楊貴妃の紹介:1955年日本映画。溝口監督としては珍しく中国の史実を扱った異色作。日本では代表作とはみなされていないが、外国ではそのエキゾチックな雰囲気が一部の批評家から高く評価されている。美しいカラー撮影は「地獄門」「源氏物語」で世界的な注目を浴びた杉山公平が担当。
監督:溝口健二 出演:京マチ子(楊貴妃)、森雅之(玄宗皇帝)、山村聡(安禄山)、小沢栄(楊国忠)、山形勲(楊銛)、杉村春子(延春郡主)
映画「楊貴妃」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「楊貴妃」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「楊貴妃」解説
この解説記事には映画「楊貴妃」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
楊貴妃のネタバレあらすじ:起
最愛の武恵后を失くした唐の玄宗皇帝は、その悲しみの中で自ら音楽を奏でては日々の寂しさを慰めていました。
やがてその音楽への打ち込みようは臣下の眼にあまりほどになり、重臣たちは政務に滞りが生じることに頭を痛め始めます。
もちろん后に代わる寵愛の対象になればと長安中の美女を宮に連れてはくるのですが、いずれも皇帝の御目にはかなわず、宮中にはその気分を反映した暗い空気が垂れ込めていました。
楊貴妃のネタバレあらすじ:承
そんな中、都落ちしていた軍人・安禄山は、料理屋の釗(しょう)の娘たちが評判の美女であるのに目をつけます。そして自らの出世を望んでひとりずつ后として推薦し続けるのですが、皇帝にはいずれも意に染まないとしてはねつけられます。
ガッカリしていたところにあらわれたのが、釗の台所で下働きをしていた女・玉環でした。釗にとっては又いとこに当たりますが、田舎から出てきたばかりで洗練さの欠片もありません。
しかしその煤けた顔の下の隠れた美貌に目をつけた安禄山はすぐに衣装を整えさせ、延春郡主を介してその梅林で皇帝の目に触れさせます。幸い、この計略はまんまと図に当たりました。玉環は皇帝の寵愛を受け、最終的には貴妃に冊されます。
楊貴妃のネタバレあらすじ:転
そのおかげで安禄山は左羽林大将軍、驃騎大将軍を経て、平盧・范陽・河東の3つの節度使に任じられ、釗も皇帝の側近になり、国忠という名前を賜ります。
位人臣を極めた国忠は得意顔ですが、皇帝にまでのぼりつめる野心を抱いている安禄山は、自分の手柄を盗んだような国忠の出世ぶりに不満が隠せません。
また、楊家の豪奢な生活や虎の威を借る狐のような権勢ぶりは民衆の怒りを買い、その矛先は楊貴妃を寵愛するばかりで政務を疎かにする皇帝へも向けられるのです。
楊貴妃の結末
その空気を察した安禄山は范陽で反乱の狼煙を上げ、15万人の兵を率いて長安へ。皇帝を守る近衛兵たちも常々感じていた楊国忠への恨みを爆発させ、本人はもとよりその一家に対して刃を向けます。
そしてついには貴妃自身が自死を促され、紐で首をくくってその短い生涯を終えるのです。
反乱後に幽閉されていた皇帝自身も貴妃の面影を懐きながら他界し、その国を揺るがせる結果となった恋愛は終わりを告げます。
以上、映画「楊貴妃」のあらすじと結末でした。
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