レスラーの紹介:2008年アメリカ映画。医師から引退を勧告された老レスラーが、疎遠だった一人娘との再会などを経て人生を見つめ直していく人間ドラマです。ヴェネツィア映画祭で金獅子賞、ゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞し、ミッキー・ロークが再ブレイクするきっかけとなった作品です。
監督:ダーレン・アロノフスキー 出演者:ミッキー・ローク(ランディ・ロビンソン/ザ・ラム)、マリサ・トメイ(キャシディ)、エヴァン・レイチェル・ウッド(ステファニー・ラムジンスキー)、マーク・マーゴリス(レニー)、トッド・バリー(ウェイン)ほか
映画「レスラー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「レスラー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
レスラーの予告編 動画
映画「レスラー」解説
この解説記事には映画「レスラー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
レスラーのネタバレあらすじ:起
「ザ・ラム」のリングネームで1980年代に絶大な人気を誇っていたランディ・ロビンソン(ミッキー・ローク)。しかし、今やその面影はなく、現役は辛うじて続けてはいるもののギャラは少なくスーパーのアルバイトで何とか食いつなぎ、家族にも去られ、家賃を滞納してしまいトレーラーハウスで寝泊まりする生活を送っていました。そんなランディの楽しみは、行きつけのストリップバーでお気に入りのキャシディ(マリサ・トメイ)を指名することでした。そんなある日、往年のライバルであるアヤトラー(アーネスト・ミラー)とのメモリアルマッチが決定し、ランディはメジャー団体に返り咲く絶好のチャンスと考えていました
レスラーのネタバレあらすじ:承
ある日のプロレス興行、ランディは長年使用してきたステロイドの影響で心臓発作を起こし控室で倒れてしまい、意識不明となり救急搬送され、心臓のバイパス手術を受けて一命を取り留めます。意識を取り戻したランディに突き付けられたのは、医者からの引退勧告でした。苦悩するランディにキャシディは家族に会ってみたらとアドバイスします。そこでランディは、長年疎遠になっていた一人娘のステファニー(エヴァン・レイチェル・ウッド)と再会しますが、彼女の反応は冷たいものでした。それからランディはステファニーの機嫌を取るべくキャシディからアドバイスをもらい、娘へのプレゼントとして服を買います。ランディはスーパーのアルバイトの仕事を増やし、そしてレスラーを引退する意向を関係者に伝えます。
レスラーのネタバレあらすじ:転
ランディはプレゼントを持って再びステファニーに会います。今度はプレゼントを気に入ってもらえたようで、ランディは今まで胸に秘めていた想いを打ち明けます。ステファニーはようやく心を開き、親子の関係は修復されていきます。そしてランディは土曜日にステファニーとレストランで食事をする約束をしますが、当日その約束をすっぽかしてしまい、プロレス観戦の後にバーで知り合った女とセックスを楽しんでいました。ランディは必死に弁解しますがステファニーは許さず、とうとう絶縁を突き付けられてしまいます。さらには惣菜売り場での仕事も上手くいかず、結局スーパーのアルバイトも辞めてしまいます。
レスラーの結末
家族も仕事も失い、自暴自棄を起こしたランディはもはや自分の居場所はリングしかないことを悟り、引退を撤回するとアヤトラーとの一世一代のメモリアルマッチを決行すると決意します。試合当日、ランディの健康状態を心配したキャシディが会場に駆け付け、ランディに試合を止めるよう訴えますが、ランディは「リングの中だけが俺の居場所だ」と言い、リングへ向かいます。ランディはファンに向かって「落ち目だと言われようが、俺にレスラーを辞めろと言えるのはファンだけだ」とマイクパフォーマンスをして試合に臨みます。しかし、試合中にランディの体調が悪化、対戦相手のアヤトラーも心配する程でした。キャシディは涙を流し、これ以上見るのが辛くなって会場を離れてしまいます。アヤトラーはランディを気遣ってピンフォールするように囁きますがランディは無視し、観客から盛大な声援を受けてコーナーに上がり、必殺技の「ラム・ジャム」を繰り出そうとコーナーからジャンプをするのでした。
プロレスラーとしてしか生きていけない男の人生を丁寧に描かれていて素晴らしい作品でした。プロレスで大成した男は年老いていくに連れて衰えた体を酷使して無理をしながら続けている姿にはなんとも言えぬ哀愁が伝わってきます。体を壊し一命を取り留めた主人公がプロレス稼業から足を洗い人生を変えようと奮闘する姿には素直に応援したい気持ちになりました。疎遠になった娘とのわだかまりが解消されそうな矢先、思いを寄せる女性とくだらない理由から仲が悪くなってしまい転落していく主人公に、人生の受け入れがたい理不尽さと残酷な現実を突きつけられて締め付けられる気持ちにさせられました。この世にもう思い残すことのない男は死を選び再びリングに上がるラスト、ポストの上から振り返るとそこに女の姿はなく悲哀と終わりの飛翔に感動とこみ上げてくる涙が止まらないとても素晴らしい感動作でした。