舟を編む(ふねをあむ)の紹介:2013年日本映画。出版社の隅に追いやられた辞書編集部の社員たちが「大渡海」という広辞苑レベルの中型事典の編纂にかけた10年以上もの作業と、その間に起こった人間模様を描く。大学院で言語学を学んだがコミュニケーション能力ゼロの若手社員馬締光也が、辞書作りを通して、コミュニケーションの大切さを知り、体現していく。
監督:石井裕也 出演:松田龍平(馬締光也)、宮崎あおい(林香具矢)、オダギリジョー(西岡正志)、黒木華(岸辺みどり)、渡辺美佐子(タケ)ほか
映画「舟を編む」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「舟を編む」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「舟を編む」の予告編 動画
映画「舟を編む」解説
この解説記事には映画「舟を編む」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「舟を編む」のネタバレあらすじ:起
時は1995年。出版社玄武書房の辞書編集部は立派な本社ビルの隣の古い小さなビルの中にあった。監修する高齢の国語学者 松本(加藤剛)の片腕ともいえる編集者の荒木(小林薫)が、定年と妻の病気を理由に部署を去ろうとしていた。荒木の他、若手の西岡(オダギリジョー)という社員がいたが、コミュニケーション能力には優れているが、辞書編集には向いていなかった。
荒木に代わる編集者を他部署に探しに本社ビルに行くと、宣伝部に馬締光也(松田龍平)という若手社員がいた。大学院で言語学を学んだオタク風の、コミュニケーション力など皆無の彼は宣伝部では使い物になっていなかった。荒木と西岡は馬締に「右という言葉を説明してみろ」と言うと、ぼそぼそと「西を向いたとき北に当たる方」と答える。彼の言語感覚に感心した荒木は馬締を辞書編集部に引き抜く。
「舟を編む」のネタバレあらすじ:承
今編集部では「辞書は言葉の海を渡る舟」という意味を込めた「大渡海」という中型事典の編纂作業(※資料を集め、それに手を加えるなどして書物の内容をまとめること。)を行っていた。編集部員は日々の生活の中で新しい言葉を耳にしたり、新しい使い方を耳にしたら「用例採集カード」に記録していく。松本は「大渡海」には、例えば若者の「ら」抜き言葉のように、間違った用法と断ってでも多くの人が使っているものは載せたいと考えている。これまでに集まった用例の見出し語で玄武書房の国語辞典に載っているもの、広辞苑にも大辞林にも載っているもの、片方にしか載っていないもの、いずれにも載っていないもの、に分類していく作業が始まる。助手の佐々木が、分類済みのカードをコンピュータに入力していく。
荒木は定年を機に部署を去り、編集の際に使っていた腕カバーを馬締に譲る。馬締は早雲荘という下宿で暮らしており、上の階に主のタケ(渡辺美佐子)が住んでいるが、タケが高齢のため、孫で板前修業中の香具矢(宮崎あおい)が同じ下宿に住むことになり、恋心を抱くようになる。放心状態の馬締に、松本は「恋」の語釈(※言葉の意味を説き明かすこと)を任せると言う。「そのためにもその恋をぜひ進展させましょう」と。編集部のみんなの協力もあり、馬締と香具矢はめでたく両想いとなる。
「舟を編む」のネタバレあらすじ:転
西岡は宣伝部の麗美(池脇千鶴)と付き合っているが公にはしていない。彼女から「大渡海」の出版を本社の上層部が取りやめるかもしれないという情報を得る。電子辞書の時代が来ているし、仕方のないことだと西岡は言うが、馬締の「大渡海」を作りたいという気持ちに押され、2人で局長に掛け合いに行く。辞書編集部で他の様々な事典(ファッション、健康、怪獣など)の編集もやってくれるなら、出版してもいいと言う。加えて西岡は宣伝部に移ることを命じられる。馬締は西岡と麗美を下宿の部屋に呼び、酒を飲みながら西岡が辞めることをとても残念だと語る。それを聞いた西岡は泣き始め、慰める麗美にプロポーズをする。
それから13年後、タケおばさんは亡くなