かもめ食堂の紹介:2005年日本映画。フィンランドのヘルシンキの食堂を舞台に、食堂の女経営者と、食堂に現れる個性豊かな客との交流の日々を描いたヒューマン・ドラマ。ゆったりと流れる優しい時間に、心癒される作品です。群ようこの小説が原作となっています。
監督:荻上直子 出演者:小林聡美(サチエ)、片桐はいり(ミドリ)、もたいまさこ(マサコ)、ヤルッコ・ニミエ(トンミ)ほか
映画「かもめ食堂」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「かもめ食堂」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「かもめ食堂」解説
この解説記事には映画「かもめ食堂」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
かもめ食堂のネタバレあらすじ:起
サチエは、フィンランドのヘルシンキに「かもめ食堂」をオープンします。もともと店舗だったお店を使って一人で開店したそのお店には、物珍しそうに中の様子を眺めている人はいても、肝心のお客さんは全然やってきませんでした。サチエは一日中コップを磨くような暇な日が続いていましたが、そんなかもめ食堂に初めてのお客さんがやってきます。
やって来たのは、日本の文化に興味を持っているトンミという青年で、彼は片言の日本語で挨拶すると、コーヒーを注文するのでした。トンミは、サチエに日本のアニメ「ガッチャマン」のテーマ曲の歌詞を教えて欲しいと頼みますが、サチエは冒頭の歌詞以外思い出すことができずにいました。
ある日、カフェに寄ったサチエは、偶然見かけた日本人女性のミドリに声をかけ「ガッチャマンの歌詞を教えてほしい」と頼みます。初めは戸惑っていたミドリでしたが、彼女はガッチャマンの歌詞を完璧に覚えており、すらすらとノートに書いて渡してくれるのでした。
ミドリは世界地図を広げて、たまたま指をさした国がフィンランドであり、それでフィンランドへ旅行に来たと言います。特にあてのないままフィンランドへ来てしまったミドリを、サチエは自分の家に招待するのでした。
かもめ食堂のネタバレあらすじ:承
ミドリは、サチエに「自分も食堂を手伝わせて欲しい」と頼みます。その日から、ミドリは「かもめ食堂」を手伝うようになるのでした。しかし店には相変わらずトンミしかやってきません。ミドリはサチエに、かもめ食堂を日本のガイドブックに載せることを提案しますが、サチエは「ガイドブックを見て来るような店ではなく、ふらっと入れるような店を目指したい」と話し、「毎日真面目にやっていれば、そのうちお客さんも来るようになる」と言うのでした。
ある日、かもめ食堂に、一人の男性がやって来ます。彼は美味しいコーヒーの入れ方を知っていると話し、サチエに披露しますが、それは心を込めておまじないをかけるというあっけないものでした。しかしそうやって入れたコーヒーの味は確かに美味しくなっており、彼は「コーヒーは自分でいれるよりも人にいれてもらう方が美味しい」と話します。
サチエは買い出しから戻ってきたミドリに先ほど教えてもらった方法でコーヒーを入れると、いつもより美味しいコーヒーに驚くミドリを見て笑うのでした。サチエとミドリがシナモンロールを焼くと、その香りに誘われるようにお客さんが入って来ます。そうやって少しずつ試行錯誤を続けるうちにかもめ食堂は現地の人にも受け入れられていくのでした。
そんな折、荷物が届かないという日本人女性・マサコがやってきます。サチエは困っている様子のマサコを励ましますが、何日たっても荷物が見つかる様子はありませんでした。マサコはかもめ食堂でサチエたちと話しているうちに、かもめ食堂の常連になるのでした。
かもめ食堂のネタバレあらすじ:転
かもめ食堂にはいつからか、ウィンドウ越しにいつも店内を睨み付けて立ち去っていく女性・リーサが来るようになっていました。ミドリは怪訝そうな顔でリーサを見ていましたが、そんな彼女はある日、ついに店の中へと入ってきます。彼女はお酒を注文するとサチエにも勧めますがサチエは断り、代わりに店内にいたマサコがリーサとともに酒を飲みます。しかしリーサは酒をあおるとすぐにその場で倒れてしまい、サチエたちが介抱することになるのでした。
サチエ達はリーサを家まで送っていくことにします。そして彼女はそのとき一緒に介抱をしてくれたマサコに身の上話しをします。リーサはある日突然、夫に逃げられてしまい、それ以来意気消沈していたのでした。その後、彼女は元気な様子で店を訪れコーヒーを注文すると、「日本には人を呪うような魔術はあるか?」とサチエたちに尋ねるのでした。サチエが藁人形の存在を教えると、リーサは早速実践し、どこかにいるリーサの夫は自分の胸に違和感を覚えるのでした。
