く若者に設定しているところも、ゴジラとは違ったものを作ろうという、作り手たちの姿勢が伺えていいと思いますね。
そのため若干、スケール感に欠けるきらいはあるが、ストーリーという点では「ゴジラ」と比べても遜色がないくらいだ。
ただ欠点もないではない。映像の繋ぎのぎこちなさ、メッセージ性の弱さ。
ラストのラドンの最期のわかりにくさなど。
とは言え、全体的にはよくできた映画であり、飛行する怪獣をどのように表現するかという円谷英二の挑戦は、やはり見どころ満載だ。
個人的には歴代怪獣映画の中でも特に好きな作品ですね。