東京原発の紹介:2002年日本映画。都内への原発誘致を表明する都知事。これに猛反対する職員や学者らを押し切る形で知事案が発表されると思われた矢先、彼の真意が別にあることがわかる。会議室での議論を通じて原子力の問題点を浮き彫りにしていくとともに、並行して発生した核ジャック事件も見所となる作品。
監督:山川元 出演者:役所広司(天馬都知事)、段田安則(津田副知事)、平田満(笹岡産業労働局長)、田山涼成(佐伯政策報道室長)、菅原大吉(石川都市計画局長)、岸部一徳(大野財務局長)、吉田日出子(泉環境局長)、綾田俊樹(榎本教授)、徳井優(及川特別秘書)、ほか
映画「東京原発」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「東京原発」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
東京原発の予告編 動画
映画「東京原発」解説
この解説記事には映画「東京原発」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
東京原発のネタバレあらすじ:起
東京都庁内で極少数の幹部が集まっての緊急会議が開かれ、東京都知事の天馬は財政再建の妙案として東京に原発を誘致すると言い出します。津田副知事ら一同が驚きと反論を出す中、天馬知事が経済効果やエネルギー問題などの持論を展開していくとそれに賛成する者も現れます。更に天馬知事は、地方の自然を破壊してまで原発を建造し、都民が電気を貰うだけなのはおかしいとも言うのです。その頃お台場にて、トラック運転手の中村はプルトニウム燃料を積載した車両の傍で原子力安全委員の松岡に会っていました。車体に放射能標識が貼られたことで中村は松岡に警護の有無を尋ねます。松岡は核燃料の公道輸送は極秘裏であるので警護は無いと答え、指定時刻に到着が間に合わなければ報酬を払わないと言って中村を急かしました。会議室では誘致反対派が東京のどこに建造するのかと詰め寄りますが、天馬知事は都庁の目の前にある新宿中央公園をその場所にすると答えます。津田副知事が専門家を会議に呼びました。現れた大学教授の榎本は原発に否定的な考えを持っていて次々とその危険性を説くのです。榎本教授は被爆の怖ろしさを国内外の実際の事故例で説明していきます。その話の中で「チェレンコフの光」という言葉が出ました。これは原発事故の際にその目撃談のある青白い光のことを指しています。核燃料運搬途中の都内で走行経路がわからなくなった中村とその助けにやって来た松岡が停車中のトラックの脇で言い争っている間に、謎の若者がトラックに忍び込みます。再び運転を再開した中村は謎の若者・青山に下車するよう言いますが、青山は改造拳銃を威嚇発砲して中村を脅迫、トラックを都庁に向かわせます。
東京原発のネタバレあらすじ:承
都庁の会議室内では原発誘致に対する採否が諮られ、結果は賛成多数でした。津田副知事らは原発のリスクを訴えて翻意させることに必死となりますが、天馬知事は場所が東京だろうが地方だろうがリスクは同じだし、個人の生命に対するリスクも同じなのに、最も電気を消費している都民が他所に原発を押し付ける図式になるのはおかしいと言います。また、傍観している者は賛成しているのと同じだとも言って反対派を黙らせます。一旦、天馬知事が退席した会議室で津田副知事は燃料電池のことを話し出します。燃料電池に必要なものに水素がありますが、水素が含まれている物質は多岐にあって紙や生ゴミもそれにあたるのです。技術開発が進み実用化されればゴミも燃料電池のエネルギーに成り得ます。これを榎本教授らと議論していた津田副知事はあることに気づいていました。それは、天馬知事の真意です。知事の特別秘書・及川がゴミについて調査を重ねていたことから、都内にある膨大なゴミの問題とエネルギー問題を解決する為に燃料電池技術開発の推進を図るのが知事の本当の考えであると、津田副知事は言うのです。国は原発を推進しています。そして、国民の多くは原発から遠い所で生活しているのでそのほとんどが無関心であり傍観者です。天馬知事の持論ならば、国と国民の多くは賛成側となります。都民もまた同じです。そこで天馬知事は東京への原発誘致を提案することで都民やマスコミを巻き込んでエネルギー問題に関する議論を起こそうとしているのです。
