サン★ロレンツォの夜の紹介:1982年イタリア映画。1983年公開のイタリア映画。第二次世界大戦末期のイタリア。ドイツ軍に支配された村から脱出した村人達の逃亡劇を描く。6歳の少女の視点で進むため、牧歌的で時にファンタジーな作品となっている。それが逆説的に戦時下の悲惨なイタリアを表現し、深い人間ドラマをつくり上げる。カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞作。
監督:パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ 出演者:オメロ・アントヌッティ(ガルヴァーノ)、マルガリータ・ロサーノ(コンチェッタ)、ミコル・グイデッリ(チェチリア)、クラウディオ・ビガリ(コラード)、ミリアム・グイデッリ(ベリンディア)ほか
映画「サン★ロレンツォの夜」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サン★ロレンツォの夜」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「サン★ロレンツォの夜」解説
この解説記事には映画「サン★ロレンツォの夜」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サン★ロレンツォの夜のネタバレあらすじ:救いを求めて
聖ロレンツォの夜は、流れ星がひとつ降るごとに願いが叶うと言われる日。この映画は、イタリア人女性チェチリアが語る戦争の記憶の物語です。――舞台は第二次世界大戦末期、1944年夏のトスカーナ地方。ドイツ軍とファシストに支配された村サン・マルティーノでは、村民のコラードとベリンディアの結婚式が行われていました。6歳になったばかりのチェチリアも参加しています。既に身重のベリンディアを気遣い、ささやかながらも幸せな式を挙げた彼らのもとに、無情にも戦争の足音が迫ります。アメリカの進軍とパルチザンの活動を受け、ドイツ軍は村の爆撃を決定、日没までに村人は全員聖堂へ避難しておくよう命令が出ます。しかしドイツ人を信用出来ない村人ガルヴァーノは、ここに留まるよりアメリカ軍を探しに出た方がいいと提案します。賛同した複数の村人達は、日没を待って村から脱出しました。危険な旅にはなりますが、チェチリアやベリンディア達も加わります。
サン★ロレンツォの夜のネタバレあらすじ:遠い爆撃音
村から離れた場所でガルヴァーノ達は身を寄せ合い、爆撃が開始される午前3時を待ちます。脳裏には家族で幸福に過ごした家の思い出が蘇っていました。遠く聞こえる轟音に、村人達は深く悲しみます。翌朝、旅を続ける一行は、近くにシチリア兵がいるという噂を聞きつけます。シチリア出身の女性マーラは、兵を探しに走り出してしまいました。草むらからの発砲音に驚いたマーラは倒れてしまいますが、シチリア兵に介抱され、自由の女神が輝くスノードームを差し出されます。微笑んで瞼を閉じたマーラ。彼女は実際には最初の発砲で即死しており、シチリア兵は彼女が最後に見た幸せな夢でした。早くも死亡者が出てしまい、更にファシストの追撃とベリンディアが産気づいたことから、数人が村に引き返します。コラードは子どもの名前をジョバンニにしようとベリンディアに提案し、彼女を送り届けた後ガルヴァーノ達を追いかけるのでした。
サン★ロレンツォの夜のネタバレあらすじ:パルチザンとの出会い
聖チリアコの日。村の聖堂では、残った村人達がミサを開いていました。そこへ響いた衝撃と爆撃音。聖堂から煙と悲鳴が上がり、血まみれの村人達が一斉に飛び出して来ます。避難命令はドイツ軍の罠で、多くの人間が死亡しました。そうとは知らないガルヴァーノ達は旅を続けていました。道中チェチリアは恐い時に唱えるおまじないを教えて貰います。一行は偶然出会った男から、アメリカ軍のことはダンテに聞け、とアドバイスを受けます。ダンテはアルノ川付近でパルチザンを率いている男です。早速アルノ川沿いに進むガルヴァーノ達でしたが、その日は誰も見つけられませんでした。夜の内にコラードが合流し、朝を迎えると小麦を慌てて刈っている人々の姿が。彼らこそ探していたパルチザンで、ファシストが小麦を略奪するので急いで刈って森に隠しているところでした。ガルヴァーノ達も彼らの作業を手伝います。
サン★ロレンツォの夜のネタバレあらすじ:悲しみの銃撃戦
休憩中、集まった数人の男達はしばらく偽名を使うことにします。考え込むコラードは、ベリンディアが聖堂の爆撃に巻き込まれ既に死亡している事実を思い出してしまいます。彼は自分自身の偽名を「ジョバンニ」にしました。そして8月10日、聖ロレンツォの夜は誰にも気づかれないまま過ぎていきます。翌朝、偶然2人組の米兵を見つけたチェチリアは大人達を呼びに行きましたが、戻って来た時米兵の姿はありませんでした。代わりにファシスト達が銃を手に小麦畑へやって来ます。彼らは同じ村の住人で、顔なじみでもある同胞でした。しかし立場の違いから戦いは避けられず、銃撃戦が始まります。恐怖を目の当たりにし、おまじないを必死に唱えるチェチリア。彼女を守ろうとした老人が銃殺されると、そこに古い英雄達の幻が現れ、老人を殺害したファシストは何本もの槍に貫かれて絶命します。むごい殺し合いは続きました。銃殺されるパルチザン、連れ去られる女性、射殺されるファシストの少年。イタリア人同士の悲しい殺し合いは何とか終結し、ガルヴァーノ達は近くのサン・タンジェロという村に一泊させて貰うことになりました。
サン★ロレンツォの夜の結末:解放の朝
サン・タンジェロで、ガルヴァーノは同じ村の老婦人コンチェッタと同室にされてしまいます。2人は夫婦だと勘違いされたのです。若い頃、コンチェッタに恋をしていたと告白するガルヴァーノ。しかし身分の違う2人が結ばれることはありませんでした。出来れば40年前にこうなりたかった、と笑うガルヴァーノとコンチェッタは情熱的に求め合います。翌朝、アメリカ軍によって村が解放されたという知らせが舞い込みます。陽が燦々と降り注ぐ中、雨が降っていました。輝く雨粒にチェチリアは喜び、村人達も早速住み慣れた村に帰ろうとします。ガルヴァーノだけがもう少しこの場に残ることにしました。コンチェッタと切なく見つめ合うガルヴァーノ。そのコンチェッタも皆と帰路につき、ガルヴァーノは1人雨の中座り込んだのでした。――昔話を語り終わり、大人になったチェチリアは眠る我が子を愛しそうに見つめます。彼女が唱えるおまじないが静かに流れ、この映画も終幕を迎えます。
以上、映画サン・ロレンツォの夜のあらすじと結末でした。
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