映画「ワイルド わたしの中の獣」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ワイルド わたしの中の獣の紹介：2016年ドイツ映画。オオカミに一目惚れした女性の愛を描く衝撃の官能ドラマ。内向的な性格の女性アニアは、ある日森で一匹のオオカミを見つける。その瞬間オオカミに心を奪われてしまった彼女は、自宅にオオカミを閉じ込め「同棲」を始めてしまった。アニアは次第に野性に引き込まれ、人間らしい習慣を捨て去っていく。出演しているオオカミは全て本物であり、その迫力で数々の映画祭において話題をさらった。
監督：ニコレッテ・クレビッツ 出演者：リリト・シュタンゲンベルク（アニア）、ゲオルク・フリードリヒ（上司ボリス）、ザスキア・ローゼンダール（妹ジェニー）、ジルク・ボーデンベンダー（キム）ほか
この解説記事には映画「ワイルド わたしの中の獣」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
舞台は現代ドイツ。自己表現が苦手な会社員アニアは親しい友人も恋人もおらず、上司ボリスから雑用係として扱われる日々を送っていました。ある日自宅マンションの前にある公園の森で、一匹のオオカミに出会います。その強烈な野性にすっかり心を奪われたアニアは、オオカミのことで頭がいっぱいになってしまいました。もう一度オオカミに会うため、店で購入した肉を森の木に吊るすなどしてみましたが、オオカミは一向に現れません。
どうしても諦められないアニアは、本やインターネットでオオカミの捕獲方法を熱心に調べます。家中から服やカーテンをかき集め、日雇い労働者の女性達を買収して捕獲に使う囲い罠を製作し始めました。更に自宅マンションの壁に工具で穴をあけ、使っていない隣室を覗けるよう細工します。入院中の祖父を見舞った際には病院から麻酔薬を盗み出し、手製の吹き矢に仕込みました。そしてついにオオカミの捕獲に乗り出します。夜、雇った女性達と共に森に囲いを巡らせ、声と松明の炎でオオカミを追い詰めていくアニア。姿を現したオオカミを吹き矢で襲撃し、動きが鈍ったところで捕獲しました。アニアは幸福に満ちた表情でオオカミを自宅マンションに運び込み、使っていない部屋に閉じ込めます。
翌日から、アニアは覗き穴を使って室内を歩き回るオオカミを見つめるようになりました。食事を運んでオオカミに怪我をさせられても満足そうです。オオカミとの生活で次第に野性に飲み込まれていくアニアは、手掴みで食事をしたり裸足で出歩いたりするようになりました。更にオオカミに陰部を舐められ、恍惚に浸るような夢まで見ます。アニアは周囲から奇異の目で見られるようになり、マンションの住人からも悪臭や騒音が酷いとクレームが入る事態に。そんなある日、アニアが買い物から帰ると部屋中に大きな音が響いていました。オオカミが体当たりで壁を壊そうとしているのです。ついに壁は倒れ、アニアとオオカミを隔てる物は無くなりました。アニアは一旦ダスト・シュートを使って避難し、様子を見て部屋に戻ります。オオカミは窓の外を恋しそうに見ていました。ベッドに突っ伏し泣き出すアニア。そんな彼女を、オオカミは襲うどころかまるで愛撫するように舐め始めました。アニアは興奮し、堪らず自慰行為に耽ります。
無断欠勤を続けていたアニアは退職を決意し、オフィスに顔を出しました。体中傷だらけの彼女を見て職場の人々は目を丸くします。アニアに惹かれているボリスは退職を認めず、ひとまず休職を勧めました。しかしアニアの意志は固く、彼女は休日のオフィスに入って退職のための書類を作成します。そこへボリスが現れ、「美しい。君は美人だ」と口説き出しました。殆ど賛辞を受けずに生きてきたアニアは喜び、その場でボリスと性行為に耽ります。ボリスが去った後、アニアは彼のデスクの上で排泄し、オフィスに火を放ちました。アニアが帰宅すると、悪臭に我慢出来なくなったマンションの住人から通報すると告げられます。焦ったアニアはオオカミの首をロープで繋ぎ、マンションの屋上で生活することにしました。
アニアを心配したボリスがマンションを訪ねると、彼女の部屋はボロボロで耐え難い悪臭に満ちていました。逃げるように部屋を出たボリスはふと屋上へ向かい、アニアとオオカミを見つけます。オオカミを犬だと勘違いしているボリスは、警告するアニアに構わず近付きました。アニアの制止も虚しくオオカミはボリスに襲いかかり殺害してしまいます。もはや人間社会では生きられないと察し、アニアはオオカミと共に広い自然の中へ走り出しました。夜通し走り、オオカミと同じように泥水をすすり、オオカミが捕まえた野ネズミを食べます。しかしアニアがオオカミと同じ速度で走れるはずもなく、ついに彼女は倒れてしまいました。オオカミはアニアを守るように周囲を警戒します。翌朝、アニアが目を覚ますと、周囲に広がっていたのは美しく壮大な自然でした。自由な風を体に浴びたアニアは幸せそうに笑い、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画ワイルド わたしの中の獣のあらすじと結末でした。
オオカミを愛し過ぎたアニアが行きつく先が切ないのです。ですが、人間社会で孤立感を抱いていた彼女からすると、大好きなオオカミといれることが幸せだったのかなと思います。オオカミの捕獲から、懐かせるまでの努力がとてもたくましいです。