東京原発のネタバレあらすじ:転
会議室に現れた及川秘書は、天馬知事が原発施策の是非を国民投票レベルの話に持ち込んでこれをガラス貼りにしなければならないと思っていることを、津田副知事らに明かしました。天馬知事は都民に原発反対の声をあげさせる為に今回の提案に踏み切ったのです。万一、都民が原発の東京誘致に賛成すればそれを実現する覚悟も天馬知事にはあると、及川秘書は言います。東京に原発誘致する提案そのもの、それにそれが都民に否定されれば天馬知事の政治生命は危うくなります。しかし、日本から「チェレンコフの光」を失くす為に己の保身を考えない天馬知事の姿勢に一同は感動するのです。都の幹部が揃ってやる気を見せ始めたその時に、核燃料運搬中のトラックをジャックした青山が天馬知事に連絡を入れてきます。青山は都庁公式サイトをハックしており、彼が指定する箇所をクリックすると運転席内部の様子をライブ配信にて視聴できるように仕組まれていました。ライブ配信の中で青山は自身が行った爆弾の爆発実験の映像を天馬知事らに見せ、その10倍の威力を持った爆弾をトラックに仕掛けたことを明かします。そして、彼はこのライブ配信をテレビ放送に流すことと、都が核ジャックの事実を公表することを要求するのです。その直後、正面にカラスが現れた為に中村がトラックを急停止させました。はずみで青山が手に持っていた機具のスイッチが入りタイマーが残り1時間からスタートしてしまったのです。核燃料が爆破された場合の被害予想を問われた榎本教授は、規模と風向によっては広範囲に被害が及ぶが、それよりもトラックが川や海に転落するなどして核燃料が水にふれる方が臨界のおそれがあるのでもっと危険だと言います。トラックを運転している中村は実はアル中でした。ハンドルを握っている最中にもかかわらずカップ酒を何本もあおりだすのです。酔いが回った中村の運転するトラックは大きな蛇行を続け、道路工事のフェンス群に車体を接触させます。その時に柵やら棒やらいろいろな物を車体のあらゆる箇所へと巻き上げたり当てたりしていくと、荷台のカバーが外れて核燃料容器がその姿を公然に晒しました。
東京原発の結末
都庁敷地内に突入したトラックは旗ポールに衝突して停車、日の丸を掲げていたポールが折れて倒れ、核燃料容器を激しく強打します。中村と青山はその車内で気を失っていました。天馬知事らが駆けつけ、運転席にある青山の持っていた時間経過を表示している機具を発見します。しかし、爆弾処理をしようにも頼みの爆弾処理班が新宿の渋滞に巻き込まれて現場到着が間に合わない状況です。天満知事は意を決して自分で爆弾処理にとりかかりますが、機具内部にある2色のコードが見えたところで手を止めてしまいます。タイムリミットが迫る中、目覚めた青山がコードを同時に2本とも切断するよう言います。そこで、天馬知事と津田副知事が息を合わせてコードを切断すると時間表示が停止しました。爆弾解除できたと安堵したのも束の間、青山がそれは爆弾本体ではなくただのタイマーだと指摘します。目覚めて間もなかった青山も天馬知事らも皆が勘違いしていたのです。爆弾本体は車体裏にあってそのタイマーは確実に動いています。天馬知事は車体裏に潜り込みますがもう間に合わず、誰もが万事休すと諦めます。しかし、タイマーがゼロとなっても爆弾は爆発しませんでした。津田副知事が爆弾をよく観察すると何かにぶつかった跡がありコードが2本とも既に切断されていたのです。危機を回避した直後の都庁で天馬知事は記者会見を開き、東京への原発誘致案を発表します。その最中、外は雨が降っていました。たくさんの雨粒が、カバーに覆われていない核燃料容器を濡らします。すると青白い光が・・・。
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