交渉人の紹介:1998年アメリカ映画。この作品のキャッチコピーは「IQ180の駆け引き」で、殺人と横領の濡れ衣を着せられた人質交渉人が自らの無実を訴えるため、警察ビルに人質をとり立て籠もり、自ら指名したもう一人の優秀な人質交渉人との緊迫した交渉・駆け引きの中で、次第に真実が明らかになっていく様子を描いたアクション・サスペンス映画です。
監督:F・ゲイリー・グレイ 出演:サミュエル・L・ジャクソン(ダニー・ローマン)、ケヴィン・スペイシー(クリス・セイビアン)、デヴィッド・モース(アダム・ベック)、ロン・リフキン(グラント・フロスト)、ほか
映画「交渉人」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「交渉人」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
交渉人の予告編 動画
映画「交渉人」解説
この解説記事には映画「交渉人」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
交渉人のネタバレあらすじ:1.プロローグ:交渉人の仕事は命がけ
シカゴ警察東地区で働く敏腕交渉人ダニー・ローマンは、ある人質立て籠もり事件の交渉に当たっていました。彼の武器は、巧みな話術と肝っ玉の太さでした。犯人は、自分の娘を人質にし、女房を呼べと脅迫していました。その様子を小型監視モニターで見ていたSWAT隊長のアダム・ベックは「説得は無理だ。…突入しないと」と提言しました。先輩警官のグラント・フロストは「あと1分待とう。ダニーを信じるんだ」と言いつつ、ベックの部下に一斉突入の準備をさせました。ダニーは一計を案じ、犯人が籠もる部屋に入る決意をしました。ダニーはブラフをかけ、部屋に入りました。ダニーは、言葉巧みに犯人を寝室の窓近くにおびき寄せました。その隙に、人質は警官の手で保護されました。それを確認したダニーは、指で狙撃手に犯人の狙撃を合図すると、狙撃手は犯人の右肩を撃ち抜きました。犯人は逮捕されました。交渉人ダニーの仕事はいつも命がけでした。
交渉人のネタバレあらすじ:2.相棒ネイサンからの相談
その日の夜、アル・トラヴィス署長の60歳の誕生日パーティが盛大に開かれました。ダニー、ベック、フロストら警官たちとその家族が集まり、飲んで、踊り、楽しみました。その時、テレビでダニーの命がけの交渉で人質事件が解決したというニュースが流れました。みんなはダニーの活躍を褒め称えましたが、SWAT隊長のベックだけは違いました。彼はダニーに「俺の部下を危険にさらして、図に乗るなよ」と言ってきました。ダニーはベックに「誰も死んでないだろ」と言い返しました。そこへダニーの相棒・ネイサンがやって来ました。ダニーとネイサンは家族ぐるみで親しい仲でした。ネイサンはダニーを外の車の中に呼び出しました。ネイサンはダニーに、警察の年金基金を誰か警察内部の者が横領していることを告げました。また、その件には内務捜査局の人間も関係しているらしく、テレンス・ニーバウムの名前も挙がっているとのことでした。この件をネイサンに告げてきた警察学校の同期の内偵者も、誘われたらしいが断り、完全に脅えているとのことでした。ネイサンがこの情報をつかんだのは2週間前でした。ダニーは年金基金の役員をしていましたが、全く寝耳に水の話でした。この件についてはまた後で話すことになり、二人は別れました。
交渉人のネタバレあらすじ:3.相棒ネイサンの死
