らせんの紹介：1998年日本映画。鈴木光司の小説を映画化した「リング」の続編にあたるホラー映画です。息子を失った男の周りの人間が、見た者を一週間後に呪い殺すという「呪いのビデオ」による謎の死を遂げていきます。やがて男はビデオの主「貞子」の目論む計画に巻き込まれていきます。
監督：飯田譲治 出演者：佐藤浩市（安藤満男）、中谷美紀（高野舞）、真田広之（高山竜司）、鶴見辰吾（宮下）、佐伯日菜子（山村貞子）ほか
映画「らせん」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「らせん」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「らせん」解説
この解説記事には映画「らせん」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
らせんのネタバレあらすじ：起
東京で監察医をしている安藤満男（佐藤浩市）は2年前に我が子の孝則を海難事故で失ってから人生に絶望し、自殺願望に取りつかれる日々を過ごしていました。そんな時、大学時代の友人だった高山竜司（真田広之）が謎の死を遂げたという知らせを受け、安藤は同僚の宮下（鶴見辰吾）と共に行政解剖にあたります。結果は心筋梗塞と判断されましたが、安藤は高山の胃の中から謎の暗号が記された小さな紙片を回収します。安藤は高山の恋人だった高野舞（中谷美紀）に会い、高山の死因はあるビデオテープを見たことによるものだと告げられます。そんな時、高山の元妻だった浅川玲子（松嶋菜々子）と息子の陽一が謎の交通事故で死亡したという知らせが入りました。
らせんのネタバレあらすじ：承
安藤は玲子の上司であるTVディレクターの吉野（松重豊）と会い、玲子が残した手帳と一本のビデオテープを渡されます。その一方で、安藤は高山の遺した暗号から「DNA PRESENT」というキーワードを読み取っていました。吉野から託されたそのビデオは、母を自殺で失い、父によって井戸に突き落とされ殺害された山村貞子（佐伯日菜子）の怨念がこもった呪いのビデオテープだったのです。半信半疑ながらも安藤はビデオを視聴、呪いがこもっていると実感するとビデオテープを何度も打ち付けて破壊します。そして安藤は、高山の遺した暗号の意味は、死にたくても死ねない自分に死をもたらす代わりにビデオテープをこの世から消滅させてほしいのだと思うようになり、自分が最後の呪いの被害者になるべく吉野からマスターテープを奪おうとします。吉野は貞子の件をテレビで放映しようとしていましたが、問題のビデオは見ていないと言います。安藤が吉野からマスターテープを受け取った直後、吉野は謎の死を遂げます。
らせんのネタバレあらすじ：転
マスターテープを破壊した安藤はこれで呪いは終わりだと思いました。そんな時、宮下から知らせがあり、高山の遺体から新種のウィルスが発見されたと言うのです。宮下は一連の死者の死因はこのウィルスにあると仮定、安藤は貞子のビデオを通じてそれが広まったのだと考えます。舞と対面した安藤は彼女の体を求めてしまいます。その直後、舞は貞子の幻影を見て失踪します。やがて安藤がビデオを見てから1週間が経ちましたが、安藤は死にませんでした。やがて舞は変死体となって発見され、遺体には出産した形跡がありました。
らせんの結末
なぜ自分は生き残り、ビデオを見ていないはずの吉野は死んだのか。安藤は今までの経緯をまとめ、自分が死ななかったのは貞子の呪い、すなわちウィルスの増殖に手を貸したこと、そして舞と交わったことだと気づきます。安藤の読み通り、貞子は舞の体を利用して復活を遂げていました。そして貞子の真の目的は、生きたまま井戸に突き落とされた恐怖を世間に伝えることでした。貞子は安藤に、死んだ安藤の息子を蘇らせることを条件に自分の受精卵を取り出して高山のDNAを組み込み、高山を復活させることを要求します。安藤は宮下に協力してもらい、計画を実行に移します。高山の遺したメッセージ「DNA PRESENT」とかこのことだったのです。かくして高山と安藤の息子は復活を遂げました。貞子は、高山と共に玲子の遺した手帳を出版して世に広めると告げ、安藤の元を去ります。それでも安藤は我が子が蘇ったことを喜んでいました。
映画の「リング」シリーズとしてはホラー描写の少ない異質な作品ですが、映画ではなく小説の視点から見ると一番原作の影響が残っている作品だと感じられます。愛しい我が子を蘇らせることは本当に残酷だったのかと、切ないラストシーンで問いたくなりました。貞子が魔性の女であることを再認識させてくれる映画です。