約束の紹介:1972年日本映画。スティルカメラマン出身の斎藤耕一監督の代表作のひとつ。ルルーシュ作品を彷彿とさせる佳作で、キネ旬ベストテンで5位に入選。グループサウンズのスターだった萩原健一が俳優としての才能を開花させた。
監督:斎藤耕一 出演:岸惠子(松宮螢子)、萩原健一(中原朗)、南美江(島本房江)、土田桂(老刑事)、大久保敏男(若い刑事)、三國連太郎(山室刑事)
映画「約束(1972年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「約束(1972年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「約束(1972年)」解説
この解説記事には映画「約束(1972年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
約束のネタバレあらすじ:起
35歳の松宮螢子は日本海の海岸沿いを走る急行列車に乗っていました。なにか屈託があるらしく、顔色は晴れません。横には年配の女性が寝ていて、螢子はその様子を気にしながらデッキへ向かい、タバコを吸います。席に戻ってしばらくすると、若い男が彼女たちの前に座りました。気さくな性格らしく、やたらと螢子に話しかけてきます。しかし全体にチンピラっぽい雰囲気があり、どういう職業なのか得体が知れません。最初は相手にしなかった螢子ですが、男のあまりに子供っぽい言動に、いつしか気分も和んできました。列車がある駅に着くと、男と螢子たちは別々に下車。螢子たちは駅前の旅館に入っていきます。男は公衆電話で誰かと話しながらその様子を見ていました。やがて螢子がひとりで旅館から出てくると、さっきの男がそばに来て話しかけます。「夜まで暇になったので、あんたのあと付いてってもいいだろ?」螢子は困惑しながらも、男と一緒に街を歩くことにします。
約束のネタバレあらすじ:承
螢子はやることがあり、男と一緒に列車に乗って海辺の墓地へ向かいます。そこには「松宮すみ」と書かれた墓がありました。線香を手向けたあと、泣き出す螢子。それは彼女の母親の墓なのです。「親不孝だったんだね、あんたも」と男は慰めるように優しく話しかけ、自分の母親も死んでしまったことを告げます。雪の降る中、しばらくふたりは恋人同士のように公園を散歩します。「明日また会おう」と男は言いますが、螢子は首を横に振ります。翌日3時の汽車に乗らなければならないのです。しかし男は強引に自分の腕時計を螢子に預け、明日の12時、海辺の旅館で落ち合うことを約束させます。翌日、螢子は約束通りに海辺の旅館へ。しかし男はなかなか現れません。諦めて螢子は旅館の女主人に男の腕時計を預け、駅へ歩き出します。螢子と連れが駅の構内に入ろうとした時、男があわてて走ってきます。そして「旅館に戻ろう」と強引に外へ連れ出そうとするのですが、螢子は抵抗します。
約束のネタバレあらすじ:転
実は螢子は夫を殺した罪で服役中でした。模範囚のため、刑務所から特別の許可をもらって母親の墓参りにきたのです。彼女と一緒にいるのは女性看視官で、列車で名古屋までいき、明日の朝8時までに刑務所に戻る必要がありました。事情を聞いた男は一緒に列車に乗り込みます。実は彼も犯罪者でした。昨夜、仲間と一緒に信用金庫を襲って現金を強奪したのですが、協力したヤクザのひとりを刺し、逃げてきたのです。列車が名古屋に近づくにつれ、男は落ち着かなくなります。螢子への思慕はふくれ上がり、その気持ちはもはや抑えようがありません。ちょうど土砂崩れで列車が臨時停車した時でした。彼は螢子を誘って外へ飛び出します。「このまま逃げ続けよう」と男は言いますが、夫を殺したことで罪悪感を覚えている螢子はそこまでの決心がつきません。男も逃亡をあきらめ、ふたりはそのまま列車に戻ります。
約束の結末
やがて列車は名古屋駅に到着。そこから刑務所に向う時も、男は螢子のあとをついていきます。刑務所前に来るとラーメンの屋台がありました。男が無理矢理誘ったため、螢子、それに女性看視官も一緒にラーメンをすすることに。食べ終わると、螢子と女性看視官は門から中へ。男は泣き出しながら、自分が中原朗という名前だと告げます。螢子は「2年後、一緒に歩いたあの公園で待ってて」と中原に約束させ、建物の方へ去っていきます。中原は刑務所前を去ると、洋品店へ。螢子への差し入れの服を買うつもりでした。しかし捜査の手が回り、彼はその場で逮捕されます――。2年経ち、螢子は釈放。約束通りに海辺の町の公園へ行くのですが、いくら待っても中原は現れませんでした……。
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