ダニーは、愛する妻・カレンと幸せに暮らしていた。カレンは、ダニーの仕事がいつも命がけの危険な仕事であることを、いつも心配していました。ある晩、ダニーは危険を顧みずに仕事に打ち込むタイプだったため、カレンはダニーに「毎晩、君のもとに帰る。無茶なことはしない」と約束させました。すると、ダニーのポケベルが鳴りました。ネイサンからでした。「11時半、フランクリン公園で」というポケベルのメッセージを確認し、車でダニーを待っていたネイサンは、誰かに撃ち殺されてしまいました。その犯人は近くの池に撃った銃を放り投げると早々に立ち去りました。暫くして、ダニーがネイサンから指定された場所に行くと、車の中で何者かにより殺されたネイサンの遺体を見つけました。すると直ぐに、警官たちがやって来ました。ダニーは「警官だ。仲間が撃たれてる」と言い、署に行きました。署で、ダニーはネイサンから聞いた年金基金横領の件を話ました。そこには、フロスト、内務捜査局ニーバウムがいました。ニーバウムは、ダニーに「その内偵者の名前は?」と聞きましたが、ダニーは名前は聞いていないと正直に答えました。ニーバウムはダニーに再度尋問しようとしましたが、ダニーは相棒ネイサンを殺され、頭にきており、部屋を出ていきました。ネイサンの葬儀が開かれました。悲しむネイサンの妻・リンダをダニーの妻・カレンが傍に寄り添い慰めました。ダニーも溢れる涙を止められませんでした。
交渉人のネタバレあらすじ:4.濡れ衣
ある朝、ダニーの家にネイサンを撃った銃が見つかったと言いフロスト、トラヴィス署長、内務捜査局ニーバウムが、家宅捜査に来ました。ダニーは何もやましいことはしていなかったので、家宅捜査をさせました。ニーバウムはダニーを疑っていました。すると、ある捜査官が、海外口座の預金明細を見つけました。ダニーは全く身に覚えがないと主張しましたが、署長やニーバウムはダニーを容疑者として連行しました。ダニーは年金基金横領犯と警官ネイサンの殺人犯という2つの濡れ衣を着せられ、署に連行されました。ベックはダニーを完全に疑い、「どの面下げてきたんだ。お前ならやりかねないからな」と言いました。署内では変な噂が飛び交い、ダニーはこれまで一緒に働いてきた仲間たちから、白い目で見られてしまいました。署長はダニーを呼び、「お前を停職処分にするしかない。銃とバッジを出してくれ」と命じました。ダニーは「俺は殺してません。これはワナです」と言い返しましたが、部屋を覗き込む同僚たちの疑いの目を見て、ダニーは銃とバッジを仕方なく、署長の机に置き、署を出ていきました。
交渉人のネタバレあらすじ:5.ダニーの決意
数々の事件を交渉術で解決してきた英雄ダニーは、一変して、横領犯と殺人犯という濡れ衣を着せられ、連邦政府ビルに連れて行かれました。そのビルのフロアで、偶然、ネイサンの妻・リンダと出会いました。リンダがダニーの釈明に耳も傾けず、「地獄へ堕ちればいいわ。…あんたたちが殺したのよ。…もう二度と私に話しかけないで。…私は絶対許さない。一生、あんたを憎み続けてやる」と涙を流しながらダニーの怒りをぶつけました。検察官は、ダニーの家から出た海外口座の入金額と横領された年金額が一致すること、ネイサンを撃った銃の湖から手袋が発見され硝煙反応が出ないことを理由に、ダニーを完全に犯人扱いし、尋問しました。弁護士は「状況証拠だけで犯人にはできない」と反論しましたが、無意味でした。弁護士は1日だけ猶予をもらうことにしました。そして、フロアに降りると、弁護士はダニーに「このままでは裁判で争っても勝ち目がない。取り引きするしかない。諦めろ」と告げました。納得がいかないダニーは、愛妻カレンに「無茶はしない。…すぐに戻る」と別れを告げると、ダニーはカレンと幸せに生きるために、一世一代の最終手段を実行することを決意しました。
交渉人のネタバレあらすじ:6.立て籠もり
