インセプションの紹介:2010年アメリカ映画。夢の中に潜入し人間のアイデアを盗む(エクストラクト)人たちを描いた作品で、これまでの映画にはなかった重厚なストーリーに世界中が絶賛し、インセプションは大ヒットを記録します。人生を取り戻すチャンス「インセプション」という難易度の高いミッションが与えられる。インセプションのラストシーンには多くの議論が起こりました。
監督:クリストファー・ノーラン 出演:レオナルド・ディカプリオ(コブ)、渡辺謙(サイトー)、ジョセフ・ゴードン=レヴィット(アーサー)、マリオン・コティヤール(モル)、エレン・ペイジ(アリアドネ)、トム・ハーディ(イームス)、ディリープ・ラオ(ユスフ)、キリアン・マーフィ(ロバート・フィッシャー)、トム・ベレンジャー(ブラウニング)、マイケル・ケイン(マイルズ)、ピート・ポスルスウェイト(モーリス・フィッシャー)、ルーカス・ハース(ナッシュ)、ほか
映画「インセプション」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「インセプション」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
インセプションの予告編 動画
映画「インセプション」解説
この解説記事には映画「インセプション」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
インセプションのネタバレあらすじ:起
場面は海岸に横たわる一人の男性コブ(レオナルド・ディカプリオ)、彼の手には拳銃とコマが握られている、そんなシーンから始まります。
コブは産業スパイ、といっても極めて特殊なものです。ターゲットの夢に入り込み、他人のアイデアや情報を盗む、それが彼の仕事でした。
コブと日本人男性サイトー(渡辺謙)は、ある部屋で会食をしていました。コブは「夢の中のアイデアを盗まれたくないならば、私に協力して欲しい」とサイトーに言います。しかしサイトーは彼の話を信じるわけでもなく、はぐらかします。そこでコブは彼のアイデアを盗もうとしますが、逃げられてしまいます。ここはサイトーの夢の中だったのです。それでもコブは何層にも重なったサイトーの夢の中で彼を追いかけるが、サイトーが夢の中にいることに気付いたため失敗してしまいます。
夢だとサイトーに悟られたため、コブは新幹線の中から撤収し京都駅で下車しました。コブは、失敗を許さない依頼主コボル社から逃げるため遠くへ向かおうとしますが、そこにサイトーが現れます。
コブと仲間のアーサー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)は、サイトーからある依頼内容を聞かされます。サイトーはライバル企業の会長子息にインセプション(人間の無意識にとある記憶を植え付ける)し、父親の会社を解体するように仕向けるということを依頼してきます。
コブ達は通常、エクストラクトという無意識の中から情報を盗み出す行為を専門にしていましたが、インセプションはエクストラクトより限りなく難しく、最初コブはサイトーの依頼を断ります。しかし、コブはエクストラクトの犯罪歴と、ある理由のせいで司法から追われ、妻が残した子供たちの元へ、家にさえも帰れない状況に置かれています。
サイトーは事前に調査し、コブの過去を知っていました。そしてその犯罪歴を消して子供の元へ帰ることができるようにしてやるというのがサイトーの提示した見返りでした。
サイトーの出した見返りに心揺らされ、依頼を受け入れたコブは、まず準備として仲間を集めはじめます。夢の中で他人に成りすます偽装師イームス(トム・ハーディ)、そして夢に入るための薬を調合する調合師ユスフ(ディリープ・ラオ)の2人。そして義理の父親である大学教授マイルスへ紹介を頼み、夢の世界の構造を作る設計士の女子学生アリアドネ(エレン・ペイジ)も引き入れます。コブとアーサー、自らも参加すると希望したサイトーを加えた計6人でこのミッションに挑みます。
インセプションのネタバレあらすじ:承
そしてサイトーのインセプション依頼の目的はこうです。エネルギー市場を独占間近のライバル企業のトップ、モーリス・フィッシャーが既に寝たきりで死期が近いこと。そして死亡したら息子のロバート(キリアン・マーフィー)が会社を継ぐことになっていること。そのロバートに父親の築いた帝国をつぶさせるようなアイデアを植え付ける(インセプション)、というものです。
