富江 BEGINNING(ビギニング)の紹介:2005年日本映画。中毒性のある特殊な体質の美少女、川上富江。素性すら不明な謎めいた美少女は今日も男達を惑わせ、発狂させてゆく。この作品は富江シリーズの最初、富江(1999年公開)とリンクした作品。
監督:及川中 出演者:松本莉緒(川上富江)、今宿麻美(松原礼子)、水橋研二(山本健一)、菜葉菜(高山奈津)、森下能幸(高木教諭)、フジヤマ(権藤英治)
映画「富江 BEGINNING」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「富江 BEGINNING」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「富江 BEGINNING」解説
この解説記事には映画「富江 BEGINNING」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
富江 BEGINNINGのネタバレあらすじ:起
廃校になった母校の同窓会を訪れた松原礼子と山本健一。2人の回想シーンを交えて物語は進行します。ふと、礼子が教室に入る前に不審な格好の男が学校に侵入しようとする場面があります。同窓会の参加者は礼子と山本のみです。彼らのクラス3年C組はかつて不吉な出来事があって以来、クラスのみんなはバラバラに崩壊してしまっていたのでした。なぜ、ごく普通のクラスがこのような寂しい結果になってしまったのかが2人の回想から明らかになっていくのです。礼子は散々落書きされた机を見て呟きます。「あいつ、あそこに座ってたよね」。「あいつ」と言われる程、そのクラスメイトはいじめにでも遭って嫌われていたのでしょうか?
富江 BEGINNINGのネタバレあらすじ:承
その生徒、川上富江は転校生でした。長い黒髪に泣きぼくろがある可愛い女の子で、クラスの男子達はあっという間に彼女にメロメロになってゆきます。一方で女子からは富江は嫌われていました。気が強く奔放で勝ち気だけでなく、人が傷つくような事を何の躊躇いもなく言っては人を不愉快にさせたり、挑発的な態度をとるからです。そんななかで礼子だけはクラスの人間と関わる事をどうでもいいと思うような女の子で、富江に友達になろうと言われて彼女だけが唯一の友達になります。富江は礼子に「私と友達でいる事で他の子からいじめられると思うけど」とも付け加えます。そして、礼子に「転校する度に苛めを受けた。人が人を苛めるのは本能だ。人間は人が苦しむのが好きで、だからいじめる人は当然のことをしていて私は当然のことをされている」と冷静な持論を伝えました。そこへ、3人のクラスメイトの女子がやってきます。その一人、高山は富江の態度が癪に障ると富江に突っかかります。逆に富江は高山が片思いしているクラスの男の子の話題を口にし、彼女の怒りを買います。「右の頬を打たれたら相手の頬を差し出せと聖書にも書いてあった」と益々、強気な態度をとった富江。2人は互いの頬を平手打ちし合って喧嘩になってしまいます。男の子達は次第に気が狂ってゆきます。富江の写真を盗撮したといって権藤は井上にいちゃもんをつけて仲間と共に彼に暴力を振るいます。しまいには写真室へ行って昔ながらの方法で写真を赤い液体につけて現像させました。ふと、そこへ唐突に現れた富江に見られてしまいます。その写真には富江が燃やす前、化け物のような彼女の姿が写っていたのです。富江は盗撮されたことを知っても「こういうの慣れてるから」と言って写真を燃やします。富江は礼子と2人で川へ遊びにいきます。富江の性格はみんなから嫌われることを指摘した礼子に対し、富江は男はみんなバカだ等と言って相変わらず生意気な人の怒りを買う話し方をします。富江は礼子に「礼子って呼んでいいでしょ。私の事も川上さんなんてやめて」と、馴れ馴れしく話し掛けますが、礼子は悪い気はしませんでした。富江には礼子も魅了される何か不思議な雰囲気があったのです。2人の間に思春期の女の子特有の空気が生まれますが、この穏やかな平穏は長続きしませんでした。
富江 BEGINNINGのネタバレあらすじ:転