ダニーは連邦政府ビルの20階にある内務捜査局に押し入りました。そして、ニーバウムの部屋に入っていきました。ダニーはニーバウムに問いつめましたが、ニーバウムの疑惑は消せませんでした。ダニーはニーバウムを人質にして、内務捜査局員を追い出し、立て籠もろうとしました。そこへ同僚警官フロストがやってきました。ダニーは、ニーバウム、その助手マギー、たれ込み屋ルーディ、同僚警官フロストの4人を人質にしてビルに立て籠もりました。この事件の通報を受け、シカゴ警察東地区署が総動員されました。ダニーは、ニーバウムに「外の連中の中に、あんたの仲間がいるのか。俺の捜している犯人たちが。真実を聞き出す前に、俺を殺す気だ。口封じのために、あんたも殺すぞ」と言いました。警官たち、SWATのメンバーたちは、所定の位置につきました。どちらが先に主導権を取るかが、まず最初の関門でした。ダニーは、ビニルテープや段ボールなどを使って、窓や部屋へ侵入できる通気口などを完全封鎖していきました。そして、監視カメラは全て壊し、部屋の中は完全に見えない状態にしました。そこにFBIで交渉担当をしているグレイとモランがやって来ました。グレイたちは連邦政府ビルは自分たちの管轄だが、立て籠もっている犯人が地元署の仲間であるので、当面は地元署に任せることにしました。ダニーと連絡をとるため、駆けだし交渉人ファーリーが電話をかけました。ダニーは「クリス・セイビアンとしか話さない。20分以内にセイビアンが来なかったら、ルーディを殺す」と言いました。
交渉人のネタバレあらすじ:7.敏腕交渉人クリス・セイビアン
クリス・セイビアンは、西地区の交渉人で、粘り強く犯人と交渉し、一度も武力解決に持ち込んだことがないという敏腕交渉人でした。ダニーは警察署内部にも裏切り者がいるために、あえて西地区の交渉人セイビアンを指名したのでした。彼ならば自分を救ってくれるとダニーは考えたのでした。早速、署長はセイビアンに連絡をとるように指示しました。その頃、セイビアンは家族でスキー旅行に行くところで、娘の態度に腹を立てた母親を説得しているところでした。セイビアンは「爆弾犯を説得できて、女房子供に手を焼くのか…」と愚痴をこぼしていました。するとそこにセイビアンに、東地区署から事件解決のため、20分で来て欲しいという電話が入りました。セイビアンは急いで現場に向かうが、20分かかると告げました。それではダニーが指定した時刻に間に合わないと判断した署長は、ファーリーからダニーに電話して、少し待ってもらうように交渉しろと命じました。ファーリーは指示通り、ダニーに電話をし、事の次第を告げて待ってもらうように頼みました。電話での交渉は、ダニーの方が何枚も上で、ファーリーを電話で交渉術を指南しました。ファーリーはもう汗だくでした。ダニーは空砲を撃ち、ファーリーを脅して、「セイビアンを時間通りに連れてこい」と命じました。
交渉人のネタバレあらすじ:8.「突入する以外に道はない」
司令所では、署長はベックに「相手はダニーだ。12年のつきあいだ。相棒を殺すとは思えない」と言いましたが、ベッグは「だが、人質を捕っている。今は犯人です」と言い返しました。署長もベックも、相手が今まで共に働いてきたダニーなので、私情がはさまること危惧していました。交渉のプロであるダニーが相手ということもあり、ベッグは「突入する以外に道はない」と署長に進言しました。その頃、ビル内では、同僚警官フロストが他の人質たちに、「ダニーは人は殺さない」と言い、落ち着かせました。ダニーはテレビを持ってきて、テレビ中継を観られるようにしました。ダニーはフロストに「あんたも俺を疑っているのか」と問うと、フロストは「わからんよ。だが、これだけは言える。お前は自分の首をしめている」と言いました。ダニーは無線で、ファーリー、ベッグ、狙撃手バラーモと仲間の名前を呼び、忠告しました。そして、どうしてこんな事をしたのかを説明し、また自分は無実で濡れ衣を着せられたことを主張しました。また、一緒に生死を共にして、これまで働いてきた仲間たちの同情心に訴えかけ、撃つことを止めさせようとしました。ベッグはこの周波数ではマスコミにも聞かれるので、直ぐに周波数を切り換えさせました。ダニーは無線で「警告しておく。ネイサン殺しの犯人は、ニーバウムがしゃべるのを恐れている。口封じようとするだろう。もう一つ、そっちの作戦はわかっている。仕掛けてもムダだ。あと4分でセイビアンが来なかったら、本気だという証拠を見せるからな」と言い、無線を切りました。その頃、セイビアンは現場に向かう車の中で、この無線を聞き、メモをとりながら、現場に急ぎました。ダニーはニーバウムに「ネイサンを殺したのは?」と問うと、ニーバウムはダニーに「お前だ」と言い放ちました。もう指定した時刻が来ました。ダニーはニーバウムに向けていた銃を、ルーディに向けました。
