1984年日本映画 監督:出目昌伸 出演:吉永小百合、西田敏行、三浦友和、津川雅彦ほか
昭和45年6月11日。死刑執行の日を迎えた林葉かよは独房で紅をさしていた。「私、きれいでしょうか」死刑執行の前、彼女は神父にそう尋ねた。紅だけをさした彼女の顔には不安や恐怖というより、行くべき場所にこれから行く期待感もあるように見えた。そしてかよは死刑台の階段を上っていく。
映画「天国の駅 HEAVEN STATION」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「天国の駅 HEAVEN STATION」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「天国の駅 HEAVEN STATION」解説
この解説記事には映画「天国の駅 HEAVEN STATION」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
忍び寄る影:天国の駅のあらすじ
林葉かよは腕のいい結城紬の織り子でだったが、暗い闇を抱えていた。
戦争に行き不具となった夫の栄三とつらい生活を送っていたかよ。「俺だっておまえを抱きたいんだ・・・」そんな気持ちをかよにぶつけ暴力を振るう栄三。栄三は初夜を迎えることなく出征していた。かよ自身も性的に満たされず自慰を行う。そんな様子を見て一人の警官橋本がかよに近づき、2人は男女の関係となった。ある日激しい暴力を受けたかよは、橋本からもらった白い粉を酒に入れ栄三に飲ませ、栄三は絶命する。橋本はかよの人生をさらに暗転させていく男だった。
過去は追ってくる:天国の駅のあらすじ
夫の死は殺人としては扱われなかった。橋本は警察を辞めかよの援助で大学へも通ったが、別に幸子という女を作りかよを裏切る。橋本は幸子にかよを姉と紹介していた。やがて幸子も橋本の本性を知り別れを決意する。意気投合したかよと幸子は橋本に手切れ金を渡し心機一転、温泉郷に移り住みかよはお土産屋を営み、幸子は芸者をして生計を立てていた。温泉郷の雑役をしている知恵遅れの一雄(通称 ターボ)は昔から自分に優しくしてくれるかよに好意を抱いていた。ある日、栄三の死を不審に感じていた五十沢刑事が店にやってきて、人を殺すことも可能だという白い粉、農薬パラチオンについてかよに尋ねた。かよは知らないと答える。やがてかよを気に入っていたホテル大和閣の主人の福見はホテル内にかよの結城紬の実演コーナーを作りかよに実演させるなど援助を始める。福見には精神病院に入院する妻がいた。ある日精神病院から帰った福見の妻は実演しているかよを見てすべてを察したように暴れまわりかよを殴った。そんな時橋本が温泉郷に現れる。彼の出現は次なる殺人の幕開けであった。
また殺していました 愛というものを知った時:天国の駅のあらすじ
福見は橋本にお金を渡し、追い返した。かよと一緒になりたかった福見は妻が邪魔になり、かよに思いを寄せるターボの気持ちを利用し、かよの為だといってターボに妻を殺害させる。そして雪の中を幸子の手に引かれ、白無垢で歩くかよの姿があった。福見の妻となったものの、かよの犯した罪は彼女を許すはずはなく、再びお金をせびりに橋本が現れる。幸子は自分とかよの幸せを壊そうとしている橋本を殺すしかないと列車に誘い出し殺害を試みるが、逆に幸子が誤って列車から谷へ転落し命を落とす。橋本の仕業と思ったかよは 橋本のもとへ行こうとするが、福見から行くならもう戻ってくるなと言われる。そしてかよは夫殺しを福見に打ち明けた。福見はターボを呼びかよをを抱かせるとだまし、首をしめ殺そうとした。福見はかよに手伝えと言うがかよは福見を刺す。自分を本当に愛しているのはターボなのだと改めてわかる。そしてかよは2人の夫を殺した女になった。
やはり私が行き着く先は、天国の駅:天国の駅の結末
かよとターボは雪の中、あてのない、勝ち目のない逃走を始める。湯治場まで逃げてきた2人はお互いの気持ちを確かめあう。ひとときの幸せの時間。駅へたどり着き、切符を求めるが返事はない。警察が待ち構えていた。五十沢刑事はかよに尋ねた。「どうして2人も殺してしまったのか?」かよは、「愛が欲しかったんだと思います。」そして、ターボも同じ日に死刑が執行された。愛で結びついた2人は、天国でしか結ばれることはできなかったのだ。
かよがあまりにも綺麗だったばかりに、不運な事に巻き込まれてゆく悲しみ。ただ、かよにも男を見る目がなかったのかもしれません。
最後の吉永小百合さん、見事でした。