その頃にはマサコもかもめ食堂で一緒に手伝いをするようになっており、リーサを加えた4人は店を休みにして街で優雅な時間を過ごします。しかし店に帰って来ると閉めたはずの鍵が開いており、恐る恐る店内に入った4人は、店に忍び込んだ男の存在に気がついて悲鳴をあげます。サチエが男を取り押さえると、それは以前美味しいコーヒーの入れ方を教えてくれた男性でした。
彼はかもめ食堂が入る前のこの店の店主であり、店を売り払った際にそのままにしていた機材を取り戻そうとしていたのでした。店を辞めて以来、家族とも上手くいっていない様子の彼を見て、サチエは日本のソウルフードとして店の看板メニューでもあるおにぎりを振る舞います。男性はおにぎりを恐る恐る口に入れると、その後は美味しそうにほお張り、サチエたちも一緒におにぎりを食べるのでした。
かもめ食堂の結末
サチエは店に泥棒に入った男性から幻のコーヒーをもらったことをマサコたちに話し、ミドリとトンミの4人で飲んでみることにします。ミドリはなせかもめ食堂の看板メニューがおにぎりになったのかとサチエに尋ね、サチエは父がにぎってくれたおにぎりの話しをします。特別な行事のときだけサチエの父はおにぎりをにぎってくれて、「おにぎりは自分で作るより人に作ってもらった方がずっと美味い」と話していたことを語るのでした。
そんなある日、マサコは今まで行方不明だった荷物が発見されたという連絡を受けます。マサコはかもめ食堂に行ってサチエとミドリに報告し、別れを告げて去っていきます。マサコとの突然の別れに、残された2人はなんだか寂しい気持ちになってしまうのでした。
荷物を受け取ったマサコでしたが、中を見てみるとそこに入っていたのは大量のキノコでした。確かに自分のカバンではあるものの、中身が違うことを改めて電話で確認していると、近くを通りかかった男性に猫を渡されてしまいます。再びかもめ食堂に戻ったマサコは、もうしばらく店に置いて欲しいとサチエに頼み、サチエは快く応じるのでした。
その後、かもめ食堂には大勢のお客さんが訪れるようになり、少し前まで閑古鳥が鳴いていた店内は満席になることもありました。ある朝、その日もかもめ食堂には他愛のない話しをしながら働く3人の姿があり、ドアが開く音とともにサチエの「いらっしゃい」の声が響くのでした。
以上、映画「かもめ食堂」のあらすじと結末でした。
「かもめ食堂」感想・レビュー
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映像がシンプルで美しく、音は控えめで静かに進行します。今よりもフィンランドに関する情報が少なかった時期に作られた、先駆的な作品でもあると思います。淡々と物語は進行しますが、店にかかわる人々が一人また一人とあらわれるにしたがって、さろげなく盛り上がってゆきます。おにぎりをはじめとする、飾り気のない料理の数々も印象的で、日々の食事の大切さも感じさせてくれます。
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結末や展開を楽しむ種類の映画ではなく、空気感、雰囲気を味わう映画。
何度観ても飽きることがなく、BGMのようにずっと流しておきたい。
女優陣がとにかくすばらしい。
丁寧に淹れたコーヒーを飲みながら、ゆっくりとした時間を過ごしたくなる。 -
2024年6月11日NHKの再々放送をじっくりと視聴して、小林聡美さんと、もたいまさこさんと片桐はいりさん演技力有る皆さんだからこその素敵な心が優しく成るストーリーですし、やっぱり猫が好きを見ていた私は、もたいまさこさんに、何故かおじさんが猫を渡して去って行った時には、だよね~と思いましたけれども、エンディングの井上陽水さんの歌声も心地良くって、人生は色々有るけれど、こんな風に人と人が少し寄り添ったりして紡いで行くんだなぁと思った映画です。最近は日本のおにぎり屋さんに外国人観光客が並んで迄も食べたいのだとのニュースを見ました。コーヒーもおにぎりも確かに誰かに作って貰った方が何だか美味しい気がします。
ロードムービー好きの友人に誘われ見に行きました。これを見て北欧のライフスタイルに染まった人、移住したくなった人も多いのではないでしょうか。多くの日本人には中々できない、シンプルな暮らしを楽しむといった憧れを体現している映画です。とにかくヘルシンキの街の色彩が美しくて行ってみたくなりますね。