コブが家へ帰れないもう一つの理由がありました。それは自殺した妻が、コブが子供たちに会えないよう弁護士に「私が死んだら夫のコブを疑って」と言い残して死んだこと。これによってコブは社会的には妻を殺した事になっているというものです。
かつてコブと妻のモルは仕事を共にしていましたが、その一方でモルはコブとともに夢の中の夢、さらにその下の潜在意識、何層も深く深く愛を求めて自分たちだけの世界を作るために潜っていきました。その中でモルは現実と夢の区別が現実に戻ってもつかなくなってしまい、夢の世界から戻ることを拒否し始めたのです。
コブの説得により一旦現実世界に戻ってきたモルは、さらに精神を蝕んでいきます。そして夢の中で死ねば、夢から目が覚め、現実へ戻れるというシステムがあることによって、現実へ戻ってもここは夢だと思い込んでいるモルは、死んで現実へ戻るんだと、一緒に死のうと言い張ります。そしてコブを後戻りできなくするために弁護士に前述の話をして、最終的に一人でコブの目の前でホテルの窓から飛び降り自殺したという経緯です。
仲間を集めたコブはインセプション計画を次のように立てました。調べによるとロバートは父親との確執があるようで、父親よりも右腕であるピーターを信頼しているのです。そこでロバートの夢の第1階層で折り合いの悪かった父親との仲を壊すように仕向けます。そして第2階層でピーターが裏切り者だと刷り込み、第3階層にまで行き、そこで「父親とは違う道、自分の思う道を進め」というインセプションを行うというものです。
インセプションのネタバレあらすじ:転
ロバートの父親の訃報が届き、いよいよ作戦実行の時がきました。サイトーが買収した飛行機内でロバートを眠らせ、夢の中へ入っていったコブ達のチームは、ロバートの夢の中で突然武装化した人間から攻撃を受けます。ロバートはエクストラクトを防ぐ訓練を受けていて、夢の中にスパイが侵入してきた時に防御システムとして武装部隊が敵を襲撃するようにしていたのです。その場合、眠っていても意識を武装化させ、それを防ぐことができます。
この武装部隊の攻撃で胸に被弾したサイトー、本来は夢の中で死ねば目が覚めます。しかし今回の場合はより深い場所に潜り込むため強い鎮静剤を使用していたのです。仮に夢の世界で死ねば、さらに下層の「虚無」という階層へ落ち、精神が正常に戻らなくなる、言わば現実世界で言う植物状態になってしまいます。なので第1階層でサイトーの意識を保っておく必要がありました。
しかし計画を成功させるため、コブ達は作戦を進めます。コブたちは急いでロバートを誘導し、父親の暗証番号を聞き出そうとしますが、そこにも武装部隊が近づいてきます。逃げたコブたちは、さらに下の階層を目指し大型のバンに乗っていました。雨の中運転をし、敵は彼らの車を襲撃してきます。コブたちは急いで目覚めるため、バンを川に落とし、着水します。
第2階層、衝撃によりコブたちが目覚めると、そこはホテルの一室でした。コブはチャールズという名前でロバートに接触します。そして上手くロバートを誘導し、ピーターが裏切り者だという猜疑心を生まれさせるように仕向けました。
第3階層、そこは一面の雪景色、目覚めたところは雪の中に佇む要塞でした。ロバートの夢を防衛する部隊は、彼らを襲撃してきます。サイトーは胸の傷がどんどん悪化していき、動けなくなり命を失うのも時間の問題となります。コブたちが逃げようとすると、その目の前にがモルが現れ、ロバートを銃撃してしまいます。そしてロバートは死んで虚無の世界に落ちていきます。
作戦に失敗したコブは全ての作戦を終了し、強制的に現実世界に戻ろうとしますが、「設計士」アリアドネの提案で、第3階層とロバートの遺体はイームスに任せ、次の階層にいくことになります。
第4階層。きれいな海が見える浜辺、アリアドネがかつてコブの精神世界で見た風景で、そこはコブと妻モルが何十年と過ごした場所でした。モルは二人が過ごしていたその場所にいました。コブはモルにロバートを返すように言うと、モルは、コブがこの世界に残る事を条件に引き渡すと言います。しかしコブはそれを拒否します。
そしてアリアドネに頼み、ポーチにいるロバートを回収してもらいました。アリアドネに一緒に戻ろうと促されますが、死にかけていたサイトーが降りてくるかもしれないので、ここでサイトーを待つとコブは話しました。
