流転の王妃の紹介:1960年日本映画。ベストセラーだった、満州国皇帝・愛新覚羅溥儀の実弟・溥傑に嫁いだ愛新覚羅浩(嵯峨浩)の自伝の映画化だが、登場人物はモデルとなった人たちと名前を変えられている。田中絹代の4本目の監督作品。脚本も女性で、夫の市川崑の映画作りの不可欠な協力者だった和田夏十。
監督:田中絹代 出演者:京マチ子(呼倫覚羅竜子)、船越英二(溥哲)、金田一敦子(皇后)、東山千栄子(菅原直[竜子の祖母])、沢村貞子(菅原和子[竜子の母])、竜様明(溥文[皇帝])、ほか
映画「流転の王妃」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「流転の王妃」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「流転の王妃」解説
この解説記事には映画「流転の王妃」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
流転の王妃のネタバレあらすじ:起・結婚まで
1957年12月、天城山中で英生の遺体が発見される。遺体を確認した竜子は娘の顔にマフラーをかける。竜子は自分の運命が変わった日を思い出す。
1937年、公家華族の菅原家に生まれた竜子は画家を志して洋画家の木下の元で学んでいた。竜子は祖母にその日先生から油絵を描くにように言われたと大喜びで話す。その夜は母親と歌舞伎を観に行く予定。竜子にはないしょだが、それはお見合いを兼ねていた。
ところが、その日の朝、吹大将の訪問によって観劇の予定はふっとぶ。竜子が満州国皇帝の弟で陸軍士官学校に学んでいる溥哲の妃に内定したというのだ。竜子の親族は突然のことに戸惑い、とりわけ祖母は竜子を満州人の嫁などにしたくないと言って孫を抱きしめる。
日本・満州両国親善のために溥哲の結婚を急ぐ関東軍は、竜子以外の結婚相手も考慮するが、数多くの見合い写真の中から竜子を選んだ溥哲の意志を尊重したいという朝吹大将のイニシアチブで、竜子と溥哲の見合いが菅原家で行われる。竜子の親族は皆、物静かだが暖かい人柄を感じさせる溥哲に安心し、竜子は彼らの判断にまかせると言う。
結婚が決まり、竜子は花嫁衣装で宮中に参内し、皇太后に会う。皇太后は幼かった竜子の父に会った思い出を語り、竜子に結婚の祝いの品を贈り、満州と日本の友好に期待をよせる。
流転の王妃のネタバレあらすじ:承・満州の生活
溥哲と竜子は満州に渡り、満州国首都の新京で皇帝や美しい皇后を前にして中国風の結婚式が行われた。首都建設の途上で家の前には原野が広がり、その家も皇帝の弟のものにしては地味だった。家計のやりくりも苦しかったが、夫の溥哲のやさしさに助けられる。子供の英生も生れる。満州人になりきろうと思う竜子は民衆とも触れあうことができたが、それらは彼らの反日感情に出くわすことでもあった。
皇帝は、皇帝でありながら関東軍の指図なしには動けない自分の身にいらだっていた。日本人の竜子にも疑いの目を向けていた。だが、何年か後に皇帝の家に親族が集まった機会に皇帝のピアノに合わせて英生がバイオリンを弾いた後、皇帝は竜子に、かつては日本のスパイと思っていたがもう疑いは晴れたと言い、精神不安定な皇后を助けてほしいと頼む。
流転の王妃のネタバレあらすじ:転・満州国の崩壊
太平洋戦争の緒戦で勝利をおさめた日本だったが、やがて敗色濃厚となり、満州国の立場も危うくなってきた。でも竜子は日本に帰るつもりはなかった。やがて1945年8月、ソ連が対日参戦し、満州国は首都を移転することになる。突然軍務を解かれた溥哲はショックで自殺しようとするが、竜子はそれを押しとどめる。皇帝を助けられるのは夫である。
やがて満州でも天皇陛下の玉音放送が聞かれる。日本の敗北をきっかけに皇帝は満州国解体を宣言する。皇帝と溥哲は飛行機で飛び立つ。溥哲と竜子は日本で再会することを約束していた。だが、皇帝は奉天でソ連軍に拘束されてしまった。
流転の王妃の結末:夫からの手紙
暴動が起きて、竜子は英生と皇后をともなって避難する。難民たちは徒歩で移動し、途中で命を落とすものもいた。やがて竜子たちは人民解放軍に逮捕され、皇帝の一家は民衆に雪をぶつけられながら監獄へ歩く。
監獄で竜子はアヘンが切れて苦しむ皇后の世話をしたが、釈放された時についに皇后と離れ離れにされてしまった。しかし竜子と英生はやっとのことで日本引き上げの船に乗り、佐世保に上陸する。
竜子と英生は実家の屋敷の焼け残った部分で竜子の両親と生活する。英生も学校に通う。夫の行方はわからないままだったが、英生が大胆にも周恩来首相に手紙を出したことにより夫からの手紙が届く。夫は兄と共にまだ囚われの身だった。竜子は日本と中国の友好のために尽くそうと考え、英生にも中国人としての意識をもたせようとした。
その英生が自殺した。娘にプレッシャーを与えてしまったのではと悔やむ竜子。英生の死を伝える手紙に夫から返事が来る。妻を慰め励まし、共に生きていく意志を夫は伝えるのだった。
以上、映画「流転の王妃」のあらすじと結末でした。
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