座頭市果し状の紹介:1968年日本映画。この作品は、1962年に勝新太郎主演で大映が映画化した人気・アクション時代劇『座頭市』シリーズ26作品の18作目です。キャッチコピーは「稲妻と共に襲う殺し屋集団!短銃が迫り、手裏剣が飛ぶ!ふくろ鼠の座頭市!」で、盲目の侠客・座頭の市が悪人と闘うド迫力の痛快時代劇です。
監督:安田公義 出演:座頭市(勝新太郎)、お秋(野川由美子)、お志津(三木本賀代)、小鹿野弦八郎(待田京介)、順庵(志村喬)、粂次(井上昭文)、巳之吉(千波丈太郎)、源太(北城寿太郎)、勘造(小松方正)、大宮ノ松五郎(土方弘)、仙之助(水原浩一)、伊助(山本一郎)、丑松(舟橋竜次)、ほか
映画「座頭市果し状」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「座頭市果し状」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「座頭市果し状」解説
この解説記事には映画「座頭市果し状」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
座頭市果し状のネタバレあらすじ:1.遭遇
秩父街道を旅していた座頭市は、ある夏の日、土砂降りの雨に遭遇しました。困った市は、一軒のあばら家に雨宿りに入りました。誰もいないはずのそのあばら家で、市は謎の妖しい女と遭遇しました。雨が上がった翌日、道中の市の前に2人組の男たちが現れました。男たちは市が盲目なのをからかい、市を斬り殺そうとしてきました。市は仕込み杖でその男たちを瞬殺し、旅を再開しました。何事もなかったかのように旅する市でしたが、市から漂う異様な気を、遭遇した謎の妖しい女は感じとっていました。山越えの道中、森の木の根元で休憩していた市は、頭上から落ちてきた蛇を仕込み杖で瞬殺しました。偶々、その場で市と遭遇していた浪人は、盲目の市の気配の読みと鋭く鮮やか太刀筋を見て、「見事だ」と言うと足早に去って行きました。
座頭市果し状のネタバレあらすじ:2.悪党
市はある宿場町に辿り着きました。市はそこで早々にある事件と遭遇し、ヤクザに乱暴され斬られた百姓を、町医者・順庵のもとに担ぎ込みました。その順庵は清楚で美しい娘・お志津と、二人きりで町医者として暮らしていました。順庵は、貧しい百姓からは金は取らずに損得抜きで治療に当たるという真摯で心優しい医者でした。そんな順庵と娘・お志津は、町の人々から愛されていました。しかし、何故か順庵は酒浸りでした。市は偶然、この事件で出会った順庵とお志津と親しくなり、順庵の家で按摩をしながら、町に当分いることにしました。その町は、大宮ノ松五郎率いるヤクザ一家が仕切っていました。市が到着したその夜、時を同じくして、お上から手配を受けている殺し屋集団が町に到着していました。その殺し屋集団には、市が遭遇した謎の女・お秋と浪人・小鹿野弦八郎がいました。不気味な面構えをしたその集団は、悪知恵を働かし、暫し身を隠す場所として、松五郎一家を選ぶのでした。拒む松五郎を力尽くで脅したその悪党たちは、その夜から松五郎一家の裏で密かに、この町に暗躍することになるのでした。松五郎は表ではお上の十手預かりとして働き、また絹商いの仕切り儲けていました。しかし、その裏では、貧しい百姓たちの弱みにつけ込み、その娘たちを借金の肩として捕らえて、無理強い機織り場で働かせていました。市が最初に遭遇した事件も、松五郎一家のヤクザがしたことでした。松五郎もとんでもない悪党なのでした。道中で偶々、市と遭遇したお秋と浪人・弦八郎は、市があの噂の座頭市だと仲間たちに教えました。しかし、市の本当の恐ろしさと凄さを知らない仲間たちは、そんな話を聞き流すのでした。
