テンタクルズ(別題:怪獣大パニック/テンタクルズ)の紹介:1977年イタリア映画。動物パニック映画の代名詞『ジョーズ』の大ヒットの流れを受けて製作された、イタリアとアメリカの合作によるB級パニック・ホラー映画です。次々と人を襲う巨大タコに立ち向かう人々の戦いを描きます。
監督:オリヴァー・ヘルマン 出演者:ジョン・ヒューストン(ネッド・ターナー)、シェリー・ウィンタース(ティリー・ターナー)、ヘンリー・フォンダ(ホワイトヘッド)、ボー・ホプキンス(ウィル・グリーソン)、デリア・ボッカルド(ヴィッキー・グリーソン)、チェザーレ・ダノーヴァ(ジョン・コーリー)、アラン・ボイド(マイク)、シェリー・ブキャナン(ジュディ)、クロード・エイキンス(ロバーズ警部)ほか
映画「テンタクルズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「テンタクルズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
テンタクルズの予告編 動画
映画「テンタクルズ」解説
この解説記事には映画「テンタクルズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
テンタクルズのネタバレあらすじ:起
7月。カリフォルニア州の海沿いの街サロナビーチで、生後10ヶ月の赤ん坊が行方不明になる事件が発生しました。それから間もなくして今度は船で作業中だった海上監視員が行方不明となり、海の中で変死体で発見されるという事件が発生しました。
事件の捜査にあたったロバーズ警部(クロード・エイキンス)は、ベテラン新聞記者のネッド・ターナー(ジョン・ヒューストン)に捜査の結果が出るまでは人騒がせな記事を書くなと釘を刺していました。
発見された死体は骨だけになっており、当初は海上監視員は港のトンネル工事のため海底の岩石を吸い込んでいたパイプに巻き込まれたものだと考えられていましたが、赤ん坊は工事現場から離れた場所で行方不明になっており、捜査は非常に難航していました。
一方、海底トンネルの建設を請け負っている「トロージャン・トンネル会社」社長のホワイトヘッド(ヘンリー・フォンダ)は、自社がターナーに嗅ぎ回されていることを知り、会社の身の潔白を証明するため工事責任者のジョン・コーリー(チェザーレ・ダノーヴァ)に現場付近の調査を命じました。
テンタクルズのネタバレあらすじ:承
独自に連続失踪事件の謎を追うことにしたターナーは、海洋学者のウィル・グリーソン(ボー・ホプキンス)の元を訪れました。ウィルは助手のマイク(アラン・ボイド)と共に “サマー” “ウィンター” と名付けた2匹のシャチの飼育をしていました。いつか海の神秘を解き明かしたいというウィルは、トロージャン社の依頼を受けて部下のダイバー2名を現地に向かわせたことを明かしました。
ウィルは元々自ら潜水して調査するともっぱらの評判でしたが、あまりにも深く潜水しすぎたために身体を壊してしまい、妻のヴィッキー(デリア・ボッカルド)から固く潜水を止められていたのです。
ウィルが送り込んだダイバー2名は “何か” に襲われて命を落としました。ターナーはコーリーの元を訪れ、今回のダイバー2名の不審死を含む一連の事件とトロージャン社のトンネル工事との因果関係を問いましたが、コーリーは「あのトンネルには何の問題もない。これ以上の詮索はよせ」と関与を全面否定しました。
部下の死因を知りたいウィルはヴィッキーの反対を押し切り、危険を承知でマイクと共に自ら海に潜って調査しました。その結果、数多くの魚がなぜか海底に頭を突っ込んで死亡していることが明らかになりました。
テンタクルズのネタバレあらすじ:転
ウィルとマイクは、魚の不審死はトロージャン社がトンネル工事の際に使用した電気振動装置が発していた違法な量の高周波と関連があるのではないかと考えました。魚たちは非常に強い力で引きちぎられており、サメの仕業とも考えられましたが、ウィルは巨大なタコの仕業ではないかと考えました。
一方、ターナーとロバーズ警部は被害者はいずれも無線通信をしていた、もしくはラジオを聴いていたことを突き止めました。コーリーはホワイトヘッドの問いに対し、時間や経費削減のために時には違法な手段を用いていたことを認めました。
やがて友人と夜釣りに行っていたヴィッキーは“何か”に襲われて命を落とし、ウィルは妻の命を奪ったのは巨大なタコだと断定しました。ウィルは、普段おとなしいはずのタコはどうやら電気振動装置が発した高周波の影響で本能を狂わされて凶暴化したものだと推測、吸盤の力はトラの爪に匹敵する程の強力な力があるとターナーに語りました。
