映画「ヒート」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ヒートの紹介：1995年アメリカ映画。ニールはプロの強盗だった。犯行を念密に計画しその仕事の成功率は高く、仲間思いで仁義を通し信頼も厚い。ヴィンセントは敏腕刑事だった。確かな経験と鋭い洞察力で特別捜査班を率いて幾つもの難事件を解決してきた。仲間、恋人、家族、彼等には幾つもの人生の糸が繋がってきたが、その糸が遂に二人を結びつけ、対決に導く。ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ競演のハードボイルド映画。
監督：マイケル・マン 出演：アル・パチーノ（ヴィンセント・ハナ）、ロバート・デ・ニーロ（ニール・マッコーリー）、ヴァル・キルマー（クリス・シヘリス）、ジョン・ヴォイト（ネイト）、ほか
この解説記事には映画「ヒート」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ニール一味は輸送車強盗に挑みます。事は計画通りに進みましたが、新入りウィングローが強がって警備員の一人を射殺してしまいます。計画は狂ってしまい証人を残す訳にも行かず、ニール達も残りの警備員を射殺し、目的の無記名証券を奪い逃走します。その仕事を仲介したネイトは、その証券に保険がかかっている事を調べ、持ち主に買い戻させる事を提案しました。刑事のヴィンセントはその事件現場を見て、強盗犯の手際の良さから相手が一流のプロだと判断し、意欲を燃やします。ニールはレストランで待つ仲間達と合流し、勝手に発砲したウィングローを痛め付け叱責します。分け前を渡して終わりにするとニールは外に出ます。そしてウィングローを始末しようとしますが、運悪くウィングローに逃げられてしまいました。ヴィンセントは家に帰ります。すると、再婚した妻ジャスティンの連れ子ローレンが、実父と面会出来なかった事を知らされます。それを不満に感じるジャスティンですが、仕事一筋のヴィンセントにも不満が募っていて、夫婦仲に溝が出来始め居ました。ヴィンセントはそれを気にせず自分のテレビを見始めます。カフェで本を読むニールに、隣に座った女性が声を掛けてきて彼は警戒します。彼女イーディーは書店で働いており、店でニールの姿を見かけるので声を掛けたのでした。警戒を解いたニールは、自分はセールスマンだとか適当に名乗り、二人はすぐに打ち解けました。ニールは銀行強盗の仕事を仲介され引き受けます。それとは別に、ネイトは証券の持ち主ヴァン・ザントに買戻しの提案し、取引に持ち込みました。ニールが家に帰ると仲間のクリスが居ました。彼は妻シャーリーンと喧嘩して、行宛てが無くここに来ていました。喧嘩の原因は、分け前を博打の借金に取られている事でした。ニールはこの荒事を続けるならいつでも逃げられるよう身軽にしておけと忠告します。しかしクリスにとって妻子は命でした。ニールは先程受けた仕事の前金を機嫌を取れと渡しました。ドンことドナルド・ブリーダンは前科者で、現在仮釈放を受けレストランの仕事を得ました。しかし給料はピンはねされ、不当な待遇に身を落とします。
ヴァン・ザント取引をまとめながらニールはシャーリーンの浮気を確認、彼は間男が消えるとその場に乗り込み、シャーリーンにもう少し辛抱するように説得します。移動し、その取引の場に現れた代理人は、伏兵を使ってニールを殺そうします。ですが、全てニール達に返り討ちにされました。ニールはヴァン・ザントに電話をし、彼を既に死人だと脅しました。ニールは仲間の家族と食事を楽しみまします。その光景羨ましく思ったのか、彼はイーディーに電話をかけます。ヴィンセントはそれを監視していました。彼はニールが次にする仕事の情報も手の入れており、その現場を待ち伏せる作戦を立てます。ヴィンセントは部下とその家族との食事会を打ち切り、連続娼婦殺しの現場に呼び出されていました。