座頭市果し状のネタバレあらすじ:3.再会
市はある日、娘・お清を返してくれないと泣きついてきた百姓・五助の話を耳にし、松五郎が仕切る機織り場へと単身向かいました。そこで松五郎の手下は市を追い返そうとするが、市は居合を見せ「座頭市が挨拶に来た」と名乗りました。その帰り、市の前に「斬り殺さた兄の仇」と復讐の念に燃える殺し屋集団の手裏剣の使い手・粂次が現れました。しかし、その場は「真っ向から闘って討てる相手ではない」と忠告した弦八郎が入り、何事もなく収まりました。その夜、市のもとへ、松五郎から迎えの者が来ました。それを聞いていた順庵は、市に「お前さん、ヤクザだったのかい?儂はヤクザが大嫌いでね…」と市に言いました。素性がばれた市は、五助を連れて松五郎のもとへ向かいました。松五郎に歓待を受けた市は、五助の娘とその証文を返して欲しいと松五郎に頼みました。面を喰らった松五郎は業を煮やし気色ばむと、手下どもが市を取り囲みました。市は「あっしも手ぶらじゃ帰れませんよ」と言うと、仕込み杖で電光石火で徳利を縦十文字に斬り割って見せました。その尋常でない腕に肝をつぶした松五郎は仕方なく、五助に娘と証文を返しました。用事が済んだ市は、五助と娘を先に帰し、一人順庵のもとに向かいました。その夜道、市は後ろから密かにつけて来たお秋に気づきました。市は「この匂い、どっかで嗅いだ事があるな…。あの土砂降りのとき、破れ小屋にいた人と同じ匂いだ。…お前さん、仲間がいるね?」と言い、お秋を驚かしました。見透かされたお秋は驚きながらも、市に「命は1つだ。気をつけなよ」と警告して立ち去って行きました。市が帰路を急いでいると、闇から手裏剣を飛んできました。手裏剣は市の胸元に当たり、市はその場に倒れました。そこに待ち伏せていた粂次たちが、「やった~」と喜びながら近づいて来ました。すると、市がすくっと立ち上がり、目にもとまらぬ速さで仕込み杖を抜きました。市は鞘で手裏剣をかわしていました。市は「命は1つだ。気をつけなよ」とさっきのお秋の言葉を返すと、立ち去って行いきました。市を追いかけようとする粂次たちでしたが、市の居合で粂次たちの着物は斬られ、素っ裸になってしまいました。その腕に粂次たちは震え、呆然と立ちすくみました。その頃、順庵の家に一人の浪人がやって来ました。それは弦八郎でした。最初は誰かわからなかったお志津でしたが、直ぐに兄だと気づきました。しかし、順庵は「そんなものはおらん!…生きていても、どうせろくな暮らし方はしておるまい」と弥八郎を相手にしませんでした。弥八郎はお志津に「もう2度と来ない。…親爺を頼むぞ」と言い残して去って行きました。お志津は玄関口で涙しました。そこへ市が帰ってきました。市はお志津を慰めながら家の中に入りました。市は順庵に訳を尋ねましたが、順庵は「内輪の事だ」と言い、何も市には言いませんでした。順庵は市に「お前さんも立派な腕を持った按摩だ。ヤクザの足を洗って落ち着くつもりはないか?…気兼ねなく、ここにいてくれと頼む」と市に言い、酒を飲み交わしました。
座頭市果し状のネタバレあらすじ:4.非道
