戦争と平和の紹介:1956年アメリカ,イタリア映画。帝政ロシアを代表する文豪レフ・トルストイの代表作である同名長編小説をオードリー・ヘプバーン主演で映画化した歴史ドラマの超大作です。フランス皇帝ナポレオン1世の時代の帝政ロシアを舞台に、時代に翻弄されて没落していく貴族子女の恋愛模様を描きます。
監督:キング・ヴィダー 出演者:オードリー・ヘプバーン(ナターシャ・ロストフ)、ヘンリー・フォンダ(ピエール・ベズーホフ)、メル・ファーラー(アンドレイ・ボルコンスキー公爵)、ヘルムート・ダンティン(ドーロホフ大尉)、ヴィットリオ・ガスマン(アナトール・クラーギン)、ハーバート・ロム(ナポレオン・ボナパルト)、オスカー・ホモルカ(ミハイル・クトゥーゾフ)、アニタ・エクバーグ(エレーナ・クラーギン)、ジェレミー・ブレット(ニコラス・ロストフ)、ジョン・ミルズ(プラトン・カラターエフ)、メイ・ブリット(ソーニャ・ロストフ)、アンナ・マリア・フェレーロ(マリヤ・ボルコンスキー)、ウィルフレイッド・ローソン(アンドレイの父)、バリー・ジョーンズ(ロストフ伯爵)、ミリー・ヴィターレ(リーザ・ボロコンスキー)、ショーン・バレット(ペーチャ・ロストフ)ほか
映画「戦争と平和」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「戦争と平和」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
戦争と平和の予告編 動画
映画「戦争と平和」解説
この解説記事には映画「戦争と平和」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
戦争と平和のネタバレあらすじ:起
19世紀初頭。ヨーロッパ全土で猛威を振るうフランス皇帝ナポレオン1世(ハーバート・ロム)は、帝政ロシアにまで勢力を拡大しようとしていました。ロシアはナポレオンに対抗するためオーストリアへの出兵を決断、首都モスクワではロシア軍の行進が行われていました。
その様子を、戦争を嫌う進歩的な青年ピエール・ベズーホフ(ヘンリー・フォンダ)が冷ややかな眼差しで見つめていました。ピエールはロストフ伯爵(バリー・ジョーンズ)の令嬢ナターシャ(オードリー・ヘプバーン)と親しくしていました。
やがてロストフ伯爵の長男ニコラス(ジェレミー・ブレット)も出征することになり、恋人で従姉妹のソーニャ(メイ・ブリット)を伴って伯爵邸に現れました。ピエールは友人のドーロホフ大尉(ヘルムート・ダンティン)が出征前の軍人たちを集めて開いたパーティーに出席、酒を飲んではしゃいでいると、そこに親友で軍人のアンドレイ・ボルコンスキー公爵(メル・ファーラー)が現れ、ピエールの父が危篤であることを告げました。
貴族の私生児であるピエールは父が自分を認知してくれなかったことを恨んでいましたが、臨終の父は相続人にピエールを指名していました。父を看取り、莫大な遺産を継いで伯爵となったピエールは良き領主になろうと決意しましたが、父の友人の令嬢であるエレーナ・クラーギン(アニタ・エクバーグ)がピエールの財産を狙って近づき、その美貌に惹かれたピエールはエレーナとの結婚を決意しました。そのことを聞いたナターシャは衝撃を受けながらも気丈に「幸せになって」と告げ、ピエールは心苦しい気持ちになりました。
戦争と平和のネタバレあらすじ:承
アンドレイは小言ばかり言う妻リーザ(ミリー・ヴィターレ)を疎ましく思っており、父(ウィルフレイッド・ローソン)の勧めもあって戦地に向かうことにしました。アンドレイは妊娠しているリーザを田舎に住む父と妹マリヤ(アンナ・マリア・フェレーロ)に託して戦地に向かい、司令官のミハイル・クトゥーゾフ将軍(オスカー・ホモルカ)の参謀として戦いましたが、ロシア軍はフランス軍にアウステルリッツの戦いで大敗し、負傷したアンドレイは捕虜になってしまいます。
やがて戦争は終結、解放されたアンドレイは故郷でリーザに再会するも、リーザは男の子を無事に出産した直後に息を引き取ってしまい、アンドレイはリーザに愛情を注いであげられなかったことを深く後悔して精神を病んでしまいます。
ロストフ家ではナターシャや家族が帰還してきた兄ニコラスを出迎えていました。一方、ピエールとエレーナとの結婚生活は幸せなものではなく、ピエールをただの金づるとしか思っていなかったエレーナはドーロホフと不倫関係を持っていました。そのことを知ったピエールはドーロホフに決闘を挑んで勝利し、エレーナを家から追い出しました。しかし、ドーロホフが負傷したこと、エレーナを見た目だけで選んでしまったことからピエールは自責の念に駆られ、ロストフ伯爵やナターシャたちはピエールを励まそうと彼を田舎の別荘に連れていきました。
少しずつ元気を取り戻していったピエールでしたが、すっかり精神を病んでしまったアンドレイと現地で再会して驚き、彼を励まそうとしました。ナターシャはそんなアンドレイに心惹かれていき、アンドレイも奔放で活発なナターシャに惹かれていくうちに元気を取り戻していきました。
