黙秘の紹介:1995年アメリカ映画。原作は、スティーヴン・キングの長編小説「ドロレス・クレイボーン」。アメリカはメイン州の小さな島で暮らすドロレスに、富豪の未亡人ベラ殺害の容疑がかかる。ドロレスと長年疎遠だった一人娘セリーナは、その知らせを聞いてニューヨークから駆けつける。しかし、ドロレスは何かを隠していて、それは18年前に死んだセリーナの父親の恐ろしい秘密にも関係していた。「ショーシャンクの空に」と並ぶ、キング原作によるノン・ホラーの傑作。
監督:テイラー・ハックフォード 出演者:キャシー・ベイツ(ドロレス)、ジェニファー・ジェイソン・リー(セリーナ)、ヴジュディ・パーフィット(ベラ)、クリストファー・プラマー(マッケイ警部)、デヴィッド・ストラザーン(ジョー)、エリック・ボゴシアン(ピーター)ほか
映画「黙秘」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「黙秘」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
黙秘の予告編 動画
映画「黙秘」解説
この解説記事には映画「黙秘」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
黙秘のネタバレあらすじ:起
ニューヨークで新聞記者をしているセリーナのもとに、ある日、一通のファックスが届きます。それは、故郷の母親ドロレスが、殺人容疑で逮捕されたという知らせでした。フェリーに乗り、15年ぶりに母親の住む島へ降り立つセリーナ。事件担当のマッケイ警部は、ドロレスが、22年間メイドとして仕えていた富豪の未亡人ベラを、階段から突き落として殺したと言うのです。18年前、ドロレスの夫ジャックは、家の庭の井戸に落ちて死亡していました。夫殺しの容疑をかけられたドロレスでしたが、証拠不十分で不起訴となり、その事件を担当したのも、またマッケイ警部だったのです。彼は今でもドロレスが夫を殺したと考えており、再び起きた殺人事件に、今度こそドロレスを逮捕できると息巻いていました。いったん釈放されたドロレスは、セリーナと共に家へ戻ります。2人は夕食をとりますが、黙秘で通すようにとセリーナから言われたドロレスは、「私は殺していない」と言い切ります。父親を亡くして以来、母親と疎遠だったセリーナ。そんなセリーナにドロレスは、ジャックがどれほど暴力的な夫だったかを聞かせます。父親を愛していたセリーナは「思い出をぶち壊されたわ」と、母親に怒りをぶつけます。
黙秘のネタバレあらすじ:承
ドロレスの胸に、ベラとの思い出が蘇ります。大富豪の妻だったベラは、夫を交通事故で亡くし、島の豪邸に引っ越してきたのでした。使用人をこき使うことに容赦ないべラでしたが、ドロレスのことは気に入っていたのです。ある日、べラの豪邸を捜査中のマッケイ刑事が、ドロレスに衝撃的な事実を告げます。べラは、全財産160万ドルをドロレスに残していたのです。ショックを受けるドロレスですが、マッケイ警部は、それこそドロレスが犯人である証拠だと主張します。しかし、事実は全く違いました。ドロレスは、事件の日のことをセリーナだけに告白します。寝たきりのベラに付きっきりで看病していたドロレス。2人は毎日いがみあっていましたが、心の底では長年の深い絆で結ばれていました。ある日、ドロレスの目の前で、車椅子のベラが階段の下に身を投げます。悲鳴を上げて駆け寄るドロレスに、ベラは息も絶え絶えに「老いた自分が我慢できない。終わらせたいの」と言います。お願いだから殺してと頼むベラに、躊躇するドロレス。そこに訪ねてきた郵便屋に見つかったというのが、事件の真相だったのです。
黙秘のネタバレあらすじ:転
ドロレスは、さらに恐ろしい事実をセリーナに告げます。セリーナが13才の頃、ドロレスは、ジャックが実の娘にいたずらをしていることを知ったのです。これ以上夫とは暮らせないと思ったドロレスは、自分の貯金を下ろしてセリーナと島から逃げようと考えます。ところが、その貯金すらジャックがこっそり使い切っていたのです。屋敷での仕事中、泣いているドロレスを見たベラは、理由をたずねます。そしてドロレスから夫のおぞましい話を聞くと、静かにこう言います。「この世は男の世界よ。だから夫は事故で死ぬ。事故は、不幸な女の親友になるのよ」。ベラ自身が昔、愛人に走った夫を殺していたということを匂わせ、ドロレスにも、夫の命を絶つことを暗に示唆したのです。その日は皆既日食でした。ベラは、ドロレスを家へ帰します。「苦難を乗り切るには、性悪女になりなさい」と言うベラの言葉に従い、ドロレスはジャックを罠にかけます。皆既日食で辺りが暗闇に包まれた一瞬。庭にある大きな井戸の穴に、ジャックを誘導して落としたのでした。
黙秘の結末
ドロレスの告白を聞き終わったセリーナは、あまりのショックに凍り付きます。「今も昔も私にとって、お前の安全だけが重要なのよ」と言うドロレス。父親に性的虐待を受けていたという記憶がすっぽり抜け落ちているセリーナには、そんな話は到底信じることなどできません。翌日、セリーナはとり乱した気持ちのまま、母を残してニューヨークへ帰る決心をします。逃げるようにフェリーへ乗り込んだセリーナ。暗鬱な気分で海を眺めている時、いきなり過去の記憶の映像が鮮明に蘇ってきます。それは13才の自分が、同じフェリーに乗っている姿でした。幼いセリーナは無表情でベンチに座り、その傍らにはジャックがぴったりと寄り添っています。セリーナは、自分が父親に性的虐待を受けていた瞬間を、はっきりと思い出したのです。一方、ドロレスは審問の場にいました。弁護士を拒否した彼女を、マッケイ警部が追い詰めます。その時、急いで島に戻ったセリーナが入って来ました。マッケイ警部が書いた報告書が不完全であることを指摘し、母親の無実を断固主張します。そして、マッケイ警部が18年前の事件をまだ根にもっていることを暴露し、完全に立場が逆転したマッケイ警部はその場で黙り込みます。審問は、決定的な証拠がないという結論に達し、セリーナはドロレスを家に連れて帰ります。事件は終わったのです。その後、セリーナがニューヨークへ戻る日が来ました。「全て私のためだったのね」。そう言って、娘は母親を抱きしめました。
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