ザンガディクスの紹介:1991年オランダ,アメリカ映画。不気味な神話と少女の初潮を絡めながら、邪神の恐怖を描いたホラー作品。母ビクトリアと共に暮らす13歳の少女エマリーは、夜毎見る悪夢に悩まされていた。7人の少年が殺人を犯し、その血を使って謎のシンボルを描くという気味の悪い夢だった。精神科医は、初潮がまだ来ていないことへの不安の表れだろうと診断する。同じ頃、悪魔学の権威ケラー教授はアマゾン奥地に住むマクチシュ族の貴重な資料を目にした。彼らの悪の神「ザンガディクス」には7人の息子がおり、彼らが実の妹に産ませた子は世界を永遠の闇にするという。ケラー教授はある精神科病院に収容された凶暴な七つ子こそがザンガディクスの息子だと考えた。ケラー教授がザンガディクスの企みを阻もうとする中、ついにエマリーが初潮を迎える。別題は「ザンガディクス/鮮血の悪夢」。
監督:ルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ 出演者:エスミー・デ・ラ・ブレトニエール(エマリー・ルーカス)、モニク・ヴァン・デ・ヴェン(ビクトリア・ルーカス)、ケネス・ヘルディガイン(ケラー教授)、リック・バン・ウッフェレン(デグラフ)、オットー・スターマン(ヴェイダー・ケラー)ほか
映画「ザンガディクス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ザンガディクス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ザンガディクスの予告編 動画
映画「ザンガディクス」解説
この解説記事には映画「ザンガディクス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ザンガディクスのネタバレあらすじ:不気味な夢と神話
1934年2月8日。人類学者アンリ・ビダル=ナケは、最後の手記にこう遺しています。
アマゾン奥地に住むマクシチュ族の調査を行う探索隊のリーダーだった彼は、呪術医から水晶に入った巨大な胎児を見せられました。胎児は夜の支配者「ザンガディクス」と呼ばれ、部族の伝説によれば、地上の諸悪の根源であるらしいのです。ザンガディクスの子種を宿した女性は目が空の色に変わり、9ヶ月後に世界を闇に包む悪魔を産むという伝承でした。
この手記を書いた2日後に、彼は死亡しています。
数十年後、医師ジョンソンは人工受精による七つ子の出産を担当しました。無事七つ子が誕生した夜、ジョンソンは山の中に入り泥を顔面に塗りたくります。「解放してくれ」と呟く彼は、「いでよ ザンガディクス!」と叫びました。すると炎と共に水晶に入った胎児が現れ、ジョンソンは炎に包まれます。
それから21年後。14歳の誕生日を目前に控えた少女エマリー・ルーカスは、フリーカメラマンの母ビクトリアとアパートで暮らしていました。彼女は早くに父親を亡くしていますが、優しい母と幸せな毎日を送っています。そんなエマリーの悩みは、夜毎見る悪夢でした。7人の少年達が人を殺害し、その血で壁に謎のシンボルを描くという不気味な夢です。またある時は湿地で顔を隠した男達に捕まり、彼らにレイプされました。エマリーは精神的に疲弊し、ビクトリアも心配そうに娘を慰めます。
一方、悪魔学の権威で大学教授のケラーは、事務員アンジェラから倉庫で驚くべき発見をしたと報告を受けました。それは1934年、ビダル=ナケの探索隊がマクシチュ族を調査した時のフィルムでした。他にもメモとスケッチがトランクに一緒に入っていたそうです。資料では彼らの悪の神ザンガディクスについても触れられていました。
ビダル=ナケは水晶の胎児を盗み研究を続けるつもりでしたが、その数時間後に死亡。他の隊員も帰途の船上で嵐に遭い全員命を落としました。すると同席していたケラー教授の父ヴェイダーが突然慌て始め、このフィルムは燃やさなければならないと騒ぎます。トランクは一足先に帰国していた隊の医師の物で、彼の死後大学に寄付されていました。その医師の名は、「ジョンソン博士」です。
ザンガディクスのネタバレあらすじ:謎のシンボル
セラピーを受診したエマリーは、不気味な夢は初潮がなかなか来ないことへの不安の表れだと診断されました。安心した彼女はビースボッシュ湿地へ仕事に出かけるビクトリアに同行し、気分転換を図ることにします。
一方、ケラー教授は政府の秘密機関である特別作戦局のデグラフから助言を求められていました。それはある精神科病院に収容されている7人の患者についてです。21歳になる彼らは7歳の時、孤児院で16人を殺害して以来監禁されていました。収容場所は、ビースボッシュにある精神科病院の特別房。表向きは孤児院で食中毒が発生したことになっており、7人は存在自体が秘匿されています。
そんな中、ヴェイダーがジョンソンのトランクを盗んでフィルムを処分してしまいました。何故と問うケラー教授に、人類のためなのだと答えます。後日、ケラー教授はデグラフに案内されビースボッシュの精神科病院へ向かいました。
