アザーズの紹介:2001年アメリカ,スペイン,フランス映画。古い館に住む3人の親子。そこに現れた3人の使用人達。奇妙な音や怪奇現象が主人公達を悩ませていきます。捜査が進んでいき、少しずつ真実が明らかになるにつれて驚愕の展開になっていく筋書きがスリリングで楽しい作品です。製作総指揮をトム・クルーズが担当していたのも話題になりました。
監督 :アレハンドロ・アメナーバル 出演:ニコール・キッドマン(グレース)、フィオヌラ・フラナガン(ミセス・ミルズ)、クリストファー・エクルストン(チャールズ)、エレイン・キャシディ(リディア)、エリック・サイクス(ミスター・タトル)、アラキーナ・マン(アン(グレースの娘))、ジェームズ・ベントレー(ニコラス(グレースの息子))ほか
映画「アザーズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アザーズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「アザーズ」解説
この解説記事には映画「アザーズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アザーズのネタバレあらすじ:起
1945年、イギリスにある古屋敷で、姉のアン(アラキナ・マン)と弟のニコラス(ジェームズ・ベントレー)そして母親のグレース(ニコール・キッドマン)が住んでいました。グレースは2人の子供をこよなく愛し、第2次世界大戦に出征した夫チャールズ(クリストファー・エクルストン)の帰りを待っていました。急に使用人がいなくなったため、新しい3人の使用人が屋敷を訪れます。庭師の老人タトル(エリック・サイクス)と使用人のミルズ(フィオヌラ・フラナガン)、そして口のきけないリディア(エレイン・キャシディ)でした。
この親子は厳格なルールの下で暮らしていました。子供達には光アレルギーがあったため、家中のカーテンは閉め切り、ランプの光を頼りに暮らしていました。さらには静寂を保つために、全ての部屋に鍵をかけるという徹底した環境を用意していたのです。3人の使用人はそれらの厳格すぎるルールに戸惑うものの、それに従うことにします。使用人の募集広告が出ていないのに…と不審に思ったグレースでしたが、3人が以前この屋敷で働いていた事を知り、使用人として雇う事を決めました。
アザーズのネタバレあらすじ:承
ある日、ニコラスの泣き声を聞いて驚いて駆けつけたグレースでしたが、ニコラスは泣いていませんでした。姉アンに尋ねると、ビクターという男の子が「お前の家じゃない」と泣いていると言うのです。さらに戸締りしていたはずのドアが開いていたのです。グレースはミルズ達を疑い、激しく叱責しました。
その後も、誰もいない部屋からピアノを弾く音が聞こえてきたりと不可解な現象は続き、グレースはアンが言っていた事が本当なのだと信じざるを得ませんでした。
グレースは神父を呼びに森へ向かうことにしました。しかし深い霧のため、神父のいる村へたどり着くことは出来ませんでした。しかしその濃霧の中、夫チャールズを見つけるのでした。チャールズを屋敷に連れ帰ったグレース。嬉しいはずの再会もチャールズは部屋でふさぎ込んでいます。
アザーズのネタバレあらすじ:転
次の日、アンにドレスを着せて、チャールズに見せに行こうとしたグレースが部屋に入ると、アンがいるはずの部屋には見知らぬ老婆の姿がありました。驚いてショックを受けたグレースは、思わず老婆を叩いてしまうと、その姿はアンに戻っていたのです。
チャールズがグレースに尋ねます「あの日何があったのか」。グレースがあの日の自分はどうかしていたと呟きます。するとチャールズは突然別れを告げ、次の朝に屋敷を去っていきました。チャールズは戦場に戻るため、別れを告げに戻っていたのです。
グレースは家中のカーテンが取り払われていることに激怒、自分たちを怖がらせて屋敷から追い出そうとしていると思い、ミルズ達を解雇して追い出しました。その後、物置小屋で死者のアルバムだと言われる中にミルズ、タトル、リディアの写真も見つけます。チャールズを探していたアンとニコラスも、ミルズ達3人の墓石を見つけてしまうのです。追いかけてくるミルズ達から子供を屋敷に退避させ、グレースはミルズ達と対峙します。
アザーズの結末
