出来ごころの紹介:1933年日本映画。キング・ヴィダーの「チャンプ」を見事に換骨奪胎した小津安二郎監督の下町人情喜劇。いわゆる「喜八もの」の最初の作品で、坂本武、飯田蝶子、突貫小僧の3人はこの後の小津作品で同じような役柄を演じ続けることになる。
監督:小津安二郎 出演:坂本武(喜八)、伏見信子(春江)、大日方伝(次郎)、飯田蝶子(おとめ)、突貫小僧(富坊)
映画「出来ごころ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「出来ごころ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「出来ごころ」解説
この解説記事には映画「出来ごころ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
出来ごころのネタバレあらすじ:起
下町の汚い寄席で、浪曲師が「紺屋高尾」の口演中です。大勢の客に混じって手振り混じりでそれに聞き惚れている1人の男。彼の名前は喜八。連れてきた小学生の息子・富坊は浪曲が退屈で眠っています。口演も終わり、隣人で仕事仲間の次郎とともに寄席を出ると、入り口のところで荷物を持ってボンヤリと立っている若い女がいました。喜八がその可愛らしさに惹かれて声をかけます。女はもじもじするばかり。喜八は富坊や次郎に注意されてしぶしぶその場を離れます。喜八と次郎は、ゆきつけの一膳飯屋へ。女将のおとめと冗談話を交わして帰ろうとしますが、店を出るとまださっきの若い女が同じ場所に立っていました。次郎がとめるのを振り切って喜八は彼女に再び声をかけ、なぜ立ちっぱなしなのか事情を聞きます。彼女の名前は春江。千住の製糸工場にいたというのですが、馘首の憂き目にあったのです。ほっとけなくなった喜八は、飯屋へ再び足を向け、おとめに彼女の世話を頼みます。おとめはとりあえず一夜の宿だけなら、というので承諾。
出来ごころのネタバレあらすじ:承
翌朝、喜八や次郎は近所のビール工場へ仕事に出かけ、富坊は小学校へ。喜八と次郎が飯を食いにおとめのところへゆくと、彼女は春江がすっかり気に入り、店の手伝いをしてもらっています。仕事が終わると、喜八はめかしこんでおとめの店へ。もちろん春江が目的です。しかし、春江の方はクールな雰囲気の次郎の方に夢中。富坊と一緒に彼の部屋へゆき、部屋の片付けまで始めます。そこへ帰ってきた次郎。甲斐甲斐しく世話をしようとする春江に対してひどく冷淡な態度を見せます。喜八が春江に惚れているのを知っているからでした。
出来ごころのネタバレあらすじ:転
やがておとめが「春江のことで話がある」と言って喜八の部屋にやってきます。自分と春江の縁談話だと勘違いして喜ぶ喜八ですが、おとめが春江の相手として考えていたのは次郎の方です。次郎を説得して縁談をまとめるように頼まれ、ガッカリする喜八。このことがキッカケとなって彼は工場にゆかなくなり、そのせいで息子の富坊までが同級生に虐められます。派手な喧嘩をする喜八と富坊。すぐに仲直りしますが、やがて富坊が食べ過ぎのせいで急性腸カタルに。その病院代が必要となって、次郎が顔見知りの床屋から借りてきます。
出来ごころの結末
おかげで富坊は元気になりましたが、借金を返すために次郎は北海道へ人夫として出稼ぎにゆくことに。しかし喜八は自分の息子のために他人を犠牲には出来ないと、次郎を殴って自分が代わりに船に乗り込むのです。船は出港し、千葉の辺りを過ぎますが、急に里心がでた喜八は無理やり船から海上へ。笑顔を見せながら岸まで泳いでゆくのです。
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