許されざる者の紹介:1992年アメリカ映画。妻に先立たれ、二人の子供を養う貧しい畜産家の男の所に一人の若者が尋ねてくる。若者は男に、ある町で娼婦達が掛けた賞金首の話をし、誘ってくる。男は古い仲間を誘いその賞金に挑むが、仲間は保安官に捕らえられ、責め殺されしまった。男には血生臭い過去がありその過去を忌み呪って居たが、人を人と思わぬ保安官達に、その夜だけ伝説の無法者に立ち戻る事を決意する。イーストウッドが監督主演をした西部劇の名作。
監督:クリント・イーストウッド 出演:ウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)、リトル・ビル・ダゲット(ジーン・ハックマン)、ネット・ローガン(モーガン・フリーマン)、スコフィールド・キッド(ジェームズ・ウールヴェット)ほか
映画「許されざる者 (1992年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「許されざる者 (1992年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
許されざる者の予告編 動画
映画「許されざる者 (1992年)」解説
この解説記事には映画「許されざる者 (1992年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
許されざる者のネタバレあらすじ:第1幕
美しい女性グローディアは、冷酷な殺人者にして無法者の男を夫にしました。彼女の母は嘆きましたが、和解する事無くグローディアは病死します。それから数年後、中西部のある町で事件が起こります。娼館に来ていた二人のカウボーイの内一人が、娼婦の顔に烙印を刻み入れたのです。保安官のビルが呼ばれます。事の発端は些細な理由でしたが、ビルはカウボーイ達を処刑せず、鞭打ちで済ませようとします。娼館の店主は商品を台無しにされたと怒り出し、ビルは仕方なく、カウボーイ達に馬を賠償に当てる約束をさせて鞭打ちもせずに開放しました。縛り首が相当だと娼婦達は怒り、蓄えを持ち寄り賞金を掛けました。マニーは二人の子供と共に畜産を営んでいました。そこに一人の若者がやってきます。スコフィールド・キッドを名乗る彼は、マニーが無慈悲で最高の人殺しだと聞いて尋ねてきたと言います。そして彼は、娼婦達の掛けた賞金首の相棒に誘いに来たのでした。温和な態度のマニーは、妻のお陰で酒を断つ事ができ、もう人殺しは出来ないと断ります。しかしマニーは破産寸前でした。娼館にカウボーイ達が約束の馬を持ってきます。張本人は憮然としていましたが、巻き込まれたもう一人は、被害者のディライラスに詫びの印として最高の馬を置いて、追い返される様に去って行きました。マニーは奥にしまっていた銃を取り出します。父の見知らぬ一面を垣間見た子供達は怯えます。そんな子供達に彼は、人を乗せたがらない飼い馬も、貧乏も、昔無法を働いた自分への天罰だと諭し、母さんが真っ当にしてくれたと語ります。マニーは古い馴染みのネッドを連れ、キッドを追いました。道中彼は、子供達の為に金が必要なだけであって、昔の自分に戻る訳ではないとネッドに言い訳します。昔を知るネッドは、過去を悔いる彼にお前はまともになったんだと言います。
許されざる者のネタバレあらすじ:第2幕
