執炎の紹介:1964年日本映画。加茂菖子の同名小説にもとづくメロドラマ。後に監督となった伊丹十三の初期の出演作のひとつ。「南極物語」や「憎いあンちくしょう」で知られる蔵原惟繕が演出。脚色は監督とずっとコンビを組んできた山田信夫が担当している。
監督:蔵原惟繕 出演:浅丘ルリ子(久坂きよの)、伊丹十三(吉井拓治)、平田大三郎(吉井秀治)、宇野重吉(小島)、信欣三(きよのの父)、細川ちか子(きよのの母)、ほか
映画「執炎」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「執炎」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「執炎」解説
この解説記事には映画「執炎」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
執炎のネタバレあらすじ:起
久坂きよのと吉井拓治が出会ったのは、お互いが小学生の頃です。海沿いの崖で馬を走らせていたきよのが落馬。それを海から見ていた拓治と仲間たちが助けようと駆け寄りました。しかし鼻っ柱の強いきよのは拓治を「鼻ペシャ」と罵ります。この時、拓治は12歳、きよのは10歳でした。
執炎のネタバレあらすじ:承
やがて拓治は網元丸吉の長男として健やかに成長。水産学校を卒業後、家業に勤しみ、毎日海に出るようになります。船を製造するための建材買い付けに山に入った拓治は、山間にひっそりと佇む村に行き当たります。そこは源氏に追われた落武者が作った平家部落でした。喉が渇いた拓治はその村で1番大きな屋敷を訪ねますが、対応に出てきたのは若く美しい女性です。彼女こそ18歳となったきよのでした。この再会をキッカケに、拓治ときよのの間に恋の炎が燃え上がります。毎日砂浜で待ち合わせ、逢引を重ねるふたり。周りの漁師たちもふたりの仲に気づきましたが、きよのが山の村の娘であることから余り評判はよくありません。
執炎のネタバレあらすじ:転
やがて拓治に兵役の令状が来ます。入隊までに3日間の猶予がありましたが、その間もずっと拓治はきよのと過ごします。そして3年間の兵役が終わり、拓治は帰郷。彼はますますたくましい青年になっていました。翌年の秋、きよのと拓治は結婚式をあげます。平家部落の娘と漁師町の若者が一緒になるというのは白い目で見られがちですが、双方の両親たちの理解と努力によって村の人達に古い因習を忘れさせ、式も盛大なものとなりました。夫婦としての生活を歩み出すきよのと拓治。しかし、大陸での日本とシナの戦争はいつ果てるともなく続き、ついにはアメリカとの戦いまで始まってしまいます。拓治にも召集令状が舞い込み、再びきよのは彼と離れ離れに――。きよのは拓治の死を覚悟しますが、幸い、足の大怪我で一旦は除隊することができました。「もう歩けない」と医師に宣告された拓治ですが、きよのの必死の世話で再び足が使えるようになります。しかしこれが逆に災いとなり、拓治のもとに再び召集令状が……。急を告げる戦局は少しでも戦える若者を放ってはおきませんでした。
執炎の結末
やがて、拓治を心配する余りきよのは精神に異常をきたします。6月初めに拓治の戦死の公報が届けられますが、正気を失ったきよのにはかえって幸いでした。このままなら良かったのですが、盆踊りの日にふと正気に戻ったきよのは仏壇に置かれた位牌を見て拓治の死を知ってしまいます。そのショックに耐えられなかった彼女は海に身を投げます。戦争に翻弄されたふたりの恋はこうして終わったのでした。
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