夢 追いかけての紹介:2003年日本映画。 3大会連続でパラリンピック競泳に出場した全盲の中学教諭・河合純一。彼の愛と勇気に満ちた半生を描いた作品。本人役で河合純一自身が出演し、全盲の苦しみに屈することなく、夢に向かって努力を重ねる姿が胸を打つ物語です。
監督:花堂純次 出演:三浦友和、河合純一、勝地涼、北見敏之、船越英一郎、江藤潤、田中好子、ほか
映画「夢 追いかけて」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「夢 追いかけて」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
夢 追いかけての予告編 動画
映画「夢 追いかけて」解説
この解説記事には映画「夢 追いかけて」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
夢 追いかけてのネタバレあらすじ:起
1979年10月、浜名湖畔の舞阪町で生まれ育った河合純一は、生まれつき左目の視力が弱い障害がありました。幼少期に手術を受けたものの、医師から「完治したわけではない」と言われてます。「いずれ完全に失明するものと、覚悟しておいてください。」と、医師から宣告され、「自分のせいだ…」と打ちひしがれる純一の母親。一方、純一の父親は、「片目だけでも見えているのだから、今は純一のやりたいようにやらせてやろう…」と、妻にやさしく声を掛けるのでした。
その後、家族や友人の助けを借りながらすくすくと育った純一は、中学三年生になりました。水泳部に所属している純一ですが、顧問のモリタは彼の泳ぎの変化に気が付きます。以前にも増して、純一が見えていないのではないかと疑うモリタ。そのことは、純一の母親も気になっていました。ある日、電気もつけずに真っ暗な中で風呂に入る純一を見て、母親は息子が全盲となってしまったことを知るのでした。
水泳部では一番泳ぎが速かった純一ですが、目が見えないため真っ直ぐ泳げず、ターンも失敗するようになります。そのため、県大会に出ないことを決断する純一。そのことを友人のダイスケに打ち明けるのですが、ダイスケは「純一が大会に出なければ、負けてしまう」と引き止めます。しかし、「お前に俺の気持ちはわからないよ…」と、帰ろうとする純一。ダイスケは帰らせまいと、純一の前に立ちふさがります。すると怒った純一は、ダイスケの頬を叩きました。そして殴りかかる純一ですが、見えていないので友人がどこにいるのかわかりません。ダイスケは、「逃げているのはお前だ!」と言って、純一を置いて先に帰ってしまいました。
一人になった純一は、駄菓子屋でアイスを買おうとします。しかし物にぶつかってお菓子を落としてしまいました。すると店のおばちゃんが、純一が全く見えていないことに気が付きます。おばちゃんは、「あんたもかわいそうに、夢があったのにね。見えないと何もできないね…。ご両親もかわいそう。これからは誰かにすがって生きて行かないといけないから、人に嫌われないように生きないとね!」と、声を掛けます。その時は笑ってごまかしたのですが、店を出た後に買ったアイスを道に投げ捨て、純一はひたすら歩くのでした。
夢 追いかけてのネタバレあらすじ:承
ただひたすら歩く純一は、道にある箱や電信柱にあたりながら黙々と前に進みます。そしていつの間にか夜になっていました。道路を歩いていた純一は、後ろからきたトラックに驚きケガをしてしまいます。病院で手当てをしている純一に、顧問のモリタが付き添いました。キズの手当てが終わった純一に、モリタは何があったのか尋ねます。「かわいそうとか、親が気の毒。それに夢がなくなるなど言われて腹が立ち、悔しくなった…」と話す純一。普通の高校にも大学にもいけず、未来に絶望する純一に、モリタはどんな言葉を掛ければいいのかわかりませんでした。純一は「悔しい…」と声をあげて泣き、その後彼は夜中の学校のプールに入り思いっきり泳ぎました。
その後、モリタから中学卒業後の進路を聞かれた純一は、東京の盲学校へ行って教師になる夢を伝えます。教師は無理でも、教育関係の仕事に就きたい純一。それを聞いた純一の友人は、自分たちがいれば普通の高校に通っても、何とかなるのではないかと提案。しかし全盲の生徒を受け入れてくれる高校はなく、純一は絶対に自分の夢を叶えるとみんなの前で宣言するのでした。
夢 追いかけてのネタバレあらすじ:転
