若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷の紹介:1950年日本映画。江戸南町奉行の息子でありながら侍の暮らしを捨てて船宿・喜仙の二階座敷に寝転んで酒を呑んで暮らす「若さま」が活躍する連作の一本。「若さま」こと堀田左馬介が江戸を騒がす能面の賊の事件に巻き込まれる。
監督:中川信夫 出演者:黒川弥太郎(「若さま」堀田左馬介)、江川宇礼雄(間崎広光)、柳家金語楼(用人喜左衛門)、大河内傳次郎(堀田佐渡守)、香川京子(おいと)、利根はる恵(お銀)
映画「若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷」解説
この解説記事には映画「若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷のネタバレあらすじ:起・能面屋敷
ある夜、南町奉行堀田佐渡守は与力佐々島と御用聞遠州屋小吉をともない、自ら夜の江戸の町の見回りをしていた。能面の賊が町を騒がせているためである。だが、警戒もむなしく能面の賊は、今夜は両替商和泉屋へ押し入った。賊を追跡した佐々島は能面屋敷と呼ばれる屋敷の辺りで見失う。佐々島は布団の中でも能面をつけている屋敷の当主、高名な能役者間崎広光に面を取るように要求する。面の下にはやけどで醜くただれた顔があった。また、彼は中風で身動きがとれないという。
一方、御用聞の小吉は能面の賊が逃げる途中で接触した女を追跡し船宿喜仙に至った。喜仙には町奉行の勘当された息子、「若さま」こと堀田左馬介が滞在し、今晩も喜仙の女主人の娘でお気に入りのおいとを侍らせていた。左馬介は小吉には怪しい女など知らぬと言う。だが、その実、その女お銀を押し入れの中にかくまっていたのである。
若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷のネタバレあらすじ:承・家名のために
左馬介は昨夜かくまった女、お銀のいる矢場を訪れる。そこでは、お銀を出せといって騒ぐ、間崎広光の弟、間崎玄馬をこらしめることになる。
一方、喜仙では、女主人が左馬介と親しすぎるおいとを心配し女中奉公を勧める。最初はいやがったおいとだが、左馬介がお銀に膝枕をしてもらっているのを見て腹を立てて奉公に上がることにする。奉公先は間崎広光の屋敷である。
広光は用人の喜左衛門から奉行所が玄馬を能面の賊であると疑っているときいて、家名のために弟を斬ることを命じる。玄馬殺しのために雇う牢人たちを集めたのはお銀だった。
玄馬はお銀と歩いている所を牢人たちに襲われる。応戦する玄馬が危うくなったところを助けたのは、御用聞の小吉からの情報で牢人たちの動きを知っていた左馬介だった。奉行所の役人たちも騒ぎを聞きつけてやってくる。その中にいた佐渡守は間接的に親として息子を心配していることを左馬介に伝える。
自分を殺させようとした兄に怒って、間崎の屋敷に玄馬が帰ってくる。喜左衛門が自分を陥れたと考えて、殺そうと庭を追いかける。そして朝になり、顔をめった切りにされた喜左衛門の死体が発見される。奉行所は玄馬=能面の賊が下手人とみなした。能面の賊は夜ごとにさらに悪事を重ねていった。
若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷のネタバレあらすじ:転・おいとの危機
おいとは広光に気に入られていた。ある日、広光は病気が治ったと言ってお糸の前で立ち上がる。だが、それは、おいとが見ぬ間に広光にすり替わった能面の賊だった。屋敷に現れたお銀に能面の賊は、事件に首をつっこむ左馬介の毒殺を命じる。
お銀は酒に毒を混ぜ、左馬介が毒入り酒の注がれたお猪口を口にしかけるが、左馬介がさりげなくお銀の生一本な本性を誉め「どうせ生きるんならきれいに生きるんだ」と言ったのに心を動かされ、毒殺をあきらめる。しかし、能面屋敷で能面の賊にもうけを半々に分けて手を切ろうと申し出たお銀は矢で背中を射られる。
一方、おいとは能面の賊が広光にすり替わっていることに気づいてしまい、そのせいで地下牢に入れられる。そこには広光も捕えられていた。
若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷の結末:能面の賊の正体
瀕死のお銀は番所までたどり着いて「夜叉丸」という一語を残して息を引き取る。左馬介は何度も小吉を調査に出し、ついに、盗賊夜叉丸こそ能面の賊であると推理する。彼の妹で間崎広光に孕まされて捨てられて自殺した女中きくの復讐をするために5年前に八丈島を島抜けし、用人喜左衛門として間崎家に仕えたのだった。喜左衛門と思われた死体は玄馬の死体に違いない。
おいとが行方不明と知った左馬介はついに能面屋敷に乗り込む。屋敷では能の上演中。能役者の扮装で忍び込んだ左馬介は地下牢のおいとと広光を発見する。そこへ下りてきておいとを口説き始めた夜叉丸を左馬介が地上に追い出すと、屋敷には佐々島たち奉行所の役人が賊を捕縛するために集まっていた。彼らの前で左馬介は夜叉丸の能面を割り、賊の正体を明らかにする。
再び天下泰平の町。左馬介は喜仙の二階でおいとに歌を歌わせて楽しむのだった。
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