交渉人のネタバレあらすじ:9.クリス・セイビアン到着
その時、電話が鳴りました。クリス・セイビアンからでした。ダニーはセイビアンに「お互い、自分の仕事に専念しよう。そうすれば無事に帰れる」と言いました。セイビアンは司令所に入ると、モニターなどの状況を黙視で確認しました。ダニーはセイビアンに「一つ、俺のバッジをここに持ってこい。二つ、死んだら署で葬儀をしてくれ。三つ、内偵者を捜してくれ。そいつが見つかれば、俺の疑いも晴れるし、陰謀の黒幕もはっきりする。四つ、相棒を殺した奴を知りたい。8時間以内に内偵者か犯人が見つからなかったら、1時間ごとに人質を1人ずつ殺す。五つ、あんたと直接会って話がしたい」という要求を言い、電話を切りました。それを聞いたセイビアンは、署長、ベッグに簡単に挨拶すると、ダニーの経歴を読み、防弾チョッキを着ながら、ダニーの元に行く用意をしました。ベッグの頭の中には突入しかなく、セイビアンに計画を説明しましたが、彼はそれを無視しました。そこへダニーの妻・カレンが入ってきました。カレンはセイビアンに「彼は無実だ」と主張しましたが、セイビアンは「私の仕事は無事に助け出すことです」と言い、カレンを心理分析官に預けました。セイビアンは迅速に「彼のバッジを用意してください。暖房を止めて。人質と交換に戻せと言うかもしれない」と言うと、すぐにダニーの所へ行きました。ベッグはセイビアンが立ち去った後、署長に万一の場合の突入計画を話しました。
交渉人のネタバレあらすじ:10.「信用できるのは赤の他人だけだ」
ダニーは人質ルーディを盾にして、銃を向け、登ってきたセイビアンと対峙しました。セイビアンはダニーに「無実かどうか知らん。警官殺しだろうが、横領犯だろうが構わない。だが、あんたは無実を晴らすため、人質を取った。これだけは言っておく、人質を1人でも殺したら、私は降りる。人質の安全が第一。あんたは二の次だ」と言い放ちました。ダニーは彼のこの言葉を聞くと「よし、その調子でいこう」と言いました。セイビアンはダニーになぜ自分を呼んだのかと問いました。ダニーは、殺された相棒が横領には署の仲間が絡んでいると言っていたからで、「身内に裏切られたら、信用できるのは赤の他人だけだ」から、セイビアンを選んだと答えました。その時、ダニーは部屋の中で何か異変を感じました。ダニーはセイビアンを部屋から出すと、人質のルーディを連れ、部屋に戻りました。すると、突然、窓ガラスが割って、2人の警官が突入してきました。ダニーはルーディに銃を向け、2人の警官を制しました。しかし、向かいのビルの屋上から、狙撃手バラーモはダニーの頭に焦点を当て、いつでも撃ち殺す準備ができていました。ベッグはバラーモにダニーの射殺命令を出しました。バラーモは引き金の指に力を込めましたが、「俺には撃てません!」と言い、その場を去りました。そして、別の方から突入の準備をしていたアージェント、ヘルマン、アレンは、その会話を聞き、突入を止めました。
交渉人のネタバレあらすじ:11.全指揮権