ターナーの妹ティリー(シェリー・ウィンタース)の息子たちが参加した少年ヨットレースの最中、遂に“何か”の正体である巨大なタコが姿を現し、参加者たちのヨットは次々と転覆させられ、ティリーの息子の友人は命を落としてしまいました。
テンタクルズの結末
ウィルはヴィッキーの仇を取るため巨大タコを退治することを決意、2匹のシャチをタコ退治に投じる考えをマイクに伝えました。ウィルはシャチの生態を観察しているうちに、シャチの脳は人間と同じサイズであり、敵を見分ける能力を有していることに気が付いていたのです。
ウィルはマイクと共に水中銃を持って再び海に潜りましたが、巨大タコは棲み処としている岩盤地帯で落石を起こしてウィルたちを追い詰めました。ウィルたちが絶体絶命の危機に陥ったその時、ウィルがあらかじめ海に放っていた2匹のシャチが現れてタコと戦い始めました。壮絶な死闘の末、2匹のシャチはタコを食いちぎって倒し、一部始終を見ていたウィルとマイクは海中で握手を交わしました。
周囲はようやく平和を取り戻し、ウィルとマイクはシャチが戻ってこなかったらアフリカ旅行でもしようかと話し合っていました。そこに2匹のシャチが舞い戻り、ウィルは旅行は中止だと笑いながら告げました。
以上、映画「テンタクルズ」のあらすじと結末でした。
「テンタクルズ」感想・レビュー
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最初の方からシャチを飼育しているシーンがあったので、海の王者のシャチを放せば、タコなんて食いちぎるのにと思って観ていたら、予想通りの結末になりました。
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この映画「テンタクルズ」は、「ジョーズ」の世界的大ヒットの影響で、そのおこぼれにあやかろうと、続々と公開された”魚介類パニック映画”の1本で、”トレンブル・サウンド方式”というどでかい音響効果で、劇場公開された作品だ。
この作品は、オリヴァー・ヘルマン監督のイタリア映画だというのに、主要な配役はジョン・ヒューストン、ヘンリー・フォンダ、シェリー・ウィンタースなどの大物アメリカ人俳優で、他の幾多の映画とはひと味違った出来栄えとなっている。
特に、冒頭のカリフォルニアの海岸で、母親がちょっと目を離したすきに赤ん坊が、タコにさらわれる場面の演出がなかなかいいのだ。
海辺にベビーカーを停め、日光浴している若い母親。
友人が車で通りかかったので、母親はベビーカーをその場に残し、道路を渡って友人の車に駆け寄る。そして、少しの間、話し込む二人。
画面手前には母親のクロースアップ。画面の奥にはベビーカー。その間にある湾岸道路を、何度か車が横切る。
その度にベビーカーが車の影になる。見るからに「あ、このベビーカーはタコに持って行かれるな」というのが、まるわかりの構図なのだが、何度か車が通っても、ちゃんとベビーカーは残っている。
それで、少し気が抜けた頃合いに、突然大きなトラックがフレームインしてきて、サッと通り過ぎた時には、もうベビーカーが消えているのだ。
これは実にうまい。タコの早技と演出テクニック、どちらもお見事だ。
だが、この映画でよかったのは、正直、この冒頭のシーンのみで、その後の展開は、あまり面白くない。タコの全身は普通のタコを大きく撮って見せ、触手などの人間が絡む部分は巨大な作り物で、この特殊効果がうまくいっていないということと、それ以上にお話しの展開のつまらなさが致命的だ。
新聞記者のジョン・ヒューストン、海底で作業をしている会社の社長のヘンリー・フォンダ、事件に振り回される警部のクロード・エイキンスなどが、もたもたとしてパッとせず、巨大なタコがいるらしいとわかっても、なぜか警戒もせずに船を乗り回すなどストーリー的にも整合性を欠いているところが随所に見られる。
そして、この作品の見せ場となるべき、巨大タコと闘うクライマックスでも、ボー・ホプキンスとその相棒の海中での行動に、不可解な部分があり、ボー・ホプキンスが飼っていた二匹のシャチとタコとの死闘も画面が暗くて、具体的によくわからないという有り様だ。
私はこの映画を見て、「ジョーズ」を思い出しました。たこの迫力に驚きを隠せませんでした。ストーリーもなかなかで、私を釘付けにしました。音楽も効果的で迫力を出すのに一役買っていました。このような雰囲気の映画は定期的に見たいものです。