トラフィックの紹介:2000年アメリカ映画。1989年にイギリスで放映されたテレビシリーズ『Traffik』をハリウッドでリメイクした犯罪群像劇です。本作は実際に起こった事件や実在の人物をモデルに取り入れており、アメリカとメキシコを舞台に麻薬密輸を行う者、それと戦う者、薬物依存の恐怖といったいくつものストーリーが折り重なる様を描いています。本作は第73回アカデミー賞で監督賞・助演男優賞(ベニチオ・デル・トロ)・脚色賞・編集賞の4冠を受賞、ゴールデングローブ賞でも脚本賞と助演男優賞、ベルリン国際映画祭での男優賞など様々な賞に輝いています。
監督:スティーブン・ソダーバーグ 出演者:マイケル・ダグラス(ロバート・ウェークフィールド)、ベニチオ・デル・トロ(ハビエール・ロドリゲス=ロドリゲス)、ドン・チードル(モンテル・ゴードン)、ルイス・ガスマン(レイ・カストロ)、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(ヘレーナ・アヤラ)、エイミー・アーヴィング(バーバラ・ウェークフィールド)、エリカ・クリステンセン(キャロライン・ウェークフィールド)、ジェイコブ・バルガス(マノーロ・サンチェス)、スティーヴン・バウアー(カール・アヤラ)、ミゲル・フェラー(エデュアルド・ルイス)、トーマス・ミリアン(アルトゥーロ・サラザール将軍)、デニス・クエイド(アーニー・メッツガー)、クリフトン・コリンズ・Jr(フランシスコ・フローレス)、ジェームズ・ブローリン(ラルフ・ランドリー将軍)、ベンジャミン・ブラット(ジュアン・オブレゴン)、アルバート・フィニー(大統領首席補佐係長)、トファー・グレイス(セス・エイブラハムズ)、コーリー・スピアズ(ボーマン)、アレック・ロバーツ(デビッド)、マジャンドラ・デルフィノ(バネッサ)、マリソル・パディラ・サンチェス(アナ・サンチェス)、サルマ・ハエック(ロザリオ)ほか
映画「トラフィック」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「トラフィック」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
トラフィックの予告編 動画
映画「トラフィック」解説
この解説記事には映画「トラフィック」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
トラフィックのネタバレあらすじ:起
アメリカとの国境に近い、メキシコ最北端の都市ティファナから南東32kmの砂漠地帯。バハ・カリフォルニア州警察の麻薬捜査官ハビエール・ロドリゲス=ロドリゲス(ベニチオ・デル・トロ)と、相棒のマノーロ・サンチェス(ジェイコブ・ヴァルガス)は、砂漠で張り込んでいたところ、大量の麻薬を積んだトラックを摘発、運び屋を逮捕しました。
その直後、ハビエールらの前に連邦捜査局長官アルトゥーロ・サラザール将軍(トーマス・ミリアン)が現れ、ハビエールらは容疑者や押収した麻薬と共に手柄を横取りされました。
アメリカ・オハイオ州コロンバスで判事をしていたロバート・ウェイクフィールド(マイケル・ダグラス)は、麻薬撲滅担当の大統領補佐官に任命され、ワシントンD.C.に赴任することになりました。ワシントン入りしたロバートは大統領首席補佐官(アルバート・フィニー)に挨拶し、前任者のその後ウェイクフィールドは、前任者のラルフ・ランドリー将軍(ジェームズ・ブローリン)からの引き継ぎなどを行いました。
しかし、その一方でロバートの娘キャロライン(エリカ・クリステンセン)は、ボーイフレンドのセス・エイブラハムズ(トファー・グレイス)や友人たちと共にドラッグに明け暮れていました。
アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ。麻薬取締局(DEA)の捜査官モンテル・ゴードン(ドン・チードル)とレイ・カストロ(ルイス・ガスマン)は麻薬の売人を装い、カリフォルニア州南部の麻薬密輸の仲介を一手に担う大物売人のエデュアルド・ルイス(ミゲル・フェラー)に接触しました。
しかし、商談中に地元警察が乗り込んできたため、モンテルとレイの正体がバレてしまい、警察を巻き込んだ銃撃戦となりました。モンテルとレイはエディアルドを逮捕しました。