司令所に戻ってきたセイビアンは、憤っていました。署長とベッグを指さしながら「指揮官はいったい誰だ?」と叫びました。ベッグは「突入のチャンスだった」と言いましたが、セイビアンの怒りは収まらず、「人質の命を危険にさらしたんだぞ!」とベッグに言い返しました。すると署長が「私が許可した。彼は説得できない」とセイビアンに言いました。セイビアンは「30分で何がわかるんです?」と言い、自分はこれまで5年間、武力解決をせずに死傷者ゼロで守ってきたという自信を見せつけました。ベッグはセイビアンに「あんたにこの指揮権はないんだぞ」と言うと、セイビアンは「人質の無事救出が、私の仕事だ!」と毅然と主張しました。すると署長が「ここのやり方に従ってもらおう」とセイビアンに告げると、セイビアンは「2人を人質に増やすのが、ここのやり方ですか?しかも、警官を。彼らに万が一のことがあったら、誰が責任を取るんだ!」と問いつめました。更に、セイビアンは署長に「FBIに指揮権を渡したくないでしょう。答えは簡単です。彼は交渉に私を選んだ。でも、お気に召さないなら、今すぐ降ろさせてもらいます。そちら次第ですよ。FBIに譲りますか?」と問いつめました。署長は、セイビアンの強い主張と気迫に押され、彼に指揮権を渡すことにしました。セイビアンは早速、署長から全警官に指揮権をセイビアンに委ねること、今後は全てセイビアンに従うことを告げました。セイビアンは全警官に「今後、すべての決定は、私が下す。私の許可なしに、勝手な行動は許さない。一致団結し、速やかに事件を解決しよう」と命じました。アージェント、ヘルマン、アレンは、耳を疑いました。
交渉人のネタバレあらすじ:12.「お願いだから返事して」
ダニーは「残念だな。ベッグ。俺はまだ生きているぞ」と無線で叫び、割れた窓ガラスの前に、立ちました。ダニーは「シカゴ警察の方針はどこへ行った?人質事件を解決するときは、人命の価値が最優先ではないのか?」と叫び、訴えました。司令所から見ていたベッグは、「署長、撃つなら今です」と進言しましたが、セイビアンは「よせ、全国に流れますよ」と許可しませんでした。しかし、窓に立つダニーに警察ヘリが近づき、狙撃手たちはダニーに焦点を合わせていました。ダニーは自分の無実を訴えました。「一体、どうすれば、俺の話を信じてもらえる?どうすればいい。人質を殺せばいいのか?わかった。殺してやる」と言うと、銃と無線機をとり、突入してきた警官スコットを奥の小部屋に連れ込みました。セイビアンは無線で必死にダニーに「落ち着け。撃つな。指揮権は俺にある。誰も勝手にそこに踏み込めない。俺が仕切っているんだから」と呼びかけると、ダニーは「仕切ってるのはあんたじゃない。奴らなんだ。あんたに従うわけがない」と反論してきました。ダニーはスコットを小部屋に連れ込み、跪かせると、「お前もグルなのか?…だから、俺を殺しにきたのか?」と言うと、頭を銃で殴り倒しました。その時、無線から妻・カレンの声が聞こえてきました。セイビアンが彼女を呼んだのでした。カレンは「お願いだから返事して」とダニーに優しく語りかけましたが、ダニーは何も答えず、スコットの方に銃で一発撃ちました。その銃声を聞き、思わずカレンは無線機を落としてしまいました。そして、誰もがダニーの行動に疑問・戸惑い・恐怖を感じました。人質を全員無事に助けるという信念で交渉していたセイビアンは、頭を抱え、「電気を止めろ」と命じました。
交渉人のネタバレあらすじ:13.セイビアンの交渉術
事態は緊迫度を増してきました。現場にはFBI捜査官が大勢、やって来ました。20階では、人質のフロストはダニーが警官を殺したことを責めましたが、ダニーは「奴もグルだ。俺を殺そうとした。…最初に俺ははっきり言ったはずだろ。真実が分かるまで、ここを動かないと」と言いながら、突入してきた警官が着ていたベストから、武器を全部抜きとりました。そして、それらを机の上に置き、ニーバウムにダニーは「いつまでかかろうと、待つぞ。あんたがしゃべるまで」と言いました。そのとき、ビルの電気が止まり、非常用のライトだけがつきました。恐怖に脅えるルーディは、ニーバウムに嘘でもいいから話せと叫びました。すると、今まで黙っていた助手のマギーがニーバウムに「警視正」と静かに呼びかけました。ダニーはマギーに「何か知っているなら話してくれ」と頼みました。するとマギーは、ニーバウムのコンピュータの中に秘密のファイルがあることをダニーに漏らしました。その頃、司令所ではセイビアンがFBIに「あと1時間、交渉する時間をほしい」と相談し、そのようになりました。