知りすぎていた男の紹介:1956年アメリカ映画。旅行中のマッケンナ一家が思わぬトラブルに遭遇し、やがて巨大な政治的謀略に巻き込まれていくサスペンス映画。アルフレッド・ヒッチコック監督作品「暗殺者の家」のリメイクである。劇中歌「ケ・セラ・セラ」は、1956年のアカデミー歌曲賞を受賞した。
監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演者:ジェームズ・ステュアート(ベン・マッケンナ)、ドリス・デイ(ジョー・マッケンナ)、クリストファー・オルセン(ハンク・マッケンナ)、バーナード・マイルズ(エドワード・ドレイトン)、ブレンダ・デ・バンシー(ルーシー・ドレイトン)、ダニエル・ジェラン(ルイ・ベルナール)ほか
映画「知りすぎていた男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「知りすぎていた男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
知りすぎていた男の予告編 動画
映画「知りすぎていた男」解説
この解説記事には映画「知りすぎていた男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
知りすぎていた男のネタバレあらすじ:異国での出会い
舞台はフランス領時のモロッコ。アメリカ人医師ベン・マッケンナは、元ミュージカルスターの妻ジョー・マッケンナと息子ハンク・マッケンナとともに旅行中でした。一家はバスの中でルイ・ベルナールというフランス人と知り合います。夫妻はベルナールと夕食の約束をしますが、質問の多いベルナールにジョーは不信感を抱きます。その夜、ホテルの部屋ではジョーとハンクが「ケ・セラ・セラ」を歌いながら支度を整えていました。ベンはベルナールと会話を楽しんでいます。そのとき、夫妻の部屋を見知らぬ男が訪ねて来ました。部屋を間違えたと去っていく男を見て、ベルナールも突然部屋を出ていきます。夫妻は入店したアラビア料理店で、イギリス人のドレイトン夫妻と親しくなります。そこへ女性を連れたベルナールが来店。マッケンナ夫妻は不快に思い、ベルナールへの不信感を強くします。
知りすぎていた男のネタバレあらすじ:謎の遺言とハンクの誘拐
翌日、マッケンナ一家はドレイトン夫妻と市場を観光します。そんな彼らの前に突然背中を刺された瀕死の男が現れました。その男はなんと変装したベルナール。彼はロンドンで政治家が暗殺されると呟き、「アンブローズ・チャペル」という謎の言葉を遺して死亡します。マッケンナ夫妻はハンクをルーシー・ドレイトンに任せ警察の事情聴取を受けることに。そこでベルナールの正体はスパイだと聞かされます。事情聴取の最中、ベンに電話がかかってきます。電話口の男は、ベルナールの言葉を他言すればハンクに危険が及ぶと脅します。ベンは同行していたエドワード・ドレイトンに、先にホテルに帰って様子を見るよう頼みます。その後マッケンナ夫妻も遅れてホテルに戻りますが、ハンクの姿はありません。ハンクは人質としてドレイトン夫妻に誘拐されてしまったのです。ドレイトン夫妻こそ、ベルナールが探っていた暗殺計画の関係者だったのです。マッケンナ夫妻はハンクを取り戻すためロンドンへ向かいます。
知りすぎていた男のネタバレあらすじ:アンブローズ・チャペル
舞台をロンドンに移し、夫妻はハンク奪還のため動きはじめます。暗殺の情報を話すよう警察に迫られますが、ハンクの安全を第一に考え口を噤みます。やがて二人は「アンブローズ・チャペル」が建物の名前だと気づき、アンブローズ教会に乗り込みます。ドレイトンは教会で暗殺計画を練っていました。ドレイトンは暗殺者を雇い、アルバート・ホールで行われる演奏会の最中にターゲットを殺害するよう指示します。ハンクは別室に捕らえられていました。ジョーは警察を呼びますが頼りにならず、一人立ち向かったベンも返り討ちに遭い気絶してしまいます。再び連れ去られるハンク。ジョーは入国直後に話した警官に会うため、彼が要人警護をしているアルバート・ホールへ向かいます。
知りすぎていた男の結末:首相暗殺計画
アルバート・ホールに到着したジョーの前に、モロッコのホテルで部屋を訪ねて来た男が現れます。この男こそドレイトンに雇われた暗殺者でした。やがて始まった演奏会。ジョーが見上げるボックス席には暗殺者が、その正面には某国首相の姿がありました。遅れてやって来たベンに首相が暗殺されると説明するジョー。ベンは暗殺を阻止するため2階に駆け上がります。ジョーが恐慌状態で見上げたボックス席から覗いた銃口は、首相を狙っていました。ジョーは思わず悲鳴をあげます。その悲鳴で結果的に弾丸は首相の急所を外れました。暗殺に失敗した男は逃走中に転落死。さらにハンクがドレイトン夫妻と某国大使館にいるという情報が入ります。暗殺計画の黒幕は某国の駐英大使だったのです。そこで夫妻は先ほど助けた首相を頼り大使館に入ります。歌を頼まれたジョーは、高らかに「ケ・セラ・セラ」を歌い上げます。すると合わせるような口笛が大使館に響きました。夫妻はハンクがいることを確信、音を頼りにベンがついにハンクを見つけ出します。しかしドレイトンに見つかり、逃走を助けるよう命じられます。隙をついてドレイトンを階段から突き落とすベン。その騒ぎで集まった人をかいくぐり、ジョーのもとへ走ります。親子はようやく再会を果たし、この映画も終わりを告げます。
以上、映画知りすぎていた男のあらすじと結末でした。
映像の魔術師と言われる人が、映画界にも何人かいるようだが、その呼称がぴったりなのは、アルフレッド・ヒッチコック監督ただ一人ではないだろうか。
サスペンスとユーモアを巧みに織り合わせて、文字通り、ハラハラ、ドキドキの世界へ誘うスリラーの巨匠だ。
この「知りすぎていた男」は、まさに彼の代表作の一本で、現在の映画と比べて、テンポの違いが若干あるものの、ヒッチコックが繰り広げる世界に、グングン引きずり込む面白さは抜群だ。
マラケシュ観光に訪れたジェームズ・スチュアートとドリス・デイの夫婦が、要人暗殺計画に巻き込まれ、子供を誘拐されてしまう。
子供を取り返すため、ロンドンへ帰った二人の行く手に、謎と謎が重なり合うのだ。
一体、誰が味方で、誰が敵なのか?——–。
考え出すと、みんな怪しく思える前半のミステリアスなムード。
大使館の奥に捕らわれている、子供を助け出せるかどうかのスリル。
やはり、思わず声をあげたくなる巧さだ。
この「知りすぎていた男」は、ヒッチコックがイギリス時代に作った映画の再映画化だけに、ご本人も楽しみながら作っている余裕がある。
あの有名な「ケ・セラ・セラ」の歌も、この映画でドリス・デイが歌い、当時、大ヒットしている。
この歌は、実は子供を呼ぶ”母の叫び”として、実に効果的に使われているのだ。
いつもスリルにロマンを重ねるヒッチコックが、”母の愛”とは珍しいのだが、案外、「サイコ」や「マーニー」に現れる母親像に変化する原型なのかも知れない。
いや、それにしても、シンバルを使った暗殺計画の場面など、息詰まるスリルで、これぞ映画と言える、面白さに満ち溢れた作品なのだ。