7人は先月にも医師を殺害しており、厳重に監視されています。7人は殺害した医師の血で壁に謎のシンボルを描きました。14年前、孤児院の虐殺でも同じシンボルを描いたそうです。ケラー教授らは知らないことですが、それはエマリーが夢に見るシンボルと同一のものでした。デグラフは、7人は七つ子なのだとケラー教授に明かします。
ちょうどその頃、ルーカス親子もビースボッシュに到着しました。川の近くでテントを張り、親子水入らずを楽しみます。
ザンガディクスのネタバレあらすじ:七つ子と妹の神話
帰宅したケラー教授は、シンボルについて調べ始めました。アンジェラがヴェイダーに処分されなかった分の資料を持って訪ねて来ます。資料によると、これはザンガディクスのシンボルでした。胎児神が部族の手を離れると、恐ろしい運命が待ち受けていると予言されています。マクシチュ族はザンガディクスを崇拝しているのではなく、胎児が逃げれば悪が世界を支配することになるため守っていたのでした。
そして資料には、7人兄弟とその妹の神話についても記されています。ザンガディクスの7人の息子は実の妹と交わり、彼女が産む子は世界を永遠の闇に陥れるらしいのです。ケラー教授は、例の7人こそがザンガディクスの息子ではないかと考え戦慄しました。
するとこっそり近付いて来たヴェイダーがまたも資料を燃やしてしまいます。彼はマクシチュ族と同じ森の生まれで、ザンガディクスと7人の息子の神話を恐れていました。ケラー教授はデグラフに会い、自分の仮説について話します。そしてその仮説が正しいのなら、七つ子には妹がいるはずだと説明しました。ケラー教授は七つ子を全員殺害するよう警告します。
その頃、エマリーは14歳の誕生日を迎えていました。朝起きた彼女は、違和感を覚え下半身を確認します。ついにエマリーに運命の初潮が訪れました。
ザンガディクスのネタバレあらすじ:狙われたエマリー
ビクトリアの撮影について行ったエマリーは、七つ子が収容されている精神科病院を発見しました。夢で見たものと全く同じ光景に、エマリーは恐ろしさを覚えます。夜、病院が気になったエマリーはそっとテントを抜け出し様子を見に行ってみました。
同じ頃、病院内では奇怪な現象が起こります。厳重なロックが勝手に解除され、解き放たれた七つ子は警備の人間を皆殺しにしました。屋上に出て来た七つ子を見たエマリーは、恐怖を覚えビクトリアと一緒に逃げ出します。追いかけて来た7人の内1人を弾みで殺害してしまったエマリー。恐慌状態に陥りつつも、母娘はボートで岸から脱出します。自宅に戻ってもエマリーの恐怖は解消されません。
一方、ビースボッシュの病院には軍やケラー教授らが到着していました。七つ子の1人の死亡は確認されたものの、残りの6人は行方不明です。壁には例のシンボルが描かれており、ケラー教授は「ザンガディクスだ」と呟きました。いよいよ自分の考えに確信を持ったケラー教授は、七つ子の妹を捜すべきだとデグラフに言い募ります。
そもそも七つ子は21年前、秘密裏に行われた人工受精の実験によって誕生しました。実験は人工子宮を使って行われましたが、ひとつの卵子から7人の胎児が出来たそうです。卵子は女性患者から密かに採取されたものでした。ケラーは七つ子の「母」である女性患者を突き止めるため、当時実験が行われた病院を訪ね膨大なカルテをチェックします。そしてその女性患者がビクトリアであることを突き止めました。
つまりエマリーは、七つ子の妹にあたる存在だったのです。実験の担当医はジョンソン博士。ビダル=ナケの探索隊に参加し、一足先に帰っていた医師こそが彼だったのです。
ザンガディクスの結末:鮮血の儀式
翌日、自宅アパートで過ごすルーカス親子の前に、再び七つ子が現れました。エマリーを捕らえようとする6人を、母娘は協力して殺害していきます。住所を突き止めたケラー教授やデグラフらも駆けつけ、ザンガディクスの息子達を絶命させていきました。
しかし最後の1人にエマリーが捕まり、アパートの地下に連れ去られてしまいます。ビクトリアとケラー教授、ヴェイダーが後を追うと、エマリーは不気味な儀式を受けさせられていました。ザンガディクスの息子が自分とエマリーの腕を切り、傷をくっつけて血を交わらせます。するとエマリーは正気を失い、導かれるまま歩き出しました。
ケラー教授が七つ子の最後の1人を殺害しますが、エマリーの意識は戻りません。彼女が両腕を広げると光が溢れ、ザンガディクスが現れました。ヴェイダーはビクトリアに向かって「母の愛情だ 胎児を抱け」と叫びます。胎児神であるザンガディクスの弱点は、母親の愛情なのです。
ビクトリアは恐怖に震えながらザンガディクスを抱きしめました。ヴェイダーが叫ぶ呪文を復唱します。するとエマリーが正気に戻りました。ザンガディクスは苦しみ、ごろりと転がり落ちます。直後にその体が爆発し、大量の血が周辺に降り注ぎました。
ようやく恐怖から解放されたルーカス親子が抱き合って喜び、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ザンガディクス」のあらすじと結末でした。
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