薮の中の黒猫の紹介:1968年日本映画。師である溝口健二の『雨月物語』に影響を受けた、新藤兼人監督の時代劇ホラー。新藤監督の作品としては近年『鬼婆』と並んで海外の評価が高く、『シェイプ・オブ・ウォーター』のデル・トロ監督も好きな作品の1つに挙げている。
監督:新藤兼人 出演:中村吉右衛門(藪銀時(八))、乙羽信子(ヨネ)、 佐藤慶(源頼光)、戸浦六宏(武将)、太地喜和子(シゲ)、殿山泰司(甚平)、観世栄夫(帝)、ほか
映画「薮の中の黒猫」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「薮の中の黒猫」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
薮の中の黒猫の予告編 動画
映画「薮の中の黒猫」解説
この解説記事には映画「薮の中の黒猫」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
薮の中の黒猫のネタバレあらすじ:起
時は平安時代。百姓の八(中村吉右衛門)は京の外れで、母ヨネ(乙羽信子)と妻シゲ(太地喜和子)の3人で暮らしていました。
ある日、畑で仕事をしていると、東国の夷狄を討つための軍が通りかかります。人手の足りなかった軍は、屈強な体をした八を無理やり兵として連れ去り、ヨネとシゲはそのまま家に取り残されます。
3年後、八は全軍殲滅の中で夷狄の長を仕留め、たった1人京に凱旋。おかげで源頼光(佐藤慶)直下の侍となり、さらに頼光から”藪銀時”という名前をもらいます。出世よりも自由になったことを喜んだ銀時は馬を駆って家に戻りますが、妻と母が待っているはずの家は焼け落ちていました。
薮の中の黒猫のネタバレあらすじ:承
一方、都では羅城門を通りかかる侍が惨殺される事件が頻発し、頼光を悩ませています。犯人は妖怪だという噂もあり、帝(観世栄夫)まで治安の乱れを気にかけていました。
頼光は今や勇名が都中に知れ渡った銀時に妖怪退治を命じます。深夜、銀時が羅城門の前を馬で通ると、1人の若い女が彼の前に現れました。驚いたことに彼女は銀時のかつての妻シゲにそっくりです。
彼女と一緒に藪の中の屋敷を訪れると、そこには母のヨネにそっくりの女が待っていました。
薮の中の黒猫のネタバレあらすじ:転
実は2人は銀時の留守中、食べ物を盗みに入った侍たちに強姦の上で殺されたのです。死んだ2人は天地の魔神に誓いを立て、この世とあの世とをさまよう恨みの霊魂に願をかけました。そのおかげで再び人の世の姿を借りることができたのです。
その願とは、ありとあらゆる侍たちの血をすすること……。それまではその願い通りに侍を血祭りに上げてきたのですが、銀時が現れたことで2人の心は揺れてしまいます。
そしてその夜はそのまま帰った銀時も、妻そっくりのシゲの元に毎晩通うようになり、契りを交わします。
薮の中の黒猫の結末
ところが7日目の夜、シゲは姿を消します。彼女は銀時を愛しいと思う余り、彼と契ることで恨みの霊魂との約束を破りました。そのためにこの世から消え、地獄に落ちたのです。
母のヨネは、自分が成仏できるように銀時に経を読むように頼みますが、銀時は彼女の正体が黒猫であることに気づきます。その片腕を切り落として頼光にみせたところ、彼は物忌の蟄居を命令。片腕を持って神社に籠った銀時を、巫女に姿を変えたシゲが襲います。
そしてシゲが片腕を取り戻して姿を消すと、銀時は錯乱して自分の家の焼跡まで行き、そのまま息絶えるのです。
以上、映画「薮の中の黒猫」のあらすじと結末でした。
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