実はその犯人はウェイングローでした。被害者の母親が警官の制止を振り切り駆け寄ってきます。泣き叫ぶ彼女をヴィンセントは抱きしめてやります。家に戻ると、ジャスティンが待っていました。ジャスティンは、彼に仕事の話をさせて苦労を吐き出させようとしますが、ヴィンセントはそれを拒みます。彼は、その孤独な思いが仕事に緊張感を出すと言い、ジャスティンは理解させてくれない夫を嘆きました。仕事が終わりドンが酒を飲んでいると、そこに妻がやってきます。妻は、夫に我慢してくれとせがみます。その理由は夫を誇りに思っているから彼女は告げます。イーディと夜を楽しんだニールは、どこか別な場所で暮らそうと言い出します。彼はイーディに本気になっていました。ニールは貴金属店に忍び込んでいました。その現場は既にヴィンセンが包囲を固めており、彼の合図で踏み込む手筈が整っていました。しかし、警官の一人が誤って物音を立ててしまいます。見張りに立っていたニールはその音を聞き、仲間に中止を告げます。ニール達は何も盗まず店を出たので、あくまで重罪で捕らえたいヴィンセントはそのまま彼等を見逃しました。ニールは今回の事で、自分達が警察にマークされたのを察知しました。それでも彼等は港で下見を行い、それが済むとすぐに立ち去っていきます。それを監視していたヴィンセントは、彼の居た場に立ちます。そしてこれが罠だと気付きます。ニールは望遠のカメラでその姿を写真に収め、その素性をネイトに調べて貰って厄介な相手だと知ります。
ニールを尾行するヴィンセントは、突然彼に接触し、コーヒーに誘います。二人はレストランで向かい合って座り、お互いに立場を明確にし、対決姿勢を顕にします。ニールはその中で、自分に手が及んだと感じたら、全てを捨てて身一つで逃げると告げます。ニールが気に入ったヴィンセントは、刑務所に入れたくはないが殺すのは躊躇わないと告げました。それはニールも同様でした。別れ、警察署に戻ったヴィンセントは、部下からニール一味を見失った事を報告されました。ニールの次の仕事は順調に進んでいました。その間ヴァン・ザントは、ニールの始末にウィングローを雇いました。ドンの居るレストランで仲間トレヨを待つニールですが、彼はどうやっても警察を撒けないと連絡を取ってきます。それが嘘だと見抜きながらもニールは、トレヨ抜きで仕事する事を決断し、厨房のドンを誘い込みます。ドンは逡巡の末、ニールの誘いを受けました。銀行に押し入ったニール達は、難なく強盗に成功します。しかしそこに、密告を受けたヴィンセント達が現れ激しい銃撃戦になりました。その結果、ニールは負傷したクリスと共に逃げ遂せる事が出来ましたが、マイケルとドンが射殺されてしまいます。その一件をテレビが報道し、イーディは、死んだマイケルを見てニールの正体を知ります。そしてドンの妻は、自分の夫が挫け、死んだ事を知りました。ニールはクリスの手当てを済ませ、逃亡手筈を整え始めます。しかしその前に、裏切り者の始末をつけるためトレヨの家に行きます。ですがそこには、瀕死のトレヨと彼の女の死体があるだけでした。トレヨは、ウェイングローの仕業で黒幕はヴァン・ザントだと告げます。ニールはそれを聞き、トレヨにせがまれるままに止めを刺してやりました。ニールはネイトに連絡を取り、ヴァン・ザントとウェイングローの居場所を調べさせます。ヴィンセントは、ニールの手掛かりを得る為密告者を締め上げて、誰から情報を得たかを聞き出します。その頃ニールは、ヴァン・ザントを襲撃していました。彼にウェイングローの居場所を問いますが、知らないのでそのまま殺して去りました。浮気相手を頼ったシャーリーンですが、その男はすでに警察の協力者でした。警察はシャーリーンに子供の将来を持ち出してクリスを裏切れと唆し、彼女は仕方が無く受け入れました。
