セブン・イヤーズ・イン・チベットの紹介:1997年アメリカ映画。アイガーを制した男、オーストリアの登山家ハインリヒ・ハラーの自伝を映画化したものです。第二次世界大戦の最中、チベットに辿り着いたハラーは若き日のダライ・ラマ14世と出会い、家庭教師として7年間を共に過ごすのですが…。
監督:ジャン=ジャック・アノー 出演者:ブラッド・ピット(ハインリヒ・ハラー)、ジャムヤン・ジャムツォ・ワンチュク(ダライ・ラマ14世)、デヴィッド・シューリス(ペーター・アウフシュナイター)、B・D・ウォン(ンガプー・ンガワン・ジクメ)、マコ(クンゴ・ツァロン)ほか
映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
セブン・イヤーズ・イン・チベットの予告編 動画
映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」解説
この解説記事には映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
セブン・イヤーズ・イン・チベットのネタバレあらすじ:起
1939年秋、ナチスドイツの支配化にあったオーストリア。向こう見ずでプライドの高い登山家ハインリヒ・ハラー(ブラッド・ピット)は身籠った妻イングリッド(インゲボルガ・ダプクナイテ)に「子供なんて興味ない」と言い残して、仲間のペーター・アウフシュナイダー(デヴィッド・シューリス)らと共に、ヒマラヤ山脈の最高峰ナンガ・パルバット制覇を目指して旅立ちます。しかし、現地でもハラーの利己的な性格は相変わらず、些細な事から仲間たちとトラブルを起こしてしまいます。そんな時、登山中に雪崩が起こり、やむを得ずインド国境付近まで下山するも、そこでは運悪くドイツ軍とイギリス軍の交戦中でした。ハラーたちは敵国のドイツ人に間違われ、イギリス軍に捕らえられ捕虜になってしまいます。ハラーは妻とおそらく生まれたであろう我が子に手紙を書きますが、妻からの返信の中にあったのは離婚届でした。もはや帰る当てのないハラーはもう一度ヒマラヤに挑むべく、ペーターら仲間たちと脱走を試みます高峰の山を登ろうと、同じく捕虜となっている仲間と脱獄を試みます。幾度かの失敗の後、1942年にようやく脱走に成功したハラーとペーターは過酷な逃避行の末、1945年にチベットの都ラサに辿り着きます。
セブン・イヤーズ・イン・チベットのネタバレあらすじ:承
当時のチベットは外国諸国との交流はほとんどなく、外国人にとっては禁断の聖地とされていましたが、実際のチベットの人々は温厚で好意的で、官僚のツァロン(マコ)はハラーたちを外国人ゲストとして手厚くもてなしてくれます。ある日、ハラーはチベットの若き最高指導者ダライ・ラマ14世(ジャムヤン・ジャムツォ・ワンチュク)の母(ジェツン・ペマ)に家庭教師を頼まれ、ポタラ宮殿に出向きます。ダライ・ラマはまだあどけない少年でしたが、純粋で高貴な風格を兼ね備えています。以降、ハラーはダライ・ラマに西洋文化、語学、学問、マナーから自動車の運転に至るまで持てる限りの知識を教えていき、ダライ・ラマもまた素直に全てを学び取っていきます。ハラーとダライ・ラマは次第に心を通わせ合っていきます。また、ハラーとペーターはラサの人々にスケートの滑り方など持てる知識を教えていき、更にチベットの人々から信頼されるようになっていきます。
セブン・イヤーズ・イン・チベットのネタバレあらすじ:転
ペーターはラサで知り合った仕立屋で通訳の女性ペマ(ラクパ・ツァムチョエ)と結婚し、幸せな家庭を築いている一方、ハラーは離婚した元妻とまだ見ぬ我が子を思うと孤独感に苛まれていました。ハラーは故郷の息子に何通も手紙を書きますが、帰って来た返事は「僕はあなたを知らない。もう手紙をよこさないで」というものでした。失意のハラーにダライ・ラマは優しく寄り添い慰めます。二人の友情は更に深まります。もはや利己的だった過去のハラーはどこにもおらず、そこには友とチベットを愛する、人間的に大きく成長したハラーの姿がありました。しかし、平和な時代も長くは続きませんでした。中国大陸では毛沢東率いる中華人民共和国が発足、チベットを併合しようと目論みます。中国政府は全権大使(ヴィクター・ウォン)をラサに送り込みますが、ダライ・ラマは平和的な精神性を説き、宗教を否定する全権大使は激怒します。
セブン・イヤーズ・イン・チベットの結末
やがて中国の人民解放軍はチベット侵攻を開始し、100万人もののチベットの人々の尊い命が失われます。ラサでハラーたちを歓迎してくれた官僚の一人がチベットを裏切って中国側につき、激怒したハラーは官僚からもらって背広を投げ捨てます。1951年、チベットは遂に中国の侵略に屈し、独立を失ってしまいます。ちょうどその頃、オーストリアが既に終戦を迎えていることを知ったハラーは7年間を過ごしたチベットを去る決意をします。ハラーは家族と共にチベットに残るペーターと別れのバター茶を酌み交わし、ダライ・ラマに悲しい別れを告げます。ダライ・ラマは友情の証として、即位時から大事にしてきた綺麗なオルゴールを与え、去りゆくハラーの姿をいつまでも愛用の望遠鏡で眺めていました。ハラーは12年ぶりに故郷オーストリアに帰ってきました。既に元妻はハラーの友人と再婚しており、息子は中々ハラーに会おうとはしません。ハラーは息子の部屋にダライ・ラマから贈られたオルゴールをそっと置いて、その場を立ち去ります。やがて息子と和解を果たしたハラーは、成長した息子を伴ってアルプス登山へと旅立って行きました。
この映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」で、ブラッド・ピット扮するハインリヒ・ハラーは、実在のオーストリア人の登山家。
若き日のダライ・ラマの家庭教師を務めた人物だ。
このハラーは、ヒマラヤ山脈の未踏峰ナンガパルバットを目指すが、登頂に失敗します。
そして、この遠征を通じて、自分の栄光にしか興味のない、利己的なハラーの性格が明らかになっていきます。
問題は、ハラーが14歳のダライ・ラマと出会うまでの前半の80分、その悪党ぶりを延々と描いていることだ。
映像は抜群に素晴らしいが、物語の内容はつまらない。
この前半部分は、丸ごと余分だった気がする。
そして、この映画に生気が出てくるのは、ダライ・ラマが登場してからだ。
しかし、ハラーのまだ見ぬ息子とダライ・ラマをだぶらせる設定は、あまりにも安易だし、ブラッド・ピットの演技も説得力がない。
チベット仏教の入門編としても、出来がいいとは言えないと思う。
チベット人は、殺生を嫌う善人で、その伝統が殺生をいとわない悪者の手で抹殺されかけている—-、そんな欧米人の皮相な見方が丸出しになっている。
この映画の失敗は、俳優が前面に出てしまったことだ。
本物のハインリヒ・ハラーの姿は、画面に現われず、登場するのはプラッド・ピットだけ。
彼のファンは大喜びだろうが、映画として観た場合、それは致命的だ。