町に賞金稼ぎ達が集まって来ます。その中には、凄腕ガンマンとして知られるインギリッシュ・ボブも居ました。彼は自分の自伝を書かせる為に、文筆屋のブーシャンプを連れていました。賞金稼ぎがやってきて町は騒然とします。そこにビルが現れその姿を見たボブは驚きました。ビルは、悪名高い無法者達が恐れる保安官だったのです。ビルは、最も腕の立つボブを痛め付ける事で賞金稼ぎ達を萎えさせ、賞金を諦めさせました。町に向かうマニー達は、突然銃撃されます。暫くすると、出鱈目な方向を撃ち始め、二人は首を傾げます。撃って来たのはキッドでした。合流すると、彼はネッドを勝手に連れてきた事に不満を口にしますがマニーは無理やり了承させました。それにネッドが近眼である事も確認します。夜になり、ビルはブーシャンプの書くボブの伝記を読みます。その出鱈目な記述にビルは訂正せずには居られませんでした。マニー達が野営しているとキッドは彼等の武勇伝を聞こうとしますが、二人は口を硬く閉ざします。二人は逆にキッドに何人殺したかを聞き出します。キッドは5人殺したと自慢げに語りますが、二人は忌々しそうに寝入りました。ビルはブーシャンプに銃で撃ち合う事の難しさを説明します。そしてビルは試しに銃をブーシャンプに手渡し自分に向けさせますが、彼は何か得たいの知れない危険を感じ、引き金に触れもしませんでした。ブーシャンプは、試しに牢獄のボブに銃をゆっくりと手渡そうとしますが、ボブは手に取りませんでした。ビルはその目の前で銃の弾を抜きます。そして銃を手に取っていたら、殺して居たと告げました。嵐は酷くなり、マニー達は夜明けを待たず町に向かいます。ネッドはキッドが人を殺し事があるかをマニーに聞きます。彼はないと即答しました。町ではボブが釈放され、ブーシャンプはボブに見切りを付け、ビルの伝記を書く事にしました。それを見てアリスは、ビルが居る限り誰も賞金を狙いに来ないだろうと呟きます。
許されざる者のネタバレあらすじ:第3章
ボブと入れ替わり、マニー達が町に入ります。しかし、雨でマニーの具合は悪そうでした。改装中で雨漏りが酷い家の中、ビルは自分の武勇伝をブーシャンプに書き取らせます。そこに新たな無法者が町を訪れた事が報告されます。賞金の事を聞きに行ったキッドを待つマニーとネッドですが、マニーの具合はどんどん悪化しているようでした。彼は突然、昔殺した男を見たと言い出します。それはすれ違ったボブの見間違えでした。しかし、その時の死体が頭から離れないとうわ言を口にします。ネッドは逃げる様に娼婦の所に賞金の前借りをすると言い出します。マニーは妻に悪い付き合いませんでした。一人残されたマニーが目の間の酒に葛藤をしていると、ビルが店に入ってきます。ビルは町の決まり事だから銃を渡せとマニーに言います。マニーは銃を持って居ないと嘘を吐きます。ビルは銃を隠していたマニーを悪党だとぶちのめします。娼婦達は、ビルが来たのを知ってネッド達を逃がします。マニーは這って酒場を出て行きます。それを二人が拾い、教えて貰った隠れ家に向かいました。マニーの手当てをネッドが行います。キッドは反撃しなかったマニーを冷ややかな目で見ます。そのマニーは高熱にうなされ死の恐怖に怯えます。そして、過去の自分を決して誰にも話すなとうわ言を口にします。そんなマニーを見てキッドは、自分の方が殺しの腕が立つと嘯きます。ディライラスが看病していると、マニーが気が付きます。二人はカウボーイを探しに出ていました。回復したマニーに彼女は賞金の前借りをするかと聞きます。マニーはそれを断りました。ディライラスはそれを聞いて自分ではなく他の人だと言い訳をしますが、マニーは妻に操を立てていると説明し、もし相手を選ぶなディライラスを選ぶと答えました。カウボーイ達が牛を追っていると、突然狙撃を受けます。彼等は物影に隠れますが、狙われたカウボーイは馬を撃たれ、倒れた時に足を折って身動きがとれなくなっていました。マニーは狙いを外したネッドに止めを刺すように指示します。しかし、ネッドは苦悶の表情を浮かべ、ライフルをマニーに託します。ライフルを受け取ったマニーはカウボーイを狙い、急所を射抜きました。キッドはカウボーイが死ぬかどうかを聞きます。