ニールはイーディを訪ねます。彼は怯えるイーディを宥め、一緒に逃げるよう説得します。ヴィンセントは家に戻ると、そこには見知らぬ男が居ました。ジャスティンはしれっと浮気を告白、ヴィンセントは怒りをぶちまけますが、彼女に放って置いた責任を詰られ、仕事に戻りました。ネイトの所に逃亡の段取りを聞きに来たニールは、クリスがシャーリーンを迎えに行った事を聞かされます。飛行機を手配して貰ったニールは、落ち着いたイーディに一緒に来るかを聞きます。一人で逃げても意味がないというニールにほだされ、彼女は彼を受け入れました。シャーリーンを迎えに行ったクリスは、車の音でテラスに出て来た彼女を見ます。喜び彼女の所へ行こうとすると、シャーリーンが行ってくれと小さくサインを出している事に気付きました。クリスはそれを見て、家を探す振りをして警察を謀り、去って行きます。その事にシャーリーンは安堵しました。ヴィンセントはニール達逃げられたと判断し、ホテルに戻ります。部屋に入ると、バスルームで自殺を図ったローレンを見つけました。ヴィンセントは慌てて病院に駆け込みます。病院には連絡を受けたジャスティンも居ました。ローレンが何とか命を取り留めた事を知り、彼女は何故と嘆きます。空港に向かうニールにネイトからウェイングローの情報が入ります。その情報は、ヴィンセントが流したものでした。ニールはもうすぐ自由になれるとイーディに言いますが、徐にウェイングローの隠れている空港ホテルにハンドルを切りました。ニールはイーディを車に残し、ホテルに忍び込みます。彼は火災警報器を鳴らし、騒ぎを起こしました。病院でローレンの回復を待つヴィンセントのポケベルが鳴ります。それを無視する彼にジャスティンは、やり直せないかと問います。彼は自分は変われないとだけ告げます。ジャスティンは、ヴィンセントを仕事に行かせました。ニールは偽の火事騒ぎを利用し、ウェイングローの部屋に侵入し、彼を処刑しました。そこにウェイングローを見張っていた刑事がやってきます。しかしニールは、それを殴り倒して逃走します。不安に顔のイーディの所にニールが戻ってきます。ですが、駆け付けて来たヴィンセントの姿を見て、ニールは未練を残しながらも一人空港へ走り出します。発砲しながらもニールは逃げ、ヴィンセントは徐々に彼を追い詰めていきます。滑走路の傍ら、ニールは物陰に隠れヴィンセントを待ち伏せします。しかし、飛行機が着陸する時に点灯した着陸灯が彼を浮かび上がらせ、そこをヴィンセントが撃ちます。息も絶え絶えのニールにヴィンセントは近付きます。刑務所には戻らないと言っただろうとニールは言い、手を差し伸べます。その手をヴィンセントが握ると、ニールは息絶えました。ここで二人の事件は終わりを迎えます。
以上、映画「ヒート」のあらすじと結末でした。
何度見ても見事に作られた映画だと思います。
男たちの戦いの場面のすごさだけでなく女性たちの思いが伝わる表情や仕草眼差しも引き込まれます。静と動がしっかりと組み合って、アクションなのに美しささえ感じます。
『マイアミ・バイス』を作成したマイケル・マン監督作品。
『ゴッドファーザー』が好きな方であれば、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの共演というだけで胸がときめくかと！
二人はそれぞれ強盗団のボスと刑事という役柄。二人共に順風満帆とは言えない苦さを感じさせる人生を歩んでおり、落ち着いた演技と淡々と進行する物語が渋みのある映像を作る出しており、観ていてグッとくるものがあります。
捜査する側とされる側として、二人が初めて出会い、お互いに惹かれる者を感じつつも火花を散らせるシーンは見事の一言に尽きますね。
そして一度見たらまず忘れられない、終盤の銃撃シーン。10分以上に渡って繰り広げられる応酬は余計な音楽などはほとんど挟まず、非常にリアルな緊張感に満ちています。この場面を観るだけでも、観てよかったと思える傑作なのでオススメ！