復活の日の紹介:1980年日本映画。小松左京が1964年に発表した同名SF小説を、巨額の製作費と日米の豪華キャスト、監督・共同脚本:深作欣二、製作:角川春樹、撮影:木村大作といった豪華スタッフで映画化したSF大作です。映画史上初めて南極で大規模ロケを敢行するなど世界各地でロケを行い、猛毒ウイルスMM-88と核ミサイルにより滅亡の危機にさらされる人類の姿を壮大なスケールで描き上げます。
監督:深作欣二 出演者:草刈正雄(吉住周三)、ボー・スヴェンソン(カーター少佐)、オリヴィア・ハッセー(マリト)、夏八木勲(中西隊長)、グレン・フォード(リチャードソン大統領)、多岐川裕美(浅見則子)、ロバート・ヴォーン(バークレイ上院議員)、千葉真一(山内博士)、チャック・コナーズ(マクラウド艦長)、渡瀬恒彦(辰野保男)、ジョージ・ケネディ(コンウェイ提督)、緒形拳(土屋教授)、森田健作(真沢隆司)、永島敏行(松尾明正)、角川春樹(難局日本隊隊員)ほか
映画「復活の日」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「復活の日」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
復活の日の予告編 動画
映画「復活の日」解説
この解説記事には映画「復活の日」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
復活の日のネタバレあらすじ:起
「1982年の秋、人類は死滅した。南極に863人の人間を残して。一体なぜこんなことに…」
1983年12月。イギリスの原子力潜水艦「ネレイド号」が日本・東京湾の浦賀沖に浮上し、現地の空気を採集し始めました。日本人乗組員で地震学者の吉住周三(草刈正雄)は、無人偵察ヘリが映し出す荒れ果てた東京の姿に呆然としました。フランス人科学者のラトゥール博士(セシル・リンダー)は採取した空気中のウイルスを研究用サンプルとして持ち帰りたいとマクラウド艦長(チャック・コナーズ)に伝え、艦長は渋々許可しました。任務を終えた「ネレイド号」は南極へ戻り、吉住はかつて別れた恋人・浅見則子(多岐川裕美)のことを思い出していました…。
…遡ること1982年2月、東ドイツ・ライプチヒの陸軍細菌研究所から1台の車が走り出しました。車の中にはアメリカが開発し、東ドイツ側に渡った細菌兵器「MM-88」が入っていました。MM-88とはいかなるワクチンも効かない強力な毒性と高い致死率を持ち、気温が上昇すると非常に高い増殖力を発揮するというものでした。アメリカのCIAはMM-88を回収してウイルス学の権威にワクチンの開発を依頼しようとしましたが、MM-88を積載したセスナ機は折からの悪天候に見舞われてアルプス山脈に激突しました。
1982年3月。アメリカ・メリーランド州の細菌研究所。MM-88の開発に携わっていた細菌学者のマイヤー博士(スチュアート・ギラード)の元をランキン大佐(ジョージ・トウリアトス)が訪れ、MM-88をまだ奪還できていない旨を伝えてきました。MM-88は開発段階では元々毒性はないものでしたが、これを生物兵器に転用しようと目論んだランキン大佐が様々な毒性や耐性を付け加えていったものでした。マイヤー博士による内部告発を恐れたランキン大佐は、彼を精神病患者に仕立てて病院に隔離してしまいました。
復活の日のネタバレあらすじ:承
1982年4月、カザフスタンで放牧中の羊が大量死し、イタリアでは“イタリア風邪”と呼ばれる感染症が蔓延していきました。やがて感染症は世界中に広まっていき、中部アフリカでは人間と動物が全滅してしまいます。その頃、南極観測隊に志願した吉住は、自分の子を身籠っていた則子から別れを切り出されていました。やがて感染症は日本にも拡大し、看護師をしている則子は過労がたたって流産してしまいます。
感染症は世界の主要都市をも飲み込み、各地で暴動が発生するなど治安が悪化していきました。アメリカ大統領リチャードソン(グレン・フォード)は閣僚たちと対応策を協議しますが、未だ有効な手段は確立されていませんでした。そんな時、上院議員バークレイ(ロバート・ヴォーン)は一連の事態がMM-88によりものではないかと疑い、ランキン大佐は拘束され、精神病院から解放されたマイヤー博士は早速ワクチンの開発に取り掛かりました。一方、ガーランド統参議長(ヘンリー・シルバ)は細菌兵器に対する示威目的で自動報復システム「ARS」の起動を進言しますが、リチャードソン大統領はこれを拒否しました。
1982年7月、日本全土に戒厳令が敷かれ、死者は3千万人を超えていました。医療は崩壊し、土屋教授(緒形拳)は「どんな事にも終わりはある。どんな終わり方をするかだ」と発言しました。一方、昭和基地の南極観測隊は中西隊長(夏八木勲)が各国の観測所と連絡を取り合って情報の収集にあたっていましたが、やがて日本本土との交信は途絶えてしまいます。