そこにダニーから電話がかかってきました。セイビアンはぎりぎりまで電話を取らず、取ったかと思えば「忙しい」と言って、電話をすぐに切りました。「また、かけてくる」とセイビアンが呟くと、また電話がかかってきました。セイビアンは電話をとって何も答えずに電話を切りました。これにはダニーも驚き、また電話をかけてきました。セイビアンは銃と無線を手に取ると、「そっちに行くと伝えてくれ」と言い、ダニーのところに行きました。セイビアンは再び、ダニーに直接会いに行くと、ダニーは警官フロストを人質に「交渉のやり直しだ。電気を戻してくれ」と要求しました。セイビアンは銃を抜き「人質を殺せば、交渉すると?…あんまり、当てにするなよ。私の後ろでは部隊が手ぐすねを引いて待っている。なぜ連中からあんたを守る必要がある?私が仲裁に立つ理由を教えてくれ」と言い返しました。ダニーは彼に「連中を信用するな。あの突入を見たか?君に黙って、俺を殺そうとした」と説明すると、セイビアンは他の人質が無事なのを確認し、ダニーに「赤の他人だということを忘れるな。いざとなると、何をするか分からんぞ」と警告をしました。ダニーは「電気を戻してくれ。ニーバウムのコンピュータのファイルを見たい。人質に食料と毛布も」と要求しました。セイビアンは1人人質を解放するよう交換条件を出し、無事に警官フロストを取り戻しました。
交渉人のネタバレあらすじ:14.盗聴記録
ビルから人質のフロストを連れ出すと、そこに集まっていた観衆から賞賛の声があがりました。ビル内に電気が戻り、ダニーの指示で、ルーディがコンピュータのファイルを調べました。ファイルにはセキュリティがかかっていましたが、それを知っていたマギーはそれ全て教えました。司令所では解放されたフロストに、セイビアンが横領事件のこと、内偵者のことなど全て知っていることを教えてくれと頼み、聞き出しました。その頃、ダニーはコンピュータの秘密のファイルを見つけ出しました。それは盗聴記録でした。ニーバウムはネイサンを盗聴していました。ダニーはニーバウムを問いつめましたが、何も吐きませんでした。ダニーはセイビアンに電話をかけ、2人だけで話をすることにしました。ダニーはセイビアンに、ニーバウムがネイサンを盗聴していた事実を知らせ、「ネイサンの妻・リンダから彼が殺された前日、どこで誰と会っていたか。彼女が話したら、人質をもう1人解放する」と言い電話を切りました。セイビアンはリンダに電話して、事情を聞いていると、署長がヘルマンとベッグを連れてきました。ヘルマンは換気ダクトに万一に備えて突入部隊を配置する提案をしてきました。セイビアンは自分の許可なしに勝手に行動しないことを条件に、その提案を承諾しました。ヘルマン、アレン、アージェントはこれで一気に制圧することを企みました。
交渉人のネタバレあらすじ:15.ニーバウムの証言
セイビアンは1人の男を連れてきました。そして、ダニーに電話をかけ、「内偵者を見つけた。人質全員を解放しろ」と要求しました。ダニーはその内偵者と電話で話をしましたが、その内偵者からの答えは、ここでは具体的な名前などは話せないというあやふやなものでした。するとコンピュータからルーディがあるファイルを見つけました。それはネイサンが内務捜査局に所属していたというファイルでした。ダニーは、その内偵者はセイビアンが仕込んだ偽の内偵者であることを突きとめました。そして、ダニーはセイビアンたちを引っかけようと、「ネイサンがニーバウムの内偵者と吐いた。…ニーバウムはネイサン殺しに無関係だと言っている。証言するとさ、殺人罪に問わない条件で返事を待っている」とハッタリを言いました。この会話を聞いていたヘルマン、アレン、アージェントは、一気に制圧するチャンスを虎視眈々と狙っていました。セイビアンは、この事件に違和感を抱き、誰かが嘘をついている。現場の雰囲気がダニーを強行に殺害しようとしていることを感じてきました。