悪魔の陽の下にの紹介:1987年フランス映画。ジョルジュ・ベルナノスの同名小説を映画化。人間の苦悩を見つめ、それを救おうと足掻く神父の姿を描いたサスペンス。苛烈な苦行と頑固な懐疑心を抱く神父ドニサンは、神への信頼が揺らいでいた。それでも聖職者であり続ける彼の前に悪魔が現れ、人の心を読む恩恵を与える。ドニサン神父は恋人を殺めた少女ムーシェットを救おうと、必死に心を砕くのだが。第40回カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを受賞。
監督:モーリス・ピアラ 出演者:ジェラール・ドパルデュー(ドニサン神父)、サンドリーヌ・ボネール(ムーシェット)、モーリス・ピアラ(ムヌウ・スグレ神父)、アラン・アルキュール(カディニャン侯爵)、ヤン・デデ(ガレ医師)ほか
映画「悪魔の陽の下に」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「悪魔の陽の下に」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
悪魔の陽の下にの予告編 動画
映画「悪魔の陽の下に」解説
この解説記事には映画「悪魔の陽の下に」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
悪魔の陽の下にのネタバレあらすじ:起・苦悩する神父と少女
舞台は北フランス。教区の助任司祭を務めるドニサン神父は、厚く神を信奉する傍らで自信を失っていました。懺悔を聞いても誰ひとり救うことが出来ず、思わず主任司祭ムヌウ・スグレ神父に「目に映るのは神の惨めなお姿ばかり」と告白します。彼は教えに潔癖であるが故に誤魔化しを許容出来ず、隠れて鞭打ちの苦行を自らに課していました。ムヌウ・スグレ神父は、聖職とは神に召されることだと語ります。
一方、没落貴族カディニャン侯爵の屋敷には、16歳の少女ムーシェットが忍び込んでいました。彼女は侯爵の子どもを妊娠しています。侯爵はムーシェットの妊娠により、彼女の父親や代議士のガレ医師からも攻撃され迷惑がっていました。人生を悲観するムーシェットに、責任は取るのでまず子どもを産むよう諭すカディニャン侯爵。ところが翌朝、彼はムーシェットに猟銃で射殺されてしまいます。
後日、ムーシェットはそのことを愛人のガレ医師に打ち明けました。侯爵の体に銃口を押し付け、至近距離で発砲したのだと。ムーシェットは弾が入っているとは思っていませんでした。しかしカディニャン侯爵の死は自殺として既に捜査が終わっており、自白しても誰も信じないとガレ医師は話します。自分と向き合わず、妻子のことばかり気にするガレ医師にムーシェットは絶叫しました。
悪魔の陽の下にのネタバレあらすじ:承・悪魔との出会い
ドニサン神父はミサの後、エタンプの老司祭を手伝うようムヌウ・スグレ神父から言われます。早速エタンプを目指して広大な原野を歩いていると、「暗いね」と声をかけられました。馬商人だという男に近道を教えられ、すっかり気を許したドニサン神父は彼からキスをされます。
その正体が悪魔だと気付いたドニサン神父は「失せろ!」と叫びました。悪魔は恩恵を施したと言い、今後誰を抱いても自分を思い出すだろうと笑います。ドニサン神父はいつの間にか気を失って倒れていました。
隣村の男に助けられ、夜も明けきらない村に戻って来ると、ムーシェットと鉢合わせます。ドニサン神父は彼女を見つめ、その罪や苦しみを一瞬で見破りました。悪魔が与えた恩恵とは、人の心を読む力だったのです。自滅の道を歩むムーシェットに、まだ手遅れではないと励ますドニサン神父。ムヌウ・スグレ神父にも説明し、ムーシェットを救おうとしました。しかし深い絶望を感じる彼女は自ら命を絶ってしまいます。
悪魔の陽の下にのネタバレあらすじ:転・奇跡
ムーシェットの遺体を発見したドニサン神父は、彼女を祭壇の前に寝かせ血まみれの胸に頬を寄せました。仰天したムヌウ・スグレ神父に事情を聞かれ、ドニサン神父は「神に お返ししようと」と答えます。しかし死者を祭壇の前へ運ぶなど前代未聞。ドニサン神父はしばらく修道院に入れられることになりました。
修道院を出た彼はランブルの司祭となりますが、苦悩はより強く、より深くなりました。愛する者もいない自分の人生は、無意味だったのではないかと。しかし村人はドニサン神父を聖者と慕っていました。
ある日、教区外のリュザンヌから我が子が危篤状態だという男がドニサン神父を頼ってやって来ます。急いで彼の家に向かうと、子どもは既に死亡していました。ドニサン神父は自分の中から「生き返らせよ」と囁く声を聞きます。彼は悪魔の勝利を感じながらも、子どもの遺体を高く掲げ祈りました。すると子どもは蘇り、母親は狂喜してドニサン神父に感謝します。ドニサン神父はよろめいて「今に分かる」「赦してくれ」と呟き、逃げるように家を後にしました。
悪魔の陽の下にの結末:苦悩の人生
教会に戻って来たドニサン神父は、苦しみながらも「悪魔よ 嘆け」と語ります。自分は悪魔を利用したに過ぎず、従わされたのは意識が無かった時だけだと。そして神に祈りを捧げ、「私が有用なら――この世に留め給え」と懇願しました。礼拝堂へ降りたドニサン神父は告解室へ入ります。大勢の村人が彼を待っていました。
彼らが懺悔を終えた後、礼拝堂にやって来たのはムヌウ・スグレ神父です。彼が告解室の扉を開けると、ドニサン神父は青い顔をして死亡していました。ムヌウ・スグレ神父が無言でドニサン神父の目を閉じてやり、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「悪魔の陽の下に」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する