孤独な嘘の紹介:2005年イギリス映画。「完璧な人生など存在しない。平穏な暮らしには秘密や不満が潜む」と映画の冒頭で述懐する主人公。美しい田舎の別荘、ロンドンでの充実した仕事、若く美しい妻をもつ彼の暮らしの裏にあった秘密や不満が一つの自動車事故を通じて明るみに出される。『ゴスフォード・パーク』によりアカデミー賞脚本賞を受賞し、テレビシリーズ『ダウントン・アビー』のクリエイターでもあるジュリアン・フェロウズの初映画監督作品。
監督:ジュリアン・フェロウズ 出演者:トム・ウィルキンソン(ジェームズ・マニング)、エミリー・ワトソン(アン・マニング)、ルパート・エヴェレット(ビル・ビュール)、デヴィッド・ヘアウッド(マーシャル警部)、リンダ・バセット(マギー)ほか
映画「孤独な嘘」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「孤独な嘘」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「孤独な嘘」解説
この解説記事には映画「孤独な嘘」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
孤独な嘘のネタバレあらすじ:起・交通事故
裕福な弁護士で会社役員のジェームズはロンドンのアパートに加えてロンドン近郊、バッキンガムシャーの村に別荘を買って田舎暮らしを手に入れる。彼よりかなり若い妻、アンとの間に子どもはいないが、夫婦仲は円満だった。
村でクリケットの試合がありジェームズもプレイする。そこでアンは、地元の名士ローストン卿の息子ビル・ビュールと知り合う。ビルはニューヨーク生活をきりあげ、別れた妻との間にもうけた二人の息子と会えるように、今はロンドンにアパートを借りている。
アンが家でパーティーを開きジェームズは仕事が忙しく参加できなかった日の翌朝、家政婦マギーから前日夫が車にはねられて入院したという電話がかかる。アンが強く主張し、夫婦で直ちに病院に見舞いに行ったが、マギーの夫は亡くなる。夫をはねて逃げた車はレンジローバーだと彼女は言う。
葬儀の際ジェームズは、ビル・ビュールのレンジローバーに傷がないことに気づく。バーティーのあった日、車のキーをなくしたアンに頼まれてビルがアンを乗せてジェームズを駅に迎えに行った時には傷があったのに。ジェームズがビルにロンドンでランチをしながら問いただすと、彼は罪を認め、ジェームズは彼に警察への出頭を勧めた。
だが、帰宅してそのことをアンに話すと、アンはビルを追い詰めたジェームズを批判し、レンジローバーをそのとき運転していたのが自分であることを告白する。ジェームズは妻に自首させて彼女の人生を台無しにすることはできないと考える。だが、続けてアンがビルと不倫の関係にあることを告白すると激しく狼狽する。
孤独な嘘のネタバレあらすじ:承・妻が去る
ジェームズは仕事を同僚に託して、しばらくアンと誰も知り合いのいない土地へ旅行する。ビルといると、ジェームズといるときには得られない安らぎが得られたと、アンは言う。ビルは彼女に何も要求しないからだ。しかし、帰ったらビルとは別れることを誓う。
しかし、会議の予定がなくなり早めに別荘に帰った週末、ジェームズはアンとビルの関係が切れていないことに気づく。アンは別れようとしたけれど別れられなかったと説明する。その直後、ビルから電話があり、ジェームズとアンはローストン卿の屋敷に行く。
ビルによると、ガソリンスタンドの男もレンジローバーの傷が直されていることに気づいていた。そこで、警察から質問されたときに、事故の起きた6時15分にはジェームズがビルに電話していたことにしてくれと言われる。ジェームズはビルの無礼さに腹をたてて殴って帰ってしまう。後から帰宅したアンは、明日ビルとフランスに旅立ち二人は2,3週間パリで過ごすと告げる。
孤独な嘘のネタバレあらすじ:転・罪と向き合う
ひき逃げ事件担当のマーシャル警部にジェームズはビルが指示した通りに嘘をつくが、マギーは夫をはねたのがビルの車であることを覚えていた。しかし、マギーが家政婦を努めていたローストン卿の屋敷で盗難をはたらき、その目撃者がビルだったという過去のいきさつがあり、その恨みでビルに罪を着せようとしているのではと警部は疑っていた。
ジェームズが会議でパリに行くと、ジェームズの宿泊するホテルにアンからの「会いたい」とう伝言があり、翌朝公園で会う。自分の保身のためにマギーの信用を貶めてしまったことを知りアンは苦しむ。
一方、別荘で庭仕事をしながらマギーは、窃盗を犯した過去にもかかわらず自分を信用して雇い長い失業から救ってくれたアンへの感謝をジェームズに語る。自分の目撃証言を否定するビルの偽りのアリバイを証言しているのがジェームズであるとは知らずに。
妻と離れて暮らし孤独が募るジェームズが秘書と一夜ベッドを共にした朝、ロンドンに戻っていたビルから電話が来る。アンとけんかして、アンが「罪と向き合う」と言って出ていったと言う。ジェームズはビルの運転する車でマギーの家へ行く。
ジェームズの予想通りアンがいた。ジェームズとアンはマギーの夫をはねたのがアンであることを白状する。アンを守るためマギーは、既に家に呼んでしまったマーシャル警部が来ると、自分の見た車はビルの車とは違うようだと言って前言を翻し、警部を怒らせる。
孤独な嘘の結末:尽きない愛
アンはジェームズの元に戻り、平和な暮らしが帰ってきた。
しかし、ある日、ジェームズはロンドンでケンブリッジ大学時代の旧友に偶然呼び止められる。バッキンガムシャーに別荘があると言うと、友人は彼の親戚であるビルが末期ガンであることを話す。ビルを見舞ったジェームズは、アンには言わないように頼まれるが、アンにビルのことを話してしまう。ビルの世話をするためにアンは家を出て行った。
15か月後のある夜、ジェームズのロンドンの家をローストン卿が訪れる。息子へのアンの献身的な世話に感謝していることを言うためだった。その後ジェームズは、アンが病院を嫌うビルの看病を続けるアパートを訪れ、雨の降る中アンを呼び出し、君を愛している、だから自分との生活を幸福な思い出にしてほしいと告げる。
やがてビルは亡くなる。葬儀の後、ジェームズはロンドンに帰るアンを駅まで車で送るのだった。
以上、映画「孤独な嘘」のあらすじと結末でした。
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