シック・オブ・マイセルフの紹介:2022年ノルウェー, スウェーデン, デンマーク, フランス映画。ノルウェー、オスロ。20代を漠然と過ごしてきたシグネは、長年付き合ってきた恋人のトーマスがアーティストとして脚光を浴び始め、激しい嫉妬心と焦燥感に駆られていた。何者にもなれないシグネが嘘や誇張を重ね、人に注目されるためにある違法薬物に手を出す。薬の副作用で入院することとなり、恋人からの関心を勝ち取ったシグネだったが、その欲望はますますエスカレートして自分を見失っていく。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で絶賛されると、その後欧米を中心に世界の映画祭を席巻し注目を集めた。
監督:クリストファー・ボルグリ 出演:クリスティン・クヤトゥー・ソープ(シグネ)、エリリック・セザー(トーマス)、ファニー・ベイガー(マルテ)、フレデリック・ステンバーグ・ディトレフ=シモンセン(イングウェ)、サラ・フランチェスカ・ブレンネ(エマ)、イングリッド・ヴォラン(ベアテ)、スタイナー・クローマン・ハラート(スティアン)、アンドレア・ブライン・ホヴィグ(リサ)、フリーダ・ナットランド(ノーラ)、グリ・グランス(クリスティーナ)、ヘンリク・メスタド(エスペン)、マチルダ・フーグ(アーニャ)ほか
映画「シック・オブ・マイセルフ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シック・オブ・マイセルフ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「シック・オブ・マイセルフ」解説
この解説記事には映画「シック・オブ・マイセルフ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シック・オブ・マイセルフのネタバレあらすじ:起
ノルウェー、オスロ。高級レストランを訪れたしシグネと恋人のトーマスは、誕生日ディナーと偽り、高価なワインを注文しました。給仕人から記念にコルクを受け取ると、2人は隙を狙ってワインを持ったまま外で飛び出し、そのまま逃げてしまいました。
長年恋人でありながら競争関係にある2人。どちらがより巧妙な虚言を吐き、大胆に悪事を成功させるか。営業中の家具店からソファを盗み出すなど、2人はいくつも非常識な行いを日常的に行っていました。
ところがある日、その関係に変化が生じます。トーマスが現代アーティストとして評価され、市街地のギャラリーで個展を開催することとなったのです。トーマスはメディアからの注目を浴びるようになり、嫉妬に駆られたシグネは大げさな態度や虚言で彼の関心を引こうとしますが、すでにシグネへの興味は失っていました。
20代を漠然と過ごしてきたシグネは、やりたいこともなく、人生に行き詰まっていました。
シック・オブ・マイセルフのネタバレあらすじ:承
そんなある日、いつも通り退屈なカフェで働いていると、犬にかまれた女性が首から血を流し店に逃げ込んできました。女性の血を大量に浴びながら介抱すると、“突然の事態にひるまず介抱した女性店員”として救急隊から感謝され、帰り道では血に染まったシャツが人々の注目を浴び、帰宅すればトーマスからも心配され、これまでにない他者からの関心にシグネは満足感を覚えました。
そのエピソードは彼女の1つの勲章となりました。はじめは経験を語る彼女に皆が耳を傾けていましたが、注目は長くは続きません。周囲から飽きられてしまっても、シグネはその快感を忘れることができませんでした。
シグネはインターネットで原因不明の皮膚病を起こすロシア製の精神安定剤リデキソールの存在を知り、学生時代の友人を通じて手に入れ定期的な服用を続けました。
しばらくすると、シグネの腕と首にかすかに症状が出始めました。原因が特定されることを恐れて診察を拒み、トーマスに原因不明だったと偽って関心を得ようとしたシグネでしたが、彼は個展以降注目が続き自分の成功しか興味がありませんでした。
さらに薬の服用を続けるシグネは次第に日常生活に支障が出るほどの強烈な眠気や全身の痛み、そして顔中に出血を伴うひどいミミズ腫れを起こしてしまいました。すぐに救急車で病院に運ばれたものの、意識が朦朧とする中でも虚言が明るみになることを恐れて検査を拒みました。
シック・オブ・マイセルフのネタバレあらすじ:転
全身包帯で寝たきりのシグネに「もっと君に関心を持つべきだった」とトーマスは日夜病院で付き添いました。シグネはトーマス自身が表紙を飾った雑誌を持ってきたことにイラつき、お見舞いに来なかった友達にも腹を立てていました。
入院中はリデキソールが服用できないため徐々に快方へ向かったものの、依然として精密検査を受けようとしないシグネは、母親のすすめで治療センターのグループセッションに参加することになりました。しかしそこでも、入院患者たちの前で「世界初の症例」とうそぶき、参加者もそれぞれの症状の深刻さで競い合い、居心地の悪くなったシグネは悪態をついてその場を後にしてしまいました。
シグネはフェイスマスクを取り傷のある顔をSNSにアップし始めました。さらにローカル紙の記者を務める友人マルテに頼み、原因不明の病としてニュースサイトに取材記事を掲載してもらうことに成功。さらには新聞までもが発売され、シグネの胸は高鳴りました。
シック・オブ・マイセルフの結末
そんな中、あるアーティストがシグネの記事をリポストしたことで彼女は新進気鋭のモデル事務所から声がかかります。すでに活躍している四股形成不全の女性とともに念願のモデルデビューを果たしました。
早速、新ブランドの広告案件に意気込むシグネでしたが、皮肉にもその時すでに彼女の体調は日常生活を送れないほど悪化していました。手足はしびれて思うように動かすことができず、髪は抜け、吐血までしてしまう。それでもリデキソールを辞めることができず服用し続けていました。
広告撮影の当日。ついにシグネは頭から血を流し卒倒。身体は限界を超えてしまったのです。
一方、トーマスは作品で使用していた椅子が盗品であったことが明るみに出て逮捕されてしまいます。家の荷物はほとんど没収、モデルの夢も絶たれたシグネは意を決し、マルテにこれまでのことは全て自作自演であったことを告白しました。しかしシグネのあまりにも異常な行為にマルテはあきれて絶縁を突きつけます。
頼るものが何もなくなったシグネは治療センターのグループセッションに姿を見せました。
フロアにあおむけに寝て、みんなで「生きたい!生きたい!」と叫ぶと、シグネの目には涙がこぼれてきました。
次のセッションで外へ出たシグネは久々に笑顔をのぞかせていました。
以上、映画「シック・オブ・マイセルフ」のあらすじと結末でした。
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