震え恐れおののくグレースに、ミルズは自分で’アザーズ’と話すよう諭します。その頃、屋敷の部屋のキャビネットに隠れていたアンとニコラスが老婆に見つかってしまい、叫び声をあげます。グレースが急いで駆けつけると老婆と見知らぬ人達がいました。
老婆はアンに「何故死んでいるのにまだこの屋敷にいるのか」と尋ねます。この老婆は霊媒師だったのです。グレースはようやく死んでいるのは自分達だったという事を悟ります。侵入者だと思っていた者たちが生者であり、自分たち家族や使用人が死者だったのです。実は、度重なるストレスに耐えきれなくなったグレースがアンとニコラスを殺し、自らも命を絶つという一家心中をしてしまっていたのです。グレースは、夫チャールズが死んでいたことを悟るのにも時間はかかりませんでした。
本来の屋敷の持ち主であり生きている者たちは、ここに霊が棲みついていることを突き止めると、屋敷を去っていくのだった。そして屋敷にはグレース、アン、ニコラスの3人だけが残ります。ここは私たちの屋敷だと言って佇んでいます。
以上、映画「アザーズ」のあらすじと結末でした。
「アザーズ」感想・レビュー
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1945年、第二次世界大戦末期のイギリスのジャージー島。出征した夫の帰りを待つニコル・キッドマン扮するグレースは、広大な屋敷で二人の子供と暮らしている。
子供達は、極度の光アレルギーで、屋敷の窓という窓には、いつも分厚いカーテンがかかっている。
ある朝、屋敷に三人の新しい使用人がやって来る。
そして、その日を境に、数々の不可解な現象がグレース一家を襲い始める。
屋敷の中に見えない何者かが入り込んでいる。それは一体誰なのか? というスリリングな物語ですね。近年のホラー映画は、スプラッタやサイコ系が主流を占めていると思います。
確かに、死者の魂や幽霊といった宗教観は、IT全盛の現代にあっては、いかにも古臭いという感じは否めません。
そんな中、アレハンドロ・アナーバル監督は、オールドスタイルのゴシック・ホラーに、恐怖演出の原点を見出し、古典への帰着を起点として、新たなゴシック・ホラーを創造しようと試みていると思います。
この点が、私がこの作品を好きな理由なんですね。誰もいない部屋から聞こえてくるピアノの音、不気味にはためく窓辺のカーテン、死者の写真、闇夜に浮かび上がる洋館、といった怪奇演出は、怪談文化をバックボーンに持つ、我々日本人のセンスにもしっくりと馴染むような気がします。
何を見せて、何を見せないのか。これは恐怖映画の永遠の命題だろうと思います。
アレハンドロ・アナーバル監督は、ヒッチコックの映画から多大な影響を受けたと語っていますが、ヒロインが見えない存在への恐怖に浸食されていくという観点から、とりわけ「レベッカ」の表現技術を意識していると思います。
そして、見えないものに息を与え、得体の知れない恐怖を生み出すことに成功していると思います。
さらに、グレース・ケリーやジョーン・フォンテーンといった、ヒッチコック映画のヒロインを思わせるニコール・キッドマンのクール・ビューティーぶりが、もう素晴らしいの一言に尽きますね。
情緒不安定なヒロインの錯綜する心理を見事に演じ、恐怖とインパクトを増幅させてくれます。この映画の売りは、なんと言っても、やはり衝撃のドンデン返しにありますね。
しかし、この映画はスマートなストーリー・テリングを尊重しており、そのためには、中途で少しぐらいのヒントなら見せても構わないと考えているフシがありますね。もちろん、全ては緻密な計算に基づいてはいますが。
そして、最後はとても哀れで悲しい物語として完結するんですね。
生者と死者の世界のあやふやな境界線に、深い思いを馳せずにはいられません。
オチを知ってしまった今でも、もう一度観てみたいと思わせてくれるんですね。光と闇の巧みなコントラストが、この映画を完璧な恐怖映画に仕立て上げていると思います。
この映画では、暗闇はサスペンス、光はショックを演出しています。
暗闇は恐怖の余り、真相が見えなくなっていることを象徴し、光は子供を殺し得る危険なもの、最後には視点を変える契機として、劇的な役割を果たしているのだと思います。
秀逸なスリラー
主人公が住み着いたゴーストだった
ニコール・キッドマン綺麗