マニーは奴は死ぬと冷酷に告げました。苦しむカウボーイは水を求めます。マニーは彼の仲間に水を飲ませる事を許しましたが程なく彼は死にました。逃走を果たしたマニー達ですが、ネッドは抜けると言い出します。マニーは引き止めますがネッドの意思は固く、そのまま彼は帰って行きました。ビルにカウボーイが一人死んだ事が報告され、更にネッドが捕らえられ、彼の前に連れて来られました。残り一人のカウボーイを狙い、マニーとネッドは牧場に向かいます。マニーはキッドにもう一人を殺す事を指示します。キッドは、カウボーイが便所に出て来た所を躊躇しながらも至近距離から射殺しました。
許されざる者の結末
マニー達は、賞金が来るのを待っていました。その間キッドは落ち着かず、ずっと酒を煽り、自分が初めて人を殺したと告白します。そんな彼にマニーは、お前は確かに人殺しをしたと言い、キッドは人が死んでもう動かない事を嘆きます。マニーは人殺しは重大な悪で罪だと口にします。そこにディライラスが金を持ってやって来ました。ディライラスは金を二人に渡します。マニーが金を三等分すると数え始めると、彼女はネッドが死んだ事を告げます。ネッドの死を告げられ、マニー達は驚きます。彼女はネッドが拷問の末死んだ事を話し、その死体が娼館の前に晒されている事を言います。そして耐え切れずマニーの素性を話してしまった事も言います。ディライラスはその話に怯えていました。マニーが無慈悲に女子供を虐殺した事実を聞かされたのです。ネッドは死に際、マニーが復讐すると残したと締め括りました。今まで断っていた酒を飲んでそれを聞いていたマニーは、ビルが怯えない事も知り、キッドに銃を要求します。キッドはもう人殺しはこりごりだ、あんたとは違うと言って銃を渡しました。殺されたくないと分け前を放棄するキッドに、マニーは眼鏡を買えと分け前を与えます。そして殺さない、たった一人の友達だと告げました。夜マニーはキッドと別れ、一人娼館へ向かいます。ビル達は、1階の酒場で英気を養っていました。そこに撃鉄上げる音が聞こえ注目します。マニーは主人を名指しし、ショットガンを向け、ネッドを晒した報いと躊躇せず撃ち殺しました。ビルは非難し、女子供を虐殺したマニーかと聞きます。マニーは動く者は皆殺しにしたと肯定し、今夜お前を殺すと宣言し、銃の引き金を絞ります。ですが不発でした。好機到来のビルは素早く銃を抜きますが外れ、逆に別な銃を抜き返したマニーの弾が当たります。そして店内中のガンマンを相手に銃撃戦が繰り広げられましたが、残ったのは悪魔的に弾が当たらなかったマニーでした。他は死ぬか、逃げて行くかでした。店内が落ち着き、無事だったブーシャンプはマニーに色々聞こうとしますが、彼は適当にあしらってブーシャンプを追い出します。それを瀕死のビルは見ていて銃を取りますがマニーに見付かってしまいました。マニーは、悪党に殺されるとは嘆くビルに、お前こそ真の悪党だと言い返します。そして地獄で会おうという彼を撃ち殺しました。撃てば家族友人まで皆殺しにすると脅しマニーは外に出ます。マニーはネッドを埋葬し、娼婦を人間扱いしろと言い残し去って行きました。誰もが恐れ、怯えた目をした中で、ディライラスだけは別な目で彼を見送りました。グローディアの母親がマニーの家を訪ねた時、彼は既に西海岸に旅立った後でした。風の噂で商売に成功したとも聞きましたが、彼女は優しい娘が何故あんな人でなしと結婚したか、とうとう理解が出来ませんでした。
クリント・イーストウッドが主演と監督をつとめた名作映画です。ジャンルとしては西部劇になるのですが、派手なガンアクションはあまり出てきません。アクションよりも多少複雑な人間関係が話の肝となります。評価の高いクリント・イーストウッドの監督作品に興味がある人は、見ておきましょう。