田舎から戻ったナターシャは、家族と共に出席した舞踏会の会場でアンドレイへの想いを巡らせていました。やがて舞踏会にアンドレイが現れ、ダンスに誘われたナターシャは楽しいひと時を過ごしました。意を決したアンドレイはナターシャとの再婚を決意しますが、ロシア皇帝アレクサンドル1世の講和使節団に息子を参加させたいアンドレイの父は二人の結婚に反対、どうしても結婚するなら1年後にしてくれと告げ、ナターシャはそれを受け入れました。
戦争と平和のネタバレあらすじ:転
1807年6月。ナポレオンとアレクサンドルとの講和協議が始まるなか、アンドレイの父から快く思われていなかったナターシャはマリヤから優しく声をかけられました。そんな時、ナターシャはエレーナの兄アナトール(ヴィットリオ・ガスマン)に言い寄られて恋に落ちてしまい、恋に反対するソーニャの忠告も聞き入れずにアナトールとの駆け落ちまで考えてしまいます。
しかし、ソーニャから話を聞いたピエールはアナトールを追い払い、ナターシャにアナトールは実は既婚者であることを伝えました。ピエールは深く反省するナターシャを慰め、そして彼女に想いを伝えました。一方、戻ってきたアンドレイはナターシャの過ちを知り、深く傷ついてしまいます。
1812年6月。
フランスとロシアの講和協議は失敗に終わり、ナポレオンはロシアへの侵攻を決意しました。戦禍がいよいよモスクワにも迫ろうとするなか、ピエールは戦いをこの目で見るために、戦争というものの意味を知るためにあえて戦場に向かうことを決意、ナターシャに決意を伝えて戦地に向かいました。ピエールはモスクワの西に位置するボロジノの近郊でアンドレイと再会、彼がナターシャを未だに許していないこと、また決戦を前にして死を覚悟する様に引き下がらざるを得ませんでした。
1812年9月7日、ボロジノの戦いが始まり、ピエールは戦場の凄惨な光景に言葉を失いました。戦いはフランス軍の圧倒的優勢に進み、ピエールは負傷兵を助けて救護班に運ぼうとしましたが途中で兵士は死亡してしまいます。ピエールはナポレオンに対して強い憤りと憎しみを抱きました。
いよいよフランス軍はモスクワに迫り、敗北を認めたクトゥーゾフはモスクワを焼き払って退却する決断を下しました。モスクワ市民が避難を始めるなか、ソーニャは重傷を負ったアンドレイがロストフ邸に運び込まれてきたことに気付きました。
戦争と平和の結末
ロストフ一家はアンドレイや負傷者を馬車に乗せてモスクワを離れました。その際、ナターシャたちはピエールと遭遇しましたが、ピエールはモスクワに残ると言ってナターシャたちとは同行しませんでした。やがてモスクワは火の海に包まれ、郊外に疎開したナターシャたちはその光景に深い悲しみを抱きました。
間もなくして荒れ果てたモスクワを制圧したナポレオンは、ロシア側が降伏をする意思のないことを悟っていました。ピエールはナポレオンを暗殺しようと銃を向けましたが失敗に終わり、フランス軍から略奪されそうになったモスクワ市民を助けようとして捕らえられてしまいました。
ようやくアンドレイを見つけたナターシャは彼に許しを乞い、アンドレイも彼女を許して愛を伝えました。アンドレイはナターシャの懸命の介護で一度は介抱に向かいつつありましたが、やがて容体は急変してしまいます。マリヤはアンドレイの見舞いに訪れ、幼い息子をアンドレイと再会させてあげました。マリヤはソーニャと別れたニコラスと付き合い始めていました。やがてアンドレイはナターシャやマリヤに看取られて息を引き取りました。
捕虜となったピエールは信心深い農夫プラトン・カラターエフ(ジョン・ミルズ)から全ては神の思し召しだと聞かされました。やがてロシアの厳しい冬に耐え兼ね、依然としてロシア側が動きを見せないことに苛立ったナポレオンはモスクワからの撤退を決意しました。フランス軍はピエールら捕虜を連れてフランスに一時撤退を開始しますが、極寒と食糧不足に襲われ、次々と兵士たちが命を落としていきました。ピエールは歩けなくなったプラトンが射殺されたことを知ります。
その頃、ドーロホフ率いる部隊は親の反対を押し切って軍に入ったナターシャの弟ペーチャ(ショーン・バレット)から敵の情報を聞き、ドーロホフは軍を率いてロシア軍に奇襲をかけました。この戦いでペーチャは戦死しますがフランス軍は撤退を始め、ピエールはロシア軍に助けられました。ドーロホフはピエールにエレーナが死んだことを伝え、ピエールとドーロホフはようやく和解を果たしました。その後、ロシア軍の総攻撃に敗れたフランス軍は祖国へ敗走、クトゥーゾフは勝利宣言をしました。
人々が戻り始めたモスクワでは、ナターシャらロストフ家の者たちが荒れ果てた屋敷に戻っていました。ナターシャは生還を果たしたピエールの無事を喜び、二人は固く抱き合って共に歩き始めました。物語はトルストイの「苦難のときも人生を愛せ、人生がすべてだから。人生を愛すとは神を愛することである」とのメッセージと共に幕を閉じます。
以上、映画「戦争と平和」のあらすじと結末でした。
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