インセプションの結末
第3階層に戻ったアリアドネとロバート。ロバートはそこで病床に伏せている父親と出会いました。父親はロバートを呼び寄せ、父親を真似たりせず自分らしく生きなさいと話します。そしてロバートは父親といると離れたくないと思うようになります。コブ達の作戦は成功に終わりました。
第4階層でサイトーを待っているコブ、その間コブはここに留まろうとするモルに語りかけます。モルにはコブの目の前で身を投げたシーンが焼き付いていました。だからコブは、そんなシーンを消し去ろうとして、この世界にモルと一緒にいたのです。しかしそんなことから決別し、サイトーを探しに行こうと思ったコブ、全ての世界が崩れていきます。
冒頭のシーンへと戻り、コブは潜在意識で漂い続けて年老いてしまっていたサイトーと再会し「若い姿でまた会おう」と促し、サイトーはコブの言葉を信じ、銃をこめかみに当てました。
目を覚ました彼らは飛行機の中でした。サイトーはすぐ様コブの犯罪履歴を消去するように手配しました。そして入国審査を迎えるコブ、一抹の不安がよぎりましたが無事入国することができました。
ラストシーン、コブは子供たちの待つ家へと帰ります。ずっと夢みていた子供達との暮らし。コブは子供達を呼び、嬉しそうに子供達の元へと歩いていきます。その前にコブは「トーテム」という夢か現実かを区別するためのコマのような道具を回します。
夢の中だと永遠に回り続けるというその道具、そのトーテムが倒れるか倒れないか、その寸前のところで映画は終わります。それが夢か現実かの解釈は観客にゆだねられました。
以上、映画「インセプション」のあらすじと結末でした。
「インセプション」感想・レビュー
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レオナルド・ディカプリオがあまり好きでないことから彼の出演した作品は軒並み敬遠していましたが、この作品によって思い込みだけで見る映画、見ない映画を決めてはいけないんだなということを分からせてくれた作品。
作品が多層構造になっており、それが見るものによっては難しく映るということを友人からいわれもしましたが私は気にせず見ることが出来ました。
コブの妻であるモロが短いセリフを繰り返して言うことに印象が強く残りました。 -
登場人物のキャラが立っており、テーマとしては重い部分があるにも関わらずユーモアもあり、テンポ良く鑑賞することができました。アーサーのスタイリッシュな雰囲気が印象的でした。ハンス・ジマーの音楽もとても良いです。
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他人の夢の中に入り込み、記憶を操作するというアイディアはそれほどユニークではないと思うが、そのアイディアを軸に、これほど複雑な話を創り映像化するのは並大抵ではないと思った。
たいていのハリウッド映画のような、明確な「正義vs悪」ではなく、登場人物それぞれがそれぞれの心に弱さや影を抱えており、それが物語のゆらぎや鍵やきっかけとなって進んでいくところがとても面白かった。
男性・女性や若さ・老いといった対比も印象的で、色々なシーンから様々なことを想起させてくれる。
夢の中の夢の中の夢・・・という入れ子構造になった人の精神世界に潜り込み、また浮き上がり、最後はハッピーエンドと思いきや、いい意味であれ?と思うものを残される。
何度も観たくなる、クセになる映画です。 -
私は女性なのでついモルの気持ちになってこの映画を見ていました。一回目に見た時は内容が良く分かりませんでした。あまりにも階層が深くて付いていけませんでした。ですので、何回も何回も後で見直しました。凄い映画だと大変感心し、今では一番好きな映画になりました。ラストがヤキモキ。どちらなんでしょう?一番印象に残ったのは、父と子の死に際のやりとり。親は、どんな時でも子供を信じてる。大好きなのさ。音楽も優良。何回も聞いてしまいます。
イケメン揃いなのに、なぜかミスが多い犯罪チームのメンバー達。しかしその為かそれぞれのキャラクターに親近感が湧き、楽しく鑑賞する事が出来ました。ケイパーものによく見られる、それぞれ専門的な役割を持った人々が集まるシーンでは、これから何が起こるのかとワクワクしました。そして、ロバートの夢の中に潜っていく犯罪チーム。第1階層の雨の中のシーンが、期待以上にカッコ良くて大変満足です。