この世の果て、数多の終焉の紹介:2018年フランス映画。1945年。現在のベトナム、ラオス、カンボジアにあたるフランス領インドシナで日本軍がクーデターを起こした。これまで味方だったフランス軍は攻撃を受け、大量の兵士が殺戮された。そんな中ひとり生き延びたロベールは、兄を殺害したベトナム解放軍の将校ヴォー・ビン・イェンへの復讐を果たすため部隊に復帰する。しかし険しい密林でゲリラからの攻撃に苦戦し、ヴォー・ビンの居場所も掴めずにいた。その悪夢のような戦いの中、ロベールはマイというベトナム人娼婦と出会い惹かれていく。第二次世界大戦末期のインドシナの凄まじい真実に迫る作品。
監督:ギョーム・ニクルー 出演:ギャスパー・ウリエル(ロベール・タッセン)、ギョーム・グイ(カヴァニャ)、ラン=ケー・トラン(マイ)、ジェラール・ドパルデュー(サントンジュ)ほか
映画「この世の果て、数多の終焉」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「この世の果て、数多の終焉」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
この世の果て、数多の終焉の予告編 動画
映画「この世の果て、数多の終焉」解説
この解説記事には映画「この世の果て、数多の終焉」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
この世の果て、数多の終焉のネタバレあらすじ:起 3月
1945年3月9日、第二次世界大戦末期のフランス領インドシナ。
日本軍が武力を行使してフランス軍を武装解除し、同時にフランスの統治を終わらせようとしたクーデター、明号作戦は始まりました。日本軍はそれまで協力関係にあったフランス軍を一斉に攻撃しました。
フランス兵士と思われるおびただしい数の死体の山から這い出た若き兵士ロベール・タッセン(ギャスパー・ウリエル)は、森へ逃げ込み彷徨ううちに意識を失ってしまいました。
ロベールが目を覚ますとそこは民家。
倒れていたところを地元の少女が助けてくれたのでした。この家族のおかげですっかり回復したロベールはフランス軍の駐屯地へ向かい、軍事活動の復帰を申し出ました。彼にはどうしても戦いをやめることができない理由がありました。
それは兄夫婦を虐殺した、ベトナム解放軍の将校ヴォー・ビン・イェンへの復讐を果たすためでした。
隊列に戻ったロベールは、そこで出会った兵士カヴァニャ(ギョーム・グイ)と共に、敵に立ち向かう決意を固めます。
この世の果て、数多の終焉のネタバレあらすじ:承 7月
ベトナムの深い原生林や下痢などにフランス軍は苦しめられていました。しかし、武装したゲリラがあちこちから攻撃を仕掛けてくるため一瞬たりとも気は抜けません。
仲間がひとり、またひとりと敵の攻撃に倒れる中、ロベールも肩と足を負傷し病院へ運ばれました。
その静養中、思いがけない人物がロベールのお見舞いにやってきました。現地在住の年老いた作家サントンジュ(ジェラール・ドパルデュー)でした。彼が病室に置き忘れていったアウグスティヌスの自伝『告白』を通じて親しくなった2人は、ロベールの退院後に再び会います。
サントンジュは「人生を捨ててはいけない。故郷に帰って家族を作れ」とロベールの復讐を止めようとしますが、全く耳を向けませんでした。
ある日のこと、ロベールはカヴァニャらとともに繰り出した街のダンスホールで、青いドレスの美しいベトナム人女性マイ(ラン=ケー・トラン)と知り合います。酒場で娼婦として客を取っていたマイは、かつて死体の山から這い出て逃げ込んだ森で彼を助けてくれた少女でした。
その夜、ロベールはマイを買い、彼女の粗末な家で激しく身体を交わせました。
この世の果て、数多の終焉のネタバレあらすじ:転 9月~11月
復讐に燃えるロベールでしたが、憎きヴォー・ビンをなかなか見つけることができません。ロベールはうまくいかない苛立ちからしばしば隊を乱すようになります。
「国のために戦え」という上官の命令も聞かず、ベトナム人捕虜を戦力にしようと考えるロベールでしたが、ベトナム人にとってヒーローであるヴォー・ビンについての情報は得られずにいました。
ジャングルでの戦いはいっそう厳しいものになっていきました。ロベールのさらに苛立ちを増幅させていきます。この激しい感情は、癒しを求めてつながっていたマイとの関係にも変化をもたらせます。力や金でマイを服従させたがるロベールでしたが、彼女はかたくなに拒み続けました。
この世の果て、数多の終焉の結末:12月
ある日のこと、駐屯地にひとりの少年が現れました。ヴォー・ビンの居場所を知っていると言うのです。しかし、果たして信じてもいいのか、それとも罠なのか、分からないままロベールは遠征を決意しました。
マイに「もう戻らない」と告げ、戦友カヴァニャや数人のベトナム人捕虜とともにジャングルの山越えに出発しました。
しかし、その遠征は深いジャングル中を行く無謀なものでもありました。どれだけ歩いても山を越えることができない極限状態の中、カヴァニャが毒ヘビに噛まれ命を落としてしまいます。ロベールはその場にうなだれ発狂しました。
それまで道案内をしていた少年は気付くと消えていました。罠だったのです。
月日は経ち、サントンジュの家に赤ちゃんを抱えたマイがいました。
父親は一体誰なのかはわかりません。マイは過去のショックから失語症になり、ドクターの往診を受けているところでした。
ロベールは駐屯地にいました。
ベンチでうなだれ、虚無感に打ちひしがれている様子でただじっと一点を見つめているのでした。
以上、映画「この世の果て、数多の終焉」のあらすじと結末でした。
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