ロゼッタの紹介:1999年ベルギー,フランス映画。アルコール依存症の母とトレーラーハウス暮らしをしている主人公の女性が不当解雇などの逆境に立ち向かおうとする様を描いたヒューマンドラマです。第52回カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールと女優賞(主演のエミリー・ドゥケンヌ)を受賞しています。
監督:リュック・ダルデンヌ、ジャン=ピエール・ダルデンヌ 出演者:エミリー・ドゥケンヌ(ロゼッタ)、ファブリッツオ・ロンギーヌ(リケ)、アンヌ・イェルノー(ロゼッタの母)、オリヴィエ・グルメ(社長)ほか
映画「ロゼッタ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ロゼッタ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ロゼッタの予告編 動画
映画「ロゼッタ」解説
この解説記事には映画「ロゼッタ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ロゼッタのネタバレあらすじ:起
ここはキャンプ場の中にあるトレーラーハウス。ロゼッタ(エミリー・ドゥケンヌ)はここで母(アンヌ・イェルノー)と貧しい暮らしをしていました。母子はロゼッタが工場務めで稼いだ金と、母が縫った古着を売った僅かな金を生活費とし、近くの池に手製の罠を仕掛けては魚を捕って食糧の足しにしていました。
キャンプ場には正規の出入り口の他に、普段人目につかない秘密の裏口があり、ロゼッタはそこで隠していた靴を履き替えて外出していました。いつかこの生活から抜け出したい一心で必死に頑張っているロゼッタでしたが、彼女は時折襲いかかる持病の腹痛に悩まされていました。
ロゼッタの母はアルコール依存症に悩まされており、本来ならば医者から酒を止められているはずなのですが、ロゼッタに内緒で男に体を売って酒をもらっていました。そのことに気付いたロゼッタは男を追い返し、母から酒を取り上げるといったことがしょっちゅう起こっていました。
そんなある日。ロゼッタは突然勤めていた工場を解雇されました。理由は何も告げられず、激怒したロゼッタは上司を殴り飛ばし、工場内に立て籠って抵抗しましたが、どうにもなりませんでした。ロゼッタは仕方なく役所に求職申請をしに出向きますが、前職の職歴が短いため断られ、生活保護を申請するよう勧められました。しかし、ロゼッタはあくまでも自力で生きていきたいと考えているのです。
ロゼッタのネタバレあらすじ:承
ロゼッタの行きつけのワッフル店では新人のリケ(ファブリッツオ・ロンギーヌ)という青年が働き始めていました。ロゼッタは自分にも仕事があるのではないかと思い、ワッフル店の社長(オリヴィエ・グルメ)に打診してみるも、あっさりと断られました。しかし、ロゼッタの様子が気になったリケは、こっそりとキャンプ場までついて来て、警戒するロゼッタに店に欠員が出たことを伝えました。こうしてロゼッタは早速翌日からワッフルの生地作りの現場で働き始めました。
そんなある日、ロゼッタが帰宅するとトレーラーハウスの水道が止められていました。ロゼッタは母に金を渡して管理人に支払わせに行かせましたが、一向に水が出る様子はありませんでした。そこでロゼッタは管理人の元へ行ったところ、なんと母は管理人と寝ていました。激怒したロゼッタは母にアルコール中毒の治療を受けさせるために病院に連れて行こうとしましたが、母は激しく抵抗しました。
トレーラーハウスを出ていく決断をしたロゼッタはリケのアパートに上がり込み、アパートの空き部屋を紹介してもらいました。ロゼッタはリケの部屋に招かれ、酒や食事を振る舞われました。ロゼッタも嬉しそうに特技を披露しますが、部屋にワッフルの焼き型があるのを見つけたロゼッタはリケに、店のワッフルの数をごまかしているのかと問うと、リケはあっさりと認めました。
それからロゼッタはリケがドラムを担当しているバンドの音源を聞かせてもらい、一緒に踊ろうとしましたが、またもや腹痛がロゼッタを襲いました。一旦はリケの部屋を飛び出したロゼッタでしたが、程なくして彼の元に戻り、この日はリケの部屋で一晩を明かすことにしました。
ロゼッタのネタバレあらすじ:転
翌朝、リケのバイクに乗せてもらって出勤したロゼッタでしたが、社長は自分の息子を働かせることにしており、ロゼッタはまたもやクビになることとなりました。ロゼッタは必死に抵抗するもクビは撤回されず、仕方なく新しい仕事を探すことにしましたが、どこも雇ってはくれませんでした。
結局キャンプ場へ戻ったロゼッタでしたが、秘密の裏口を使っているところを管理人に見られてしまい、咎められてしまいました。管理人がバイクで去った後、ロゼッタは池に仕掛けた罠にかかった魚を捕ろうとしたところ、再びバイクの音が響いたため、慌てて魚を池に投げ捨ててしまいました。
ところが、やってきたのは管理人ではなくロゼッタを心配してきたリケでした。リケはロゼッタに金を貸すと申し出ましたが、それよりもロゼッタは逃がした魚のことで頭がいっぱいでした。リケは一緒に魚を捕まえようとして誤って池に転落してしまい、ロゼッタの脳裏にはこのままリケが溺れ死んでしまえばまた仕事がもらえると、邪な考えまで浮かびました。しかし、どうしてもリケを放っておけないロゼッタはリケを必死で引っ張り上げて救助しました。
翌日、ロゼッタは気まずさからリケに見つからないようにこっそりワッフル店の前を通ろうとしましたが、見つかって呼び止められました。ロゼッタの身を案ずるリケは自分が焼いたワッフルを隠れて売ろうと提案しますが、ロゼッタはあくまでもきちんとした仕事を探すと言って断りました。
その後、社長の元を訪れたロゼッタは、リケがワッフルの数をごまかしていたことを告げ口してしまいました。激怒した社長はリケをクビにし、ロゼッタはリケの代わりとして再びワッフル店で働くこととなりました。
ロゼッタの結末
ロゼッタに裏切られたことを根に持つリケは仕事帰りのロゼッタをバイクで追いかけ回して問い詰めましたが、ロゼッタから「仕事のためよ!」と言われると、何も言い返せなくなりました。
翌日、仕事をこなしていたロゼッタの元にリケが客として現れ、これまで笑顔で仕事をしていたロゼッタの表情からは笑顔が消えました。リケはその後も店に居座り続けましたが、結局は諦めて帰っていきました。
仕事を終えてトレーラーハウスに帰宅したロゼッタは、酔い潰れて外で眠り込む母を見つけて愕然としました。母をベッドに寝かせたロゼッタは社長に電話をかけると「仕事を辞めます」と一言だけ伝え、キッチンのガス栓をひねってベッドに横たわりました。全てに絶望したロゼッタは母を道連れに心中しようとしたのですが、途中でガスが切れたため未遂に終わりました。
ロゼッタは管理人から新しいガスボンベを受け取り、トレーラーハウスに戻ろうとしていると、そこへバイクに乗ったリケがやってきました。ロゼッタはリケを追い払おうとしますが、ガスボンベの重さによろけて倒れ込んでしまいました。
リケは何も言わず、泣き崩れるロゼッタを抱き起こしました。ロゼッタは何も語ることなく、ただ涙を流しながらリケの顔を見つめていました。
以上、映画「ロゼッタ」のあらすじと結末でした。
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