ダニーに人質とされたルーディたちは、いつしかダニーが無実ではないかと思い始めました。ダニーは防弾チョッキを着て、ニーバウムを最初に突入してきた部屋に強引に入れようとし、尋問しました。すると、命の危険を察知したニーバウムは、ダニーに「ネイサンが盗聴して、その証拠を持ってきたが、私が金で買収され、処分した。だがたった1回だ。ネイサンは金を拒み、殺された」と真実を吐きました。ダニーは彼に更に盗聴の対象を尋問しました。するとニーバウムは「君の仲間たちだ。アージェント、ヘルマン、アレン…。会話の盗聴証拠がある。“基金を盗んだ”と」と吐きました。ダニーは「あいつらだけではできない、主犯は誰だ」とニーバウムに問いつめましたが、彼は知りませんでした。その証拠はここにはなく、別の安全な場所に保管してあるそうでした。
交渉人のネタバレあらすじ:16.「何かあるとしか思えん!」
すると、換気ダクトから発砲が始まりました。マスクを被っていたので、顔は見えませんでしたが、アージェント、ヘルマン、アレンでした。必死で人質を庇いながら、ダニーは銃や催涙弾などで応戦しました。司令所でその銃声を聞いたセイビアンは許可していない突入に驚き、中止を命じましたが、止まりませんでした。ベッグは応援部隊を送りましたが、ダニーの必死の応戦で今回の突入は、ようやく収まりました。銃撃戦が終わり、ダニーは人質の無事を確認しました。マギーたち3人は無事でしたが、キーマンであったニーバウムが狙撃され、息絶えました。司令所では、憤ったセイビアンが、ベッグや署長に噛みつき、口論となりました。それを見ていたFBIはこれでは事件は解説しないと判断し、FBIが今後指揮権をとることにし、一斉突入する決断をしました。反論するセイビアンは、指揮権を剥奪され、FBIから追い出されました。セイビアンは「信じられない。皆で彼を殺したがっている。仲間と呼んでいたのに、なぜ殺す?何かあるとしか思えん!」と怒りました。セイビアンは司令所から出ていきました。FBIはダニーに指揮権が変わったことを告げ、5分の間に投降しなければ一斉突入すると言ってきました。
交渉人のネタバレあらすじ:17.ダニー、脱出
人質のルーディやマギーは、ダニーに同情し励ましました。ダニーは生き残った人質3人に謝り、マギーに妻への遺言を託しました。そんなダニーにマギーは、証拠のコピーはニーバウムの家にあるかもしれないと教えました。セイビアンは走って、ダニーのもとに行きました。ダニーはセイビアンにニーバウムが吐いた証言を伝えました。セイビアンは「証拠はあるのか?」と聞くと、人質みんなが聞いていたと言いました。ダニーは、セイビアンにニーバウムの遺体を見せ、彼が狙われて殺されたことを告げました。そして、ダニーはセイビアンに、最初に殺したと思わせた警官スコットの生きている姿を見せました。ダニーはセイビアンに盗聴証拠がニーバウムの家にあることを教え、彼に自分や人質を助けるように協力を求めました。セイビアンはダニーを信頼し、部屋を出ていきました。ダニーは部屋に強固なバリケードを作り、人質たちを奥の部屋に入れ、酸素マスクと水で濡らした布を与え、隠れるように指示し、自分はスコットの着ていた警官の服を着て、変装しました。人質たちは皆、ダニーを完全に信頼し、彼の無事を祈りました。一斉突入が始まりました。ダニーはバリケードに手榴弾をなげ、火災を起こし、突入を妨げました。人質たちは無事、保護されました。ダニーは換気ダクトから逃げ、地下室に逃げ込みました。するとそこにセイビアンが現れ、ダニーについてくるように指示しました。ベッグは、もう犯人ダニーは警察ビルにはいないことを理由に、指揮権をFBIからシカゴ署に取り返しました。そして、検問を始めました。セイビアンは車でニーバウムの家に行こうとしていました。彼の車も検問にかけられましたが、不審な点は見つからず、通り過ごすことに成功しました。ダニーは警官に変装して徒歩で現場を立ち、検問を通過したセイビアンの車に乗り込みました。ベッグやシカゴ署の警官たちは、人質のルーディとマギーから、ダニーの逃亡先を聞き出そうとしました。マギーは言葉巧みな警官の尋問に答え、ダニーがニーバウムの家に行ったことを漏らしました。それをいち早く耳にしたアージェント、ヘルマン、アレンの3人は、ダニーを追い、ニーバウムの家に急行しました。
