復讐の十字架の紹介:2017年イギリス映画。俺はもう、救われない―――。オーランド・ブルームを主演に向かえ、25年前に神父から性的虐待を受け、今なお心の傷に苛まれ続ける寡黙な解体作業員の苦悩と復讐の旅路を描いたヒューマン・サスペンス作品です。
監督:ルドウィッグ・シャマジアン、ポール・シャマジアン 出演者:オーランド・ブルーム(マルキー)、ジャネット・モンゴメリー(エマ)、チャーリー・クリード=マイルズ(パウロ)、アン・リード(マルキーの母)、アレックス・ファーンズ(ジョー)、ジェームズ・スマイリー(ジミー)、インディア・ファウラー(ソフィー)ほか
映画「復讐の十字架」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「復讐の十字架」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
復讐の十字架の予告編 動画
映画「復讐の十字架」解説
この解説記事には映画「復讐の十字架」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
復讐の十字架のネタバレあらすじ:起
とある田舎町、教会の建て替えに伴い古い教会が解体されることになりました。寡黙な解体作業員のマルキー(オーランド・ブルーム)は、一心不乱にハンマーを振るい、石造りの建物を壊していきました。
ある日、マルキーは仕事仲間のジョー(アレックス・ファーンズ)らと一緒に、恋人のエマ(ジャネット・モンゴメリー)の働くパブに飲みに行き、楽しく酒を飲みながら語り合っていましたが、マルキーはパブに白髪の老人が入ってくるのを見て突然顔色を変え、イラついて帰って行ってしまいました。
マルキーはよく年老いた母(アン・リード)の世話を見ていました。母の家には幼い頃のマルキーと母に並んで、先日見かけたあの老人・ジミー神父(ジェームズ・スマイリー)の姿が写った写真がありました。写真を見るなり不機嫌になったマルキーは、心配そうにする母の問いにもまともに答えることなく仕事に戻っていきました。
作業現場にパウロ(チャーリー・クリード=マイルズ)という伝道師が現れ、十字架にかけられた古いキリスト像を引き取って行きました。その夜、マルキーはエマが他の男の車に乗り込むところを見てしまい、彼女と口論になってしまいます。
その後、何とか仲直りした二人でしたが、エマの携帯に他の男からメールがあったことから再び口論となり、エマはマルキーのもとを去っていきました。
復讐の十字架のネタバレあらすじ:承
新しくリニューアルされた教会には、あのジミー神父が司祭として赴任することになりました。マルキーは自らの名を刻んだハンマーを握りしめ、ジミーが一人になる隙を狙って待ち伏せするようになりました。
ある日、ジョーはエマのパブを訪れ、彼女に今まで話してこなかった事実を打ち明け始めました。数年前、マルキーとジョーはインド料理店に行った際、ジョーは店員にいちゃもんをつけていた男に暴力を振るったことがあったのです。マルキーはまだ幼い子供のいるジョーの罪を被り、2年もの間服役していたのです。話を聞いたエマは涙を浮かべながらただ「ありがとう」と語りました。
ある夜、マルキーはハンマーを手にジミーの前に現れました。ハンマーに刻まれた名を見たジミーは動揺しますが、マルキーはジミーの姪ソフィー(インディア・ファウラー)が現れたために何もすることなくハンマーを投げ捨てて去っていきました。
その後、マルキーは母の元に行き、「ジミーは悪人だ」と告げますが、母はいかにジミーが素晴らしい人格の人であるかを説き、マルキーの話を聞こうとはしませんでした。
マルキーが古い教会の作業現場に一人でいたところにパウロが現れ、自身の重い過去を打ち明けました。幼い頃から父に性的虐待を受け続けていたパウロは16歳の時に父を殺し、精神病院に2年間収監されたのち刑務所に7年間服役していたというのです。
