愛と追憶の日々の紹介:1983年アメリカ映画。ラリー・マクマートリーの小説『Terms of Endearment』を映画化したヒューマンドラマです。時にぶつかり合いながらも深い絆で結ばれた似た者同士の母娘の波乱の人生を描き、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の最高賞をはじめ映画賞を総なめにした作品です。1996年には続編『夕べの星』が公開されています。
監督:ジェームズ・L・ブルックス 出演者:シャーリー・マクレーン(オーロラ・グリーンウェイ)、デブラ・ウィンガー(エマ・グリーンウェイ)、ジャック・ニコルソン(ギャレット・ブリードラヴ)、ジョン・リスゴー(サム・バーンズ)、ジェフ・ダニエルズ(フラップ・ホートン)、ダニー・デヴィート(ヴァーノン・ダハート)ほか
映画「愛と追憶の日々」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「愛と追憶の日々」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
愛と追憶の日々の予告編 動画
映画「愛と追憶の日々」解説
この解説記事には映画「愛と追憶の日々」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
愛と追憶の日々のネタバレあらすじ:起
早くに夫に先立たれた女性オーロラ・グリーンウェイ(シャーリー・マクレーン)は女手ひとつで娘のエマ(デブラ・ウィンガー)を育て上げてきました。美人であるオーロラを放っておく男はおらず、彼女はしばしばアプローチをかけられてきましたが意にも介しませんでした。やがて成長したエマは大学講師のフラップ・ホートン(ジェフ・ダニエルズ)との結婚を決意しますが、オーロラは向上心のないフラップを気に入らず、結婚式にも出席しませんでした。それでもエマは頻繁にオーロラと連絡を取り合い、実家に顔を出していました。
オーロラの家の隣には著名な元宇宙飛行士のギャレット・ブリードラヴ(ジャック・ニコルソン)が引っ越してきていました。ギャレットは年齢の割には奔放で女遊びも派手でしたが、オーロラはそんなギャレットが次第に気になり始めていました。
愛と追憶の日々のネタバレあらすじ:承
やがてエマは長男のトミーを出産、二人目を身籠った頃に夫フラップがアイオワ州デモインの大学の助教授に就任したことを機にオーロラと親友パッツィー・クラーク(リサ・ハート・キャロル)に別れを告げ、一家でデモインに引っ越していきました。
デモインで次男テディを出産したエマは、仕事に追われる割には安月給のフラップに不満を漏らすようになり、またフラップが帰宅しない日もあったことから、エマはフラップの浮気を疑って口論となり、ちょうど第3子を妊娠したこともあってオーロラから金を借りようとしましたが断られてしまいます。
そんなある日、スーパーでの支払いで金が足りずに困っていたエマは、かつて融資を断られたことのある銀行員サム・バーンズ(ジョン・リスゴー)に助けてもらい、これを機に妻子持ちのバーンズと浮気をするようになりました。その頃、オーロラもギャレットと親密な仲になっていました。
愛と追憶の日々のネタバレあらすじ:転
エマはフラップが大学構内で女子大生と親密そうになっている様を目撃してしまい、怒りのあまり3人の子供を連れてオーロラの待つヒューストンの実家に舞い戻っていきました。オーロラは娘の帰郷を大変喜んで歓迎しましたが、程なくしてフラップを許したエマは彼のもとに戻っていきました。その頃、ギャレットはオーロラに別れを告げていました。
エマはネブラスカの州立大の英文学科長に就任することになったフラップと共に現地に引っ越し、バーンズとの関係も終わりを迎えました。そんなある日、エマは子供と予防接種に行った際に脇にしこりが見つかり、検査の結果、悪性のガンであることが判明しました。
衝撃を受けたオーロラはパッツィーを伴ってエマを見舞いに行き、彼女をニューヨーク見物に招待するなどして励まそうとしましたが、エマの容態は日に日に悪化していき、娘の看病に追われるオーロラも疲労の限界に達していました。
愛と追憶の日々の結末
心身共に疲れ切ったオーロラの前にギャレットが現れ、短いひと時ながらもオーロラの心の支えとなりました。オーロラは万が一のことを考え、エマの子供たちを自分とパッツィーで引き取ることをフラップに提案しますが、さすがにフラップはそんな権利はないと拒否しました。それでもフラップはエマを見舞うと自らの過ちを悔み、最終的には子供たちをオーロラに託すことにしました。
いよいよ最期の時が近づいたエマでしたが、反抗期に差し掛かっていた長男トミー(トロイ・ビショップ)は母に対して未だに反抗的な態度を取り続けました。見かねたオーロラはトミーを平手打ちすると「ママの悪口は許さない」と告げて固く抱きしめました。その夜、エマはオーロラとフラップに看取られながら短い生涯を終えました。
エマの葬式の日、一家にはパッツィー、そしてギャレットらが駆け付け、哀しみに沈んでいたオーロラは孫の面倒を見てくれるギャレットの姿に少しだけ気分が穏やかになりました。
以上、映画「愛と追憶の日々」のあらすじと結末でした。
母と娘。ごく普通のアメリカの女二人。
母は娘を愛し、娘の選んだ結婚の相手を嫌い、時に慰め合い、時に罵り合い、長距離電話をかけ合う二人。
さりげない日常生活のリアリティが、なまじっかメロドラマ仕立てに粉飾をした物語より、遥かに心の奥深く、人生の真実を語りかけてくるのだ。
母がシャーリー・マクレーン。娘がデブラ・ウィンガー。
このシャーリー・マクレーンが、実に良い。
表面上の新鮮さだけを売りものにして、スターと称する女性が多い中、まさにこれが、本物の”女優”と言える、繊細な心理表現と華麗な存在感を見せて、我々観る者の胸をときめかせるのだ。
彼女の隣に住み、恩給で自堕落な生活を送っている、元宇宙飛行士がジャック・ニコルソン。
過去の栄光、その残照にすがる事しか生きる術がなく、それでいて優しい心で彼女を包む彼。
「イージー・ライダー」で彼が演じた、さ迷えるインテリという、その原点に返って、素晴らしい味わいだ。
やがて、娘の死による人生の別離。
ここでも、淡々とした描写は変わらないのだが、それだけに現実感もひとしおで、人の世の哀しみが胸に染みて泣かせる。