ピアノチューナー・オブ・アースクエイクの紹介:2005年イギリス,ドイツ,フランス映画。とある博士の音楽装置の整備を依頼された調律師。そこで謎めいた歌姫に出会った彼は、博士の手から彼女を救おうとするが……。アニメーションと実写が融合する、クエイ兄弟の独自でシュールな世界観は、異才を放っている。
監督:ティモシー・クエイ、スティーヴン・クエイ 出演:アミラ・カサール(マルヴィーナ・ヴァン・スティル)、ゴットフリード・ジョン(エマニュエル・ドロス博士)、アサンプタ・セルナ(アサンプタ)、セザール・サラシュ(フェリスベルト/アドルフォ)、リュビシャ・ルポ=グルジュチック(庭師ホルツ)、マルク・ビシュショフ(庭師マルク)、ヘニング・ペカー(庭師へニング)、ジル・ガボア(庭師エチェヴェリア)、フォルカー・ザック(庭師フォルカー)、トーマス・シュミーダー(庭師トマス)、ほか
映画「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ピアノチューナー・オブ・アースクエイクの予告編 動画
映画「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」解説
この解説記事には映画「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ピアノチューナー・オブ・アースクエイクのネタバレあらすじ:起・さらわれた歌姫
指揮者のアドルフォの恋人、歌姫マルヴィーナは、楽屋に送られる怪しい男からの手紙に困っていた。二人の結婚前夜のガラコンサートの最中、マルヴィーナが突然死んでしまうと、怪しげな男は、下男達に彼女の亡き骸をさらわせた。怪しげな男の正体はエマニュエル・ドロス博士。彼はマルヴィーナを甦らせ、自分の作った機械の中で歌わせようと、調律師フェルナンデスを呼んだ。
迎えられた調律師は、家政婦の女性に『自信を調律する男』と称され、招かれた場所に既視感を覚えた。その夜、調律師は不思議な歌声を聞いた。翌日、ドロス博士の作った自動装置の所へ案内され、招待客も特別な最終公演のために七つある機械の調律を頼まれた。そして繊細で貴重な楽器だからと、特別な道具を渡され、早速仕事を始めた。
ピアノチューナー・オブ・アースクエイクのネタバレあらすじ:承・海の見えるベンチ
ある日、調律師は海辺のベンチで、アドルフォの名を呼ぶマルヴィーナを見つけた。不思議に思った調律師が家政婦に聞くと、ドロス博士は病んだ心を癒す医者であり、音楽に情熱を向ける科学者で、ここはトラウマを持った人たちの療養施設なのだと知った。
調律師は一つ目の装置から戻る途中で、廃墟になった洞窟を見つけた、それは1755年のリスボン地震のせいで出来た廃墟だった。どうしてそんな事を知ってるのか尋ねると、代々調律師の彼は、才能ゆえにクシャミから無限の音まで聞き分けられるのだと答えた。そんな彼はピアノではないが、精密な音楽装置を調律するのを楽しんでいた。
二つ目の機械の調律に取り掛かる頃、家政婦に夜の歌声について聞いてみると、自分の口笛じゃないのか?とはぐらかされてしまったが、夜にマルヴィーナがいるのを見た事を話した。すると、彼女は皇帝のカナリア、歌姫フォン・シュティーレで、深刻なトラウマのせいで今は隔離しており、再び舞台に立てるように治療をしているのだと教えられた。しかし、違和感は消えず、シュティーレの歌を聞いた夜から、調律師は自動装置の夢を見るようになった。
ピアノチューナー・オブ・アースクエイクのネタバレあらすじ:転・オペラのための声
家政婦に話しかけられているのを見られ、気が散るようでは困るとドロス博士から釘を刺されるも、夢中でやっていると返した調律師は、この自動装置がオペラを演奏する物で、あの声のために歌姫がここにいる事を知った。しかし、記憶の曖昧なマルヴィーナからアドルフォの事を聞き出そうとした事が、ドロス博士に知られてしまい、彼女は末期の病だからつきまとわないようにと言い渡され、その代わり、機械によって上演されるオペラでマダム・フォン・シュティーレを治す役を貰った。
ドロス博士は、調律師に彼女が結婚前日に恋人に捨てられたと吹き込み、マルヴィーナに「調律師がアドルフォだ」と言い聞かせた。
マルヴィーナの断片的な記憶から、すべてはドロス博士の計画だったと気づいた調律師は、ここから彼女を助け出す事を考え始め、調節できるのだから止める事もできるという結論を出した彼は、正しい調律と月食の夜に空けるドアを見つけた。
ピアノチューナー・オブ・アースクエイクの結末:復讐のオペラ
ドロス博士と家政婦は、もうすぐこのヴィラ・アスセナは生まれ変わり、記憶以上の物になると確信していた。ドロス博士は、自分の音楽をバカにした客たちに、自分のオペラを自動装置で演奏して復讐しようとしていた。
マルヴィーナと調律師は何も知らず舞台の準備をし、浜から招待客やって来て、公演が始まった。その中にはアドルフォもいた。彼は歌姫が死んでさらわれたマルヴィーナだと気づいたが、地震が会場を襲い、水に沈んでしまった。
調律師とマルヴィーナは、六番目の浜辺にいる二人のシーンの装置の中に一緒に入ってしまった。死者の愛は永遠に続くと、家政婦は囁いた。
以上、映画「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」のあらすじと結末でした。
ピアノチューナー・オブ・アースクエイクのレビュー・考察:謎めいた物語を飾る不思議な装置
作中に出てくる装置の中には、到底『楽器』ではなく、機械仕掛けの箱庭に見える。それはこの世の縮図のようにも解釈でき、そうすると、その箱庭を作った博士は、この映画の中では想像主、調律師はその装置の整備するのだから、『地震を操る男』と家政婦に言われることも納得できる。最終的にヒロインと調律師が装置の中に入ってしまったが、それすら計算されていた事のように思えてならない。
クエイ兄弟の幻想的な作品はいかようにも解釈のしようがあり、見たとの時々によって同じものを見ているはずなのに印象が変わるのがその魅力として挙げられると思う。
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