東京の学校に行くために、猛勉強する純一。友人たちが代わり代わりに家にやって来て、参考書を読むなどして勉強の手伝いをしてくれます。それを微笑ましく見守る両親。純一が目指すのは筑波大学付属全盲学校です。受験は点字で行われますが、最近視力を失った純一は、点字がわかりません。
そこで、モリタは筑波大学付属全盲学校の教師・八代にそのことを伝え、点字ではない方法で受験をさせてほしいと頼みました。八代は、「たとえ学校に入学できても、点字が読めなければ本人が苦労するだけではないか?」と告げます。それでもモリタは、純一の成績がトップクラスであること。そして彼には教師になる夢があることを伝えました。モリタの熱い気持ちが伝わり、八代は受験の形式を見直すことを約束します。
そして純一は、念願だった学校に合格し、寮に入ることになりました。点字も学び、白杖で歩く練習も始めます。これまでは友人や家族がいたため歩くことは平気でしたが、これから先は一人で街中を歩く必要があります。誰かに頼らず、一人で生きていくためにも点字や白杖を使った生活の大切さを教えられる純一。ある日、水泳部の顧問をしている八代に純一は泳ぎを見せます。すると八代は、「パラリンピックに出るか?」と純一の泳ぎに驚くのでした。
舞阪町から東京へ、母親が純一の様子をたまに見に来ます。白杖を手にし、物にぶつかりながら歩く純一を見て、心配になる母親。わざわざ住み慣れた場所から離れなくてもよかったのではないかと母親は思いますが、純一は夢に向かって一生懸命に日々を生きているのでした。しかし、なかなか点字の勉強は進みません。放課後も先生に付き合ってもらい勉強するのですが、嫌になって抜け出してしまいます。それが八代にばれてしまい、純一は喝を入れられました。
水泳の練習もこなしていた純一の元に、ある夏の日友人たちがやってきます。毎日一万メートルも泳いでパラリンピックを目指していることを知った友人たちは、自分たちも頑張ろうと勇気をもらい、一方の純一も何とか苦手だった点字も覚えることができるのでした。
夢 追いかけての結末
そして夢だったアトランタ五輪のパラリンピックに出場した純一は、銀メダルを獲得。それからも練習にあけくれる純一は、念願の中学教員免許をとりました。そしてモリタのいる母校の社会科教師として着任した純一は、クラスの副担任をすることになります。しかし、父兄からクラスを変えてほしいと相談がきました。日本で初めて盲人の先生となった純一に、自分の子供をたくすことが不安だと言うのです。するとモリタは、「生徒たちは彼から何かを学び、彼も教師として成長するだろう。」と説得しました。
授業は純一が話し、黒板にはモリタが書き記す形ですすめられます。純一は、生徒の顔を覚えられないため、声を聞いて一人一人をを判別します。そんな純一のクラスには、遅刻や無断欠席が目立つ女子生徒のキムラがいました。彼女は口数が少なく、あまり自分のことは話したがりません。純一は心配になり、キムラに話しかけますが、彼女から何も聞き出すことはできませんでした。しかし彼女の背中にあざがあると他の生徒から聞いた純一は、そのことをモリタに相談します。キムラは腕も怪我していたことがありました。
そんなある日、純一の家にキムラがやってきます。キムラの顔には、あざができていました。キムラの母親と付き合っている男がお酒を飲むと暴れて、それで彼女は暴力を振るわれていたのでした。自分の母親が男にだらしがなく、そのことを誰にも相談できずにいたキムラ。しかし我慢も限界になり、純一に助けを求めます。純一がキムラの家に行くと、男から突き飛ばされてしまいます。そして男が純一に掴みかかろうとすると、そこへモリタが駆けつけました。モリタが「警察を呼んだ」と言うと、男は焦って逃げていきました。
その後、純一は次のパラリンピックにも出場して、メダルを目指すことをモリタに話します。その言葉を周りで聞いていた友人や母親から拍手がおこり、それからも水泳の練習や教師としての仕事に励む純一がいました。
夜も練習に励む純一に、キムラが近づきます。キムラは、母親の彼氏だった男はあれ以来姿を現していないことを伝えました。純一は、彼女が毎日学校に来るようになり、安心していることを伝えるのでした。そしてシドニーパラリンピックが開催され、純一は金・銀合わせて5個もメダルを獲得することができます。学校では生徒たちが純一を温かく迎えてくれてました。転校が決まったキムラと別れ告げ、純一はこれからも日々を一生懸命に生きるのでした。
以上、映画「夢 追いかけて」のあらすじと結末でした。
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