交渉人のネタバレあらすじ:18.黒幕はフロスト
遅れて、署長とベッグたちシカゴ警官たちは、全員、ダニーを追い、ニーバウムの家に急行しました。その頃、ダニーはコンピュータから証拠を見つけようと必死で検索しましたが、証拠は見つかりませんでした。すると、1台のバンが止まり、アージェント、ヘルマン、アレンがやって来ました。ダニーはセイビアンから無線を受け取り、協力を求めました。セイビアンもダニーを信じ、部屋の角に隠れ、協力することにしました。すると、銃を構えたアージェント、ヘルマン、アレンが家に入ってきました。「投降しろ」と迫る3人に、ダニーは「お前らの声が入ったフロッピーが2枚ある。盗聴記録だ」とハッタリをカマしました。セイビアンは鏡を割り、その破片で誰がどんな様子で入ってきているのか、密かに見ました。ダニーは3人をわざと怒らせ、証拠となる証言を吐かせました。すると家のドアが開き、「落ち着け。…あとは俺が引き受ける」と言いフロストが入ってきました。彼は3人を家の外に出すと、ドアに鍵をかけました。フロストが入ってきたのを確認したセイビアンは、ダニーに銃を向け、「俺が殺す」と言い、ダニーが持っていたフロッピー2枚を取り上げました。そして、セイビアンはフロストに「誰も信用できない」と言い、ダニーの脇腹を銃で撃ちました。ダニーの脇腹から血がにじみ出てきました。セイビアンは「あんたはネイサンを。私はダニーを。同じ人殺しでも、こっちには証拠がある。交渉はこっちが有利だ」とフロスト相手に取り引きを持ちかけました。フロストは具体的なパーセンテージを出し、取り引きを成立させると、セイビアンから証拠のフロッピー2枚を受け取り、それを握りつぶすと、コンピュータを銃で撃って破壊し、証拠の完全隠蔽を図りました。
交渉人のネタバレあらすじ:19.「ダニーが撃たれた。死んだよ」
フロストはそれが終わると、「ダニーが撃たれた。死んだよ」言いとなに食わぬ顔をして、家を出ていきました。しかし、そこに集まっていた警官たちの目は、フロストへの憎しみが込められていました。「大丈夫か?ダニー」という無線の声が聞こえました。そうです。ダニーはアージェント、ヘルマン、アレンが家に入ってきてからの会話を全て、無線で全署員に聞かせていたのでした。驚いたフロストが周りを改めて見ると、既にアージェント、ヘルマン、アレンは逮捕されていました。フロストが振り返ると、セイビアンに抱えられてダニーが出てきました。ベッグはフロストに「あなたには黙秘権がある…」と逮捕時のお決まりの台詞を言い出すと、フロストは銃で自殺を図りました。しかし、ベッグが彼を撃ち、それをくい止め、手錠をかけました。怒りに燃えたダニーは、フロストの銃を持ち、彼を撃とうとしましたが、署長に銃を手渡しました。極度の緊張から解放され、よろけたダニーを、ベッグたち仲間が駆け寄り、救急車に運びました。
交渉人の結末:20.エピローグ:全てを取り戻したダニー
救急車に乗せられたダニーに、カレンが駆けつけてきました。ダニーはセイビアンに「ひっかかったよ」と言うと、セイビアンは「いい手だろ。奴に撃たれるよりよかっただろ」と言い、警官バッジを渡しました。ダニーはセイビアンという敏腕交渉人の助けを得て、一世一代の大芝居を成功させ、殺人犯と横領犯という濡れ衣を晴らし、一度は失われた警官バッジ、署員からの信頼、妻・カレンとの生活を取り戻したのでした。
以上、映画「交渉人」のあらすじと結末でした。
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