ある日、町で眉市が開かれていました。そこに来た松五郎たちは「誰に断わってやっている」と、次々と店を壊し始めました。見かねた名主・徳左衛門に松五郎は「俺は言ったはずだぜ。今年から眉市は俺たちが仕切ると」と乱暴な因縁をつけ始めました。憤った徳左衛門は「お代官様に申し出て、お裁きをつけてもらう」と毅然と抗議しました。松五郎は直ぐに匿っていた殺し屋集団に、徳左衛門の暗殺を依頼ました。「お前の頼みってのは、これだったのか」と勘造は苦笑し、依頼を受けました。勘造たちはその夜、徳左衛門の屋敷に押し込み、徳左衛門をはじめ家人たちを皆殺しにしました。帰り際、偶々すれ違った夫婦者まで彼らは惨殺しました。翌日、順庵について惨殺された徳左衛門の屋敷に赴いた市は、その場にいた松五郎に「親分さんも寝覚めが悪いね。普段、諍いの相手がこんなになっちまって…。親分さんの機織り場の2階に、妙な野郎がウロウロしてますよ。メ○ラはメアキに見えねえものが見えちまうもんですからね。…お前さんも気をつけるこったね」と笑いながら耳打ち、去って行きました。松五郎は既に殺し屋集団が立ち去ったものと思っていました。ところが、殺し屋集団はまだ家の中にいました。勘造は「猪野田の手前まで行ったが、そっから先は手が回っていたぞ」と睨んで来ました。嫌疑をかけられた松五郎は、必死で弁解し、取りあえず、おとぼりが覚めるまで別の安全な場所に移り住んでもらうことにしました。松五郎を見送ったお秋は、機織り場で物音がしたので、覗いてみるとそこにいたのは市でした。お秋は暗闇の中で下駄を脱ぎ、別々の方向に投げて市の耳を狂わして逃げようとしましたが、市にそんな小細工は通じるはずもなく、あっさり捕まってしまいました。市はお秋に「名主の屋敷を襲ったのは、2階の連中だな」と訊きました。「知るもんかい!殺せ~!」と強がり叫ぶお秋に、市は「これから、お前さんは生まれ変わるんだよ」と言うと、仕込み杖を抜きました。お秋は息を止めました。しかし、お秋は斬られておらず、その着物の胸元だけが斬り裂かれていました。市は「この切っ先が後5寸も伸びてりゃ、お前さんの命はねえとこだぞ。今からでも遅くはねえ、生まれ変わるこった」と言い残して市は立ち去って行きました。帰って来た粂次たちは、機織り場で腰を抜かしていたお秋の異変に気づき、市を探しました。すると、市と弥八郎が対峙していました。弦八郎は助太刀しようとする仲間たちに「手出しするな!俺が斬る」と制しましたが、源太が市に発砲し、市は左肩を撃ち抜かれてしまいました。溢れ出る血と痛みに悶えながらも、必死で弦八郎たちの剣を防いだ市は近くの川に飛込み、難を逃れました。
座頭市果し状のネタバレあらすじ:5.救出
松五郎は子分を使い、市の行方を探し求めました。その頃、市は漁師たちの小屋に逃げ込んでいました。市は仕込み杖の切っ先で自らの傷口を斬り裂き、中に入っていた銃弾を抜き取ると、漁師から貰った焼酎を吹きかけ、あまりの激痛で気を失ってしまいました。漁師たちは市を順庵の所に連れ込み、市が自分で弾を抜いたと教えました。順庵は「儂に迷惑かけまいとやったんだろう。バカな奴だ」と呆れながら手当をしました。お志津の献身的な看病もあり、市は意識を取り戻しました。一方、松五郎たちは「あの野郎が生きていたら面倒な事になる」と心配し、市を捜索し、市が順庵のもとにいることを突き止めました。松五郎は子分たち市を抹殺するように命じました。しかし、仙之助ら子分たちが順庵の家に行くと、市はいませんでした。市の居場所を割らない順庵とお志津を、仙之助たちは松五郎の家へと連れ去りました。それを観ていた以前、市に父を助けてもらった子供が、両親に順庵先生とお志津さんが、松五郎の子分たちに連れて行かれたと教えました。市はその家の奥寝ていた子供の言葉をしっかり聞いていました。