サンディエゴ近郊のラホーヤでは、実業家のカール・アヤラ(スティーヴン・バウワー)の妻ヘレーナ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)が、いつもと変わらぬ日常を過ごしていました。ところが、DEAの捜査官がアヤラ家に押し入り、カールを逮捕していきました。ヘレーナはなぜ夫が逮捕されたのかわからず困惑しました。
トラフィックのネタバレあらすじ:承
メキシコ・ティファナ。勤務中だったハビエールとマノーロはサラザール将軍に呼び出され、麻薬カルテルを潰すため殺し屋フランシスコ・フローレス(クリフトン・コリンズ・Jr)を捜し出して連行するよう命じられました。マノーロは危険な任務だとして降りようとしましたが、ハビエールはフランシスコが潜伏していると思われるサンディエゴに向かうことにしました。
その頃、サンディエゴではモンテルとレイがエディアルドの事情聴取を行っていました。エディアルドは司法取引を求め、幼馴染であるカールや麻薬カルテルのボスであるホアン・オブレゴン(ベンジャミン・ブラット)に関する情報を白状しました。
アメリカ・オハイオ州シンシナティ郊外の自宅に一時的に戻ったロバートは、妻のバーバラ(エイミー・アーヴィング)やキャロラインと久しぶりに家族団らんのひと時を過ごしました。しかし、ロバートは優等生であるはずのキャロラインが汚い言葉を発したことに疑問を抱きました。
キャロラインはその後もセスや友人たちと共にドラッグをキメていましたが、友人の一人が突然発作を起こして倒れてしまいました。キャロラインらはその友人を病院の出入り口に置き去りにして逃げようとしましたが、たまたま通りかかっていたパトカーに見つかってしまいました。
サンディエゴ。ヘレーナはカールの顧問弁護士アーニー・メトガー(デニス・クエイド)から、カールは麻薬の密輸入に手を染めていたことを知らされました。アーニーは警察に、地元に貢献しているカールが犯罪に手を染めるはずがないとして保釈を求めましたが却下されました。モンテルとレイは密かにヘレーナの動向を探り始めていました。
サンディエゴに乗り込んだハビエールは、地元のゲイバーに入り浸っていたフランシスコを見つけて捕らえ、ティファナのサラザール将軍の元に連れて行きました。サラザール将軍はあまりにも早い検挙に驚きながらも、部下に命じてフランシスコに拷問を加えました。
フランシスコは雇い主であるホアン一味の情報をバラし、サラザール将軍は次々とホアンのカルテルの幹部や関係者たちを逮捕していきました。ホアンのカルテルは壊滅的な打撃を受け、用済みとみなされたフランシスコは釈放されました。
シンシナティのウェイクフィールド家。警察の取り調べを受けたキャロラインが帰宅してきました。ロバートはキャロラインに罰を与えようとし、反対するバーバラと口論になりました。
その際、ロバートはバーバラがキャロラインのドラッグ使用に気付いていたことを知り、現在の自分の立場に影響するのではないかと懸念しました。しかし、そんなロバートの気持ちも知らぬキャロラインは相変わらずドラッグに手を染め続けていました。
ヘレーナはサンディエゴの警察署でカールに面会し、今の裕福な生活を失いかけている苦しい胸の内を明かしました。その後、ヘレーナは海辺で息子を遊ばせていましたが、そこにカールと繋がりのある麻薬組織の人間が現れ、カールが背負っている必ず借金を返すよう脅されました。ヘレーナはそのことをアーニーに相談しました。
モンテルとレイは引き続きヘレーナの動きを探っていました。
トラフィックのネタバレあらすじ:転
ティファナ。ハビエールの元にマノーロの妻アナ(マリオ・パディラ・サンチェス)が訪ねてきました。アナはマノーロの姿が見えないと訴え、ハビエールはマノーロがサラザール将軍に会っているのではないかと考えました。その後、ハビエールの元にDEAの捜査官が訪れ、彼に金と引き換えに捜査協力を求めてきました。
ハビエールは金よりも地元の公園に照明を設置してほしいと要求しました。そうすれば子供たちは夜も野球を楽しむことができ、結果的に麻薬の売人など犯罪者に身を堕とさずに済むと考えたのです。
ロバートはメキシコの国境の町であるテキサス州エル・パソの情報センターを視察し、改めて麻薬組織を叩き潰す決意を新たにしました。しかし、キャロラインは平然とドラッグを吸い続け、激怒したロバートはキャロラインをドラッグ治療施設に入所させました。