富江は自分に突っかかってきた高山達や自分に嫉妬を抱くクラスメイトに復讐を決意し、そのことを礼子に告げます。そして、権藤達、いじめっ子を使ってクラスの女の子に残酷ないじめを働くのです。高山はビニール袋を片思いしていた男の子に被せられながら頭を机に押さえつけられ、危うく窒息死するところでした。しまいには「うっとおしいんだ、お前死ね」と言われ、深く傷つきます。2人の女の子は保健室に無理やり連れて行かれ、富江特製のゴキブリ入り紅茶とカリカリになった芋虫をクッキーと称して食べさせられました。こうしてクラスの雰囲気も不穏なものに変わり、富江に逆らえばどんな酷い虐めを受けるか分からない環境とそれに従う男子がどんどん増えてゆきました。礼子と富江は学校帰りにクラスメイトの井上達に襲われます。井上とそのクラスメイトの男子達は富江に異常な執着と殺意を感じてしまい、富江を切りつけて片耳をそぎ落としてしまいます。そぎ落とされた耳が生きているかのように勝手に動いてゆく不気味な光景を礼子は目の当たりにします。富江は痛みで顔を歪ませつつも相変わらず強気な態度をとって男の子達を追い払いました。礼子は富江を家に連れて帰って手当をし、病院へ行くことを提案しますが、富江は今まで病院へ行ったら医者から話せない程酷い扱いを受けた。と言います。礼子が包帯を変えようと外すと、富江の耳が再生しているのです。そんな礼子に富江は言いました。「化け物だとあなたも思うでしょ。私、何百年も前からずっと化け物って言われてきた、でも本当に化け物なのは人間だと思う。私は寂しくなんかない。ずっと一人で生きてきた」富江に礼子は胸が詰まり、複雑な心境になりました。担任の高木先生さえ、富江に卓球台に縛り付けられて誘惑してくる彼女に、自分は妻子がいると抵抗します。富江は体操着姿で迫り、困惑する高木先生の元に唯一富江の存在になびかなかった山本がついに彼女の魅力に憑りつかれて高木先生と乱闘になってしまいます。高木先生は暴走する山本を押さえ、富江は冷たくその場を去ってゆきました。ある日、クラスメイト全員が富江を追い回し、山本が富江を崖から突き落としたのです。富江は礼子にも「死ぬってどういうことか分かってるの?知らないくせに。死ぬっていうのはね・・・」と言って息を引き取りました。その後、高木先生は富江の体を生徒達に解体させてクラスの人数分である38パーツに分けて持ち帰って捨てる事を指示しました。クラスメイト達は悲しんだり不快感を感じないどころか楽しんで解体し、富江の臓器を珍しがって仲間達とはしゃいでいたのです。礼子は唯一心がまともだったので、このおぞましい集団心理状況には参加せず、傍観していました。後日。富江が元通りの体で教室に入ってきたのを見て、クラスはパニックになり、クラスメイトの中には在学中に自殺した者や精神科に入院した者も後を絶ちませんでした。それでこの学校は廃校になったのです。
富江 BEGINNINGの結末
成人した礼子は富江はプラナリアのようだと言います。体を2つに分裂させると強力な再生力を持っているからです。富江は人間ではなく、プラナリアみたいなものが進化してできたのではないかとも言いました。山本は成人してからも富江の行方を求め、精神科に入院しました。富江がいなければ正常になれなくなった彼は自分の目を刺して、眼球を取り出すという異常な精神状態にあり、片目に眼帯をしています。彼が同窓会へ来たのも現在の大人になった富江に会う為でした。山本は異常なまでに富江に執着し、富江の居所を教えろと礼子に迫ります、実は礼子は富江の心臓を捨てておらず、冷蔵庫で冷やしながら保ち続け、今日の同窓会に持参していました。山本は礼子絞殺し、心臓を奪って教室を後にしました。そして、冒頭で現れた不審な男は、なんと、高木先生でした、教職を追われ、妻子にも見捨てられた彼もまた、富江しか視界に入らなくなっていました。彼は礼子の体を借りて再生して生き返った富江を刀で何度も刺し殺し、首を切断し、心臓を奪い去って狂ったように笑いながら逃げてゆきました。
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