機織り場で順庵とお志津は、松五郎たちに拷問を受け、市の居場所を聞かれましたが、順庵は口を割りませんでした。見かねた松五郎は順庵に「今夜一晩経ったら、娘の身体がどうなるか…」などと脅迫し、二人を引きはがしました。その頃、市は強風で雨降り、で稲光が走る中、満身創痍で松五郎の家に向かっていました。(「♪風に追われた さすらい者よ♪死んでゆくときゃ ひとり旅♪」と勝新の歌が流れます)市は松五郎の機織り場に入ると、子分たちを一刀両断のもとに斬り殺しました。市は「先生、先生」と順庵に呼びかけ、順庵を見つけました。「お志津さんは?」と聞く市に順庵は「松五郎の家だ」と教えましたが、血だらけでよろよろと向かう市に「市っあん、お前その身体で」と止めようとしました。しかし市は「命は粗末にしません」と言い、機織り場を出て行きました。松五郎は家に拉致してきたお志津を「素っ裸にして吊るしとけ!」と子分たちに命じました。子分たちは悲鳴を上げ嫌がるお志津の着物を剥ごうと迫りました。すると1人の子分が急に倒れました。市でした。市は次々襲ってくる子分たちを、斬り捨てました。市はお志津が連れて逃げようとすると、お秋が現れました。お秋は「私が案内してやるよ」と言いました。戸惑う市にお秋は「一旦、お前さんに斬られたこの命、生まれ変わって、手助けがしたいんだよ」と言いました。市はその言葉を信じ、黙って、お志津を引き渡しました。「信じてくれたんだね」と喜ぶお秋に、市は「機織り場に先生がいる。お志津さん、間違いなく頼むぜ」と言い、お志津を託しました。騒ぎに気づき駆けつけて来た子分たちを、市は瞬殺し、2人を外へと逃がしました。
座頭市果し状のネタバレあらすじ:6.死闘
そこへやって来た松五郎は子分たちの惨状を目にしました。仙之助たちは、畳から床に続く血痕の後を追って市を探していると、突如、奥の部屋から市が現れました。「地獄から迎えに来たんだ。てめえが一緒でなけりゃ、三途の川も渡らせてくれねえ。閻魔様がお待ちかねだぜ」と松五郎に迫ると、仙之助たちを瞬殺しました。市は、右肩から血を流し、フラフラになりつつも、襲いかかってくる子分たちを斬って斬って斬りまくりました。「斬れ!斬れ!」と子分たちに命じて松五郎は奥の部屋に逃げ込みました。ふと外の様子が静かになった松五郎はそっと引き戸に近づきました。市は引き戸越しもろとも松五郎を斬り殺しました。お秋とお志津は、機織り場で順庵を助け出しました。順庵は「儂は大丈夫だ。それよりも市っあんだ。あの傷で」と心配していました。市が、出血した右肩を縛り止血していると、そこに粂次の手裏剣が飛んで来ました。紙一重でそれを避けた市を、粂次たち殺し屋集団が囲みました。市は、最後の力を振り絞って、殺し屋集団との死闘を繰り広げました。市は勘造たちを斬り殺すと、粂次の左腕を斬り落としました。「今度こそ逃さんぞ!」と迫り対峙した弥八郎は間合いを計り大刀を一閃、市の仕込み杖がキラリと光りました。倒れたのは弥八郎でした。
座頭市果し状の結末:哀しき業
市の刀の前に敗れた弦八郎のもとへ、お志津は「兄さん!」と叫びながら駆け寄ってきました。泣き叫ぶお志津をお秋と順庵はただ呆然と見ることしかできませんでした。市は、弦八郎が順庵の息子でお秋の兄であったことを知りました。やむを得ない仕儀とはいえ、また人を斬り、順庵父娘に哀しみを負わせた市は、自らの業を恨みました。市は、お志津の悲痛な声から逃れるように、黙ってその場から立ち去って行きました。
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