生きのびるために / ブレッドウィナーの紹介:2017年アイルランド, カナダ, ルクセンブルク映画。女性が一人では外出できないタリバン政権下のアフガニスタンを舞台にした切なくも勇気をもらえる社会派アニメーション。父がタリバンに連行され、母、姉、幼い弟だけが残され、パヴァーナは髪を切って男の子の服装をして家族のために働く。地雷を拾って亡くなった兄の物語と並行してストーリーが進んでゆく。エグゼクティブ・プロデューサーの一人はアンジェリーナ・ジョリー。
監督:ノラ・トゥーミー 声優: サラ・チャウドリー、ソーマ・バティア、アリ・バドシャー、シャーイスタ・ラティフ、ラーラ・サディク、ほか
映画「生きのびるために / ブレッドウィナー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「生きのびるために / ブレッドウィナー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
生きのびるために / ブレッドウィナーの予告編 動画
映画「生きのびるために / ブレッドウィナー」解説
この解説記事には映画「生きのびるために / ブレッドウィナー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
生きのびるために / ブレッドウィナーのネタバレあらすじ:起
路上に座ってパヴァーナは父親と商売をしている。パシュトー語とダリー語を代わりに読むという仕事だ。また、パヴァーナのドレスも並んでいる。タリバン政権下のアフガニスタンは、女性は買い物もすることができないし、一人で外を歩くことも許されない。女に物を売ったとして、ある商売人は取り締まりを受けている。女性は本を読んだり勉強をすることも許されていないが、路上で父と並んで座り、父はパヴァーナに口頭で学問を教える。この地域の歴史についてだ。
パヴァーナの売り物のドレスに犬が寄って来て、パヴァーナは犬を追い払うために少し大きな声を出した。すると、タリバンの兵士が、女が大きな声を出すなと怒鳴ってきた。彼はかつてパヴァーナの父の生徒だったイドリースだ。彼の隣には、大柄だが悲しそうな眼をした年配の兵士。パヴァーナと父は立ち上がると父は片足がなかった。先の戦争で失ったのだ。イドリースはパヴァーナと結婚できるかと聞き、同僚の兵士に「まだ子供だ」と戒められる。パヴァーナの父も「いいなづけがいる」と嘘をつく。
店じまいして、パヴァーナと父は家に帰った。帰宅するところを、イドリースは尾行し、陰から見ていた。貧しい佇まいの家に帰ると、母親が食事を作っている。家には母、姉、幼い弟が待っていた。「食事の前に物語を読もう」と父親はカーペットの下の隠し物入れから本を取り出す。そこにイドリースがほかの兵士たちと共にやって来て、「女に本を読ませている」と言って、父親を連行していった。
生きのびるために / ブレッドウィナーのネタバレあらすじ:承
母とパヴァーナは父の解放を求めて刑務所に行こうとするが、途中で、女だけで出歩くなと母親は兵士にひどく殴られる。家に帰って母を介抱するパヴァーナだったが、弟のザキは、ママ、ママ、と泣く。なだめるために、パヴァーナは物語を話し始める。ヒンズークシ山脈のふもとにある小さな村の勇敢な少年の物語だ。家の食糧もつき、パヴァーナは一人で買い物に行くが、女には売れないと断られる。兵士にも見つかり、走って逃げ帰る。
家でパヴァーナは自分の髪の毛を切り始めた。姉も手伝ってくれた。そして亡くなった兄が着ていた服を着て、少年のふりをして買い物に行く。少年というだけで何の問題もなく買い物ができ、喜ぶパヴァーナ。パヴァーナは、ある店で働いている少年をみつけた。以前のクラスメイトだった。彼女も少年のふりをしていた。今の名前をデラワと言う。彼女はパヴァーナに少年の名前を考えた方がいい、とアドバイスをくれた。
家に帰って家族で食事をした。パヴァーナを見て、母は兄にそっくりだと言う。パヴァーナはザキに催促され、物語の続きを聞かせる。祈りを捧げているとき、パヴァーナが少年の恰好をしていれば問題ないから、刑務所にお父さんを連れ戻しに行こうと言うが、そんなに簡単なものではない、と母に戒められ、パヴァーナは家を飛び出し、デラワに会いに行く。自分の名前は「オテシュ(火という意味)」だと言う。男なら自由に何でもできる、と祝福するデラワ。