そんな時、ニューメキシコ州の少年(マルチェロ・クラコフ)から昭和基地に通信が届きますが、その直後に少年は父の銃で自決を遂げました。日本に妻子を残していた隊員の辰野保男(渡瀬恒彦)は動揺を抑えることができませんでした。やがて土屋教授は命を落とし、辰野の妻・好子(丘みつ子)も息を引き取りました。則子は辰野の息子・旭(加瀬悦孝)を連れてモーターボートで沖に出、毒を飲んで自決しました。妻子の死を知った辰野はブリザード吹き荒れる南極の大地に姿を消しました。
世界各国では死者の数は留まることを知らず、ソ連の首相やリチャードソン大統領の妻も命を落としました。死を覚悟したリチャードソン大統領はかつての政敵だったバークレイ上院議員と過去を語り合っていると、南極のパーマー基地の存在を思い出しました。
基地がまだ健在であることを知ったリチャードソン大統領は最後の大統領令として、パーマー基地の隊長・コンウェイ提督(ジョージ・ケネディ)以下隊員全員および南極にある各国の全ての基地にMM-88はマイナスの温度では活動を停止するので決して南極から出てはいけないと呼びかけました。やがてリチャードソン大統領とバークレイ上院議員は息を引き取り、ガーランド統参議長も「ARS」を起動して絶命しました。
パーマー基地に向かっていた中西隊長と吉住は途中のノルウェー基地で唯一生き残った臨月の女性隊員マリト(オリヴィア・ハッセー)を保護しました。やがてマリトは赤ん坊を出産、ノルウェー語で“日の出”を意味する“グリー”と名付けられました。そして1982年秋、南極の863人を残して全ての人類は全滅しました。
復活の日のネタバレあらすじ:転
生き残ったのは男性855人に対して女性はわずか8人だけでした。新たに発足された南極政府は人類の種の保存のため、女性を貴重な資源として性交渉を管理することとなりました。
そんなある日、ソ連の原子力潜水艦「T232」が救難信号を発して南極への上陸許可を求めてきました。しかし、T232には“イタリア風邪”の感染者がいたことから、南極政府・ソ連基地のボロジノフ博士(クリス・ウィギンス)らは上陸を拒否しますが、T232の艦長スミノルフ少尉(ジャン・ムジンスキー)は上陸を強行しようとしました。
近くを航行していたイギリスの原子力潜水艦「ネレイド号」はボロジノフ博士の要請を受けてT232を撃沈しました。ネレイド号には感染者がいないことから上陸を許可されました。そして南極は人類滅亡から最初のクリスマスを迎え、マリトと再会した吉住は彼女への想いを募らせました。しかし、南極政府の取り決めにより、マリトはクジで選ばれた別の男に抱かれました。
それから1年後。MM-88はなおも脅威を振るっていました。ラトゥール博士は東京で採取したサンプルを使ってワクチンの開発に着手する中、吉住はボルチモア海溝の海底石油採掘跡地の調査の結果から、間もなくワシントンD.C.近郊でマグニチュード9規模の巨大地震が発生するという衝撃的な予測を立てました。
アメリカ隊に属する国防省情報局の参謀・カーター少佐(ボー・スヴェンソン)によると自動報復システム「ARS」は地震の衝撃波をも核攻撃と認識してしまうということであり、またネレイド号のマクラウド艦長によると既に「ARS」は起動されてしまっているということでした。更にソ連のネフスキー大佐(ジョン・エヴァンス)がいうにはソ連はアメリカの核攻撃を受けた場合には自動的に報復システムを作動することになっており、何とこの南極基地も標的のひとつとしてプログラミングされているというのです。
復活の日の結末
南極政府はワシントンに乗り込んで「ARS」を解除するための決死隊を編成、カーターと吉住が志願しました。万が一に備えて女性と子供は砕氷船で避難することになり、吉住はコンウェイ提督の計らいでマリトと最後の一夜を過ごしました。翌日、カーターと吉住はラトゥール博士からワクチンのサンプルを受け取り、ネレイド号で大西洋からポトマック川をさかのぼってワシントンに到着しました。
カーターと吉住はワクチンを接種して無人のホワイトハウスに潜入しますが、既に余震は始まっており、カーターは建物の崩壊に巻き込まれて重傷を負ってしまいます。吉住は何とか地下に突入して「ARS」を解除しようとしますが、あと一歩のところで間に合わず、遂に無数の核ミサイルが発射されてしまいました。
カーターは「人生は良いものだ」と言い残して息を引き取り、吉住はネレイド号にすぐに退避して南極に危機を知らせること、ラトゥール博士にワクチンは効いていることを伝えるよう指示しました。しかし、核ミサイルは全世界の各都市はおろか南極基地をも破壊し尽くし、世界は二度目の死を迎えました。
世界の二度目の死から数年の時が流れました。辛うじて生き延びていた吉住はボロボロの服をまとい、アメリカ大陸を徒歩で旅していました。無数の白骨が散らばる荒野を進んだ吉住はやがてチリの南端にある湖畔へと辿り着きました。
そこは核攻撃から避難して生き延びていたマリトやラトゥール博士たちが集落を作っており、みなワクチンのおかげでウイルスの脅威を免れていました。吉住はマリトと再会を喜び合い、「人生は良いものだ」と呟きました。
以上、映画「復活の日」のあらすじと結末でした。
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