マルキーに拾ったハンマーを返したパウロは、父からの虐待の件を誰にも打ち明けることができず苦しんだことを告白し、刑務所内で知り合った老司祭から「これに汚らわしい記憶を洗いざらい話せ。これには偏見が無く、決して人を裁かない。そうして悪魔を追い出せ」とカセットレコーダーとテープを渡されたと明かしました。パウロからレコーダーを受け取ったマルキーは「エマ、君を信じない」と吹き込みました。
復讐の十字架のネタバレあらすじ:転
遂に古い教会の解体作業は終わり、ジミーと食事をしていたマルキーは「現場に行ってみたらそこは母の家だった。泣きながら必死で止めたけど無視され、鉄球が家に突っ込んだ瞬間、飛び起きる夢を何度も見るんだ」と打ち明けました。
その帰り、マルキーは新しい教会の庭で会話をしているジミーと母の姿を見かけて苛立ち、車のクラクションを鳴らして庭に乗り入れ、その場にあった別の車の見ず知らずの男に暴力を振るってしまい、止めに入ったジミーをも殴ってしまいます。
帰宅したマルキーはテープに録音した自分の声を聞きながら、自らの右手にハサミを何度も突き刺しました。「エマ、君を信じない。自分自身の事も信じられない。信頼するのも信頼できないのも怖い。暗闇に一人でいると、自分の手も信じられない…」
我に返ったマルキーは手の治療のため一晩入院することになり、母に「仕事が忙しいから今夜は行けなくなった。明日行くよ」と電話をしました。その夜、右手の手術を受けたマルキーは自動販売機で見かけた幼い少女に飲み物を買ってあげたところ、病院内にある小さな礼拝堂に招かれました。
そこにはパウロの姿があり、彼が引き取ったキリスト像が飾られていました。パウロはマルキーに「神は決して見捨てない。君が神を見捨てたのでは?」と全て打ち明けるよう促し、話せないというマルキーに「この十字架は重すぎる。共に背負おう。私に手助けをさせてくれ」と語りますが、マルキーは無言のまま立ち去っていきました。
退院したマルキーは母の自宅を訪れますが、母はリビングで一人息絶えていました。マルキーは母の遺体を前に、ようやく自身の身に起こった25年前の出来事を語り始めました。
復讐の十字架の結末
25年前、当時12歳だったマルキーはあのジミーから性的虐待を受けたのです。心に深い傷を負ったマルキーは母にそのことを打ち明けますが、母は「そんなことするはずがないでしょ?」と言うのみで、息子の訴えに耳を傾けようともしませんでした。その日以来、母からも裏切られたマルキーは人を、神をも信じることができなくなっていたのです。
母の遺体の傍には、彼女が最期に読んだと思われる聖書の一節にある“ローマ人への手紙”「神の敵であり神に愛される者。餓える敵に食べさせれば、燃える炭火を彼の頭に積める。善をもって悪に勝て」のページが開かれていました。
聖書を読んだマルキーは再びパウロに会いに行きました。パウロはかつての刑務所内での老司祭とのやり取りを打ち明けました。あの時、父への変わらぬ憤りを口にしていたパウロに、老司祭は「誰も己の罪からは逃れられない。死してなおその代償は支払わねばならんのだ。君に誓願を立てよう。この聖なる地で誓願を立てる。彼自身が己の過ちを認める日が来る」と語り掛けたのです。
意を決したマルキーは素性を隠して新しい教会の懺悔室に入り、「この先犯す罪を(懺悔する)。ある人物を殺す。徹底的に傷めつける」と語りました。それからマルキーは25年前にジミーが自分にしたこと、その時から自分の時間が止まったこと、相手に復讐したいこと、そして聖書の“ローマ人への手紙”に基づいてジミーを“赦す”ことを伝えました。
全てを語り終えたマルキーはジミーと対面、しばし見つけ合ってから教会を出ました。夜が更ける頃、マルキーは丘の上から街の夜景を見下ろしました。
ジミーは信者を前に説教に臨み、“ローマ人への手紙”をまるで自身に言い聞かせるように語りかけました。その夜、ジミーはソフィーの12歳の誕生日パーティーに出席しました。
そして翌朝、ジミーは広がる草原に入り、服を脱ぎ捨て、自らの体にガソリンを被って火をつけました。ジミーの体はまるで燃える十字架のように炎に包まれ、異変に気付いたソフィーは恐る恐る目を凝らしました。
以上、映画「復讐の十字架」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する