デラワはキャンディー工場にオテシュを連れて行き、落ちているキャンディーを拾う。刑務所に父を連れ戻しに行きたいとオテシュは言うが、そんなに簡単にはいかないが、たくさん賄賂を渡せばありうるかもしれない、とデラワは言う。
生きのびるために / ブレッドウィナーのネタバレあらすじ:転
お金を貯めるために再び父と一緒にしていた商売を始めたパヴァーナ。読み書きします、というものだ。そこに、冒頭の大柄のタリバン兵士がやってきて、手紙を読んでほしいと言う。その手紙は、彼の妻が結婚式の帰りに交通事故で亡くなったというものだった。兵士はショックで立ち去っていく。
家に帰ってザキにまた物語の続きを話す。母親は、いとこに手紙を出し、自分の上の娘といとこの息子を結婚させ、カブールから私たちを連れ出してほしいと頼む。路上で商売をするパヴァーナのところにデラワが来て、いつか海に行ってみたい、という話をする。彼女たちはまだ海を見たことがなかった。パヴァーナは早めに家に帰り、パパに会いに行くと、姉に引き留められながらも飛び出して行った。刑務所まで行き、門番に「お金はあります」と言うが、放り出される。
もっとお金を貯めるために、デラワといろんな仕事をするが、力仕事は少女たちには大変だった。デラワはパヴァーナの兄について訊ねる。パヴァーナは兄のスリマンは死んだと答える。死んだ理由は母親から聞かされていない、と。
ある日、また商売をしていると、先日手紙を読んでもらった兵士が、前回お金を払うのを忘れたといって、多めにお金を渡して行った。家で姉ソラヤの晴れ着を準備する母。パヴァーナはまたザキに物語の続きを聞かせる。翌日また商売をしていると、手紙の兵士がやってきて、刑務所にいとこのオシャーンがいるから水曜日に行くといい、と言う。感謝するパヴァーナ。
パヴァーナとデラワが砂を掘る仕事をしていると、イドリースに出会う。はじめは気づかれないが、少年の恰好をしたパヴァーナだと気づいたイドリースは、二人を追いかける。2人は崖の洞穴に逃げ込む。イドリースは入り口で銃を放つが、兵士仲間に「西に行くよう命令が出た」と呼ばれ、去っていく。
家に帰って母から、戦闘が始まっているし、ソラヤが明後日に嫁に行くので、明日から家を出てはいけない、と言われる。もう男のふりをしなくていいのよ、と。パヴァーナは自分はここに残ってパパを待つ、と言う。せめてパパに行き先を伝えて杖を渡すまでは、と。
生きのびるために / ブレッドウィナーの結末
パヴァーナは父に会うために家を出ていく。途中デラワに、家族でマザリシャリフに行くことを伝える。20年後、海で会おう、と約束する。
その頃、家には母のまたいとこ(又従兄弟)が訪ねてくる。戦争で道が塞がれる前に迎えに来たのだ。母はパヴァーナを待たなければと言うが、またいとこは聞く耳を持たない。母、姉、弟は車に乗せられて連れて行かれる。パヴァーナが刑務所に着くと、オシャーンはいなかった。しかしあの手紙の兵士がいて、オシャーンは戦争に連れて行かれたことを教えてくれた。今から刑務所で戦えない奴らを処刑するところだと言う。父もその対象だ。そこでパヴァーナは自分があの教師の娘パヴァーナであることを老兵士に打ち明け、パパを助けてと願う。老兵士は日没までに自分がここに戻らかなったら逃げ続けろと言って、牢の中に入っていく。
パヴァーナは一人で物語を口にする。あの物語の主人公が、兄スリマンであることが、このシーンでわかる。村を救うために戦うスリマンの物語を思い描きながら自分を鼓舞する。砂漠で、またいとこの車から降りた母と姉と弟。私たちは行かない、と焚火の火がついた枝を持って抵抗し、またいとこは一人で去っていく。老兵士は瀕死の教師を助けようとしている。
日が沈もうとしていた。老兵士が教師をかついでいると、他の兵士に止められ、下ろすように言われる。パヴァーナはまだ兄の物語を想像しながら兄と話していた。そこに肩を銃で撃たれた老兵士が父をかついで出てくる。台車も用意してくれて、そこに父を乗せてくれた。できるだけ早く逃げるんだ、と。
姉や母や弟も砂漠を歩いている。月明かりの中、父とパヴァーナはこの地の歴史、地理、誇りを語り会う。パヴァーナの「花は雷ではなく雨で育つ」と、武力に反対する言葉で物語は締め括られた。
以上、映画「生きのびるために / ブレッドウィナー」のあらすじと結末でした。
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