ハビエールとマノーロは、メキシコシティを拠点とする麻薬組織フアレス・カルテルのボスの愛人ロザリオ(サルマ・ハエック)に接触しました。そこでハビエールとマノーロはサラザール将軍がフアレスと手を組んでおり、ライバルであるホアンを潰すため動いていたことを知りました。
マノーロはその情報を大金で売ろうと目論みましたが、ハビエールは見たこと全てを忘れるようマノーロに忠告しました。ハビエールは密かにDEAに協力することにしました。
サンディエゴ。ヘレーナはモンテルとレイが自分を監視していることに気付き、二人の元に出向くと、自分と息子の身に危険が迫っていることを訴えました。その後、ヘレーナはカールが面会時に発したある言葉を思い出し、カールの書斎にある絵画の額縁に殺し屋フランシスコの連絡先や組織の秘密情報が隠されていることを発見しました。ヘレーナはカールをDEAに売ったエディアルドの殺害をフランシスコに依頼しました。
ロバートはティファナのサラザール将軍を訪問し、麻薬カルテル撲滅の協力体制を確認しました。ところが、シンシナティの治療施設に入所していたキャロラインが脱走してしまい、シンシナティに戻ったロバートは必死でキャロラインを捜しました。しかし、キャロラインの行方は結局わからないままでした。
サンディエゴ。モンテルとレイにホテルに匿われていたエディアルドは、カールの裁判に証人として出廷するため裁判所に入りました。その間、フランシスコは車に爆弾を仕掛けましたが、証言を終えたエディアルドは車には乗らず歩いてホテルに戻りたいとモンテルに願い出ました。
フランシスコは直接エディアルドを殺そうとしましたが、フランシスコは自分を裏切り者とみなすホアン一味の殺し屋に狙撃され、モンテルにも撃たれて死亡しました。しかし、車のエンジンをかけようとしたレイはあえなく爆死してしまいました。
エディアルド抹殺に失敗したヘレーナは次の一手として自らメキシコに飛び、ホアンに直接接触しました。ヘレーナはコカインを人形の形にして密輸するという、以前からカールが考えていた密輸方法を提案し、借金を帳消しにしてもらったうえで改めてエディアルドの抹殺を依頼しました。
トラフィックの結末
ティファナ。ハビエールはアナから、マノーロがDEAにサラザール将軍の情報を売ろうとしていることを知らされました。しかし、マノーロはサラザール将軍の手下に捕まって殺害されました。相棒を失った悲しみに暮れるハビエールはアナにマノーロの死を伝え、マノーロの代わりにDEAにサラザール将軍の情報を提供しました。やがてDEAはサラザール将軍とその一味を逮捕し、この一件はロバートにも伝えられました。
シンシナティ。キャロラインは麻薬ディーラーのところでドラッグ漬けにされていました。ロバートはセスの後を追い、モーテルにいたキャロラインを発見しました。その後、ホワイトハウスに向かったロバートは大統領首席補佐官からキャロラインの件は公表しないことを告げられ、記者会見では引き続き麻薬組織の撲滅に全力を注ぐ意思を表明しましたが、ロバートは悩んだ末に職務よりも家庭を優先させることにし、麻薬撲滅担当官の職を辞してシンシナティに戻りました。キャロラインはドラッグを断つ決意を固め、ロバートとバーバラはキャロラインを見守ることにしました。
サンディエゴ。この日はエディアルドが証人として出廷する日でしたが、エディアルドはホアン一味によって朝食に毒を盛られて殺害されてしまいました。証拠不十分になったカールは釈放され、ヘレーナらと自宅でバーベキューパーティーを開きました。カールは自分を裏切ったアーニーに暗殺者を差し向けましたが、その直後に自宅にモンテルがやってきました。モンテルはこっそりとカールの自宅に盗聴器を仕掛けてその場を去り、引き続きカール夫妻の監視を続けることにしました。
ティファナ。ハビエールは引き続きDEAへの協力を続け、麻薬組織壊滅のために力を尽くしました。サラザール将軍は毒を打たれて殺害されました。ハビエールはアナの元を訪れ、サラザール将軍が逮捕されたのはマノーロの功績だとして彼を称えました。そしてティファナの公園にはハビエールがDEAに要求していた照明設備が設置され、ハビエールは夜でも野球を楽しむ子供たちの姿を見て微笑みを浮かべました。
以上、映画「トラフィック」のあらすじと結末でした。
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