ザ・レセプショニストの紹介:2017年イギリス,台湾映画。ロンドンの違法風俗マッサージ・パーラー。客とアジア出身の女性たち、そして女経営者が家族のような人間関係を装うが、実態はお金とセックス、暴力に縛られた虚構の世界。そこで働く女性たちは移民であるがゆえに危険と隣り合わせの中で生きている。彼女らは祖国のためそして生き延びるために必死で働くが、周囲のイギリス人から向けられた目は冷たい。大学を卒業したばかりの台湾人ティナもロンドンで職にありつけずにそこで受付嬢として働く。自らも移民でロンドン在住のジェニー・ルー監督が、中国人の友人が自らの命を絶ったことがきっかけとなり、クラウドファンディングで資金を集め7年かけ製作。熱海国際映画祭をはじめ、ソチ国際映画祭やアジアン・アメリカン国際映画祭など数々の映画祭で受賞・選出された作品。
監督:ジェニー・ルー 出演:テレサ・デイリー(ティナ)、チェン・シャンチー(ササ)、ジョシュ・ホワイトハウス(フランク)、アマンダ・ファン(メイ)、シュアン・テン(アンナ)、ソフィ・ゴプシル(リリー)、ステファン・プッチ(サム)ほか
映画「ザ・レセプショニスト」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ザ・レセプショニスト」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ザ・レセプショニストの予告編 動画
映画「ザ・レセプショニスト」解説
この解説記事には映画「ザ・レセプショニスト」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ザ・レセプショニストのネタバレあらすじ:起
イギリス、ロンドン。憧れの街で素敵な英国生活が待っているはずだったティナは、想像とはかけ離れ、就職ができず役所に通い続ける毎日を送っていました。
その日もいつもの通り雇用を断られたティナでしたが、サムという男を介して受付の仕事の面接に行けることになりました。ところが、期待に胸を膨らませてたどり着いた先にあったのは、違法マッサージ・パーラー。
女経営者リリーはティナを見るとすぐ、男性への奉仕ができるかどうか話を進めてきましたが、ティナはこれを拒絶します。すっかり肩を落として家に帰ると、同棲しているフランクから仕事をクビになったと聞かされます。ティナはフランクのために、弱音をぐっと飲みこみ、励ましました。
仕事に就くことができなくても家賃や生活費は必要です。ティナはフランクのこともあり、再びパーラーを訪れ、受付のみという条件で働くことを決意しました。リリーはここで商売女として働いている2人の女性を紹介しました。常に憎悪をはらんでいる負けん気強そうなササと、素直で明るい金髪のマレーシア人メイです。そこでティナは受付のほかに清掃や食事の用意などを担当することになりました。
ザ・レセプショニストのネタバレあらすじ:承
毎日の仕事は目を覆いたくなるようなことや辛いことばかりでした。客は排泄物を要求したり、拳を挿入してきたりと、異常を極めるような人ばかり。リリーはお金になる客の要求を拒むことを決して許しません。そればかりか、まだ20歳のメイには避妊せず性交させていました。ティナも奴隷のように扱われ、徐々に人としての生気を奪われていきます。
ある日、このパーラーにアンナがやってきました。化粧っけもなく、シャイで素朴な少女でしたが、祖国の家族の借金を返済するために、ここロンドンへやってきたとのことでした。
アンナは家族のために仕事を少しずつ覚えていきました。しかしその体には客から付けられた傷やあざがあり、それを目にしたティナはじっと見つめるしかできませんでした。
ザ・レセプショニストのネタバレあらすじ:転
そんな中、ティナにチャンスがやってきました。本屋へ面接に行けることになったのです。ティナはリリーが外出したところを狙って、急ぎ足で面接に向かいました。しかし好感触だった面接は、思わぬ形で裏切られることとなります。
ある日、パーラーに面接をした本屋のオーナーが来店したのです。気まずい思いをする余裕もなく、オーナーはティナの体を要求してきました。抗うティナに、「何人面接に来たと思っているんだ!」と罵声を浴びせて出ていくオーナー。ティナの就職への道はまた遠くなりました。
そしてさらに悲劇が起こります。仕事のことを伝えられずにいたフランクに、ついにばれてしまったのです。怒り狂うフランクの家を追い出されてしまったティナは、とうとう居場所まで失ってしまいました。泣きながら向かったのはパーラー。悲しみでつながった絆はティナには温かく感じた様子でした。
ザ・レセプショニストの結末
この宿には多額の借金がありました。どんなに稼ぎがあっても、リリーはお金を無心するサムに貢いでしまい、借金を返すことができずにいました。しかしどこまでも逃げることはできませんでした。
ある晩、借金取りの男たちが押し入り、商売女たちに暴行を加えてお金を強奪。特にアンナは精神的にもダメージを追い、翌日国に帰る決心をします。騒動から大家にも売春宿の存在がばれてしまい、1週間以内に出ていくことを約束されます。
そこへ追い打ちをかけるように訃報が入りました。国に帰る予定だったアンナが空港で飛び降り自殺をしたとのこと。この出来事に誰よりも心を痛めていたのはティナでした。ティナはアンナが生前行きたかったテムズ川へササを誘って行き、仲間の死を弔うと、ティナも国に帰る決心をしました。
ティナが国に帰った数日後、マッサージ・パーラーは摘発されました。
リリー、ササ、メイが起訴処分となった旨を伝える便りがティナに届きます。ササからの手紙でした。ティナは地元を襲った台風のあとの復興を手伝いながら彼女たちを想います。台風が残した爪痕は復興に向け、力強く再生しようとしています。その姿に今の自分たちの姿を重ねずにはいられませんでした。
以上、映画「ザ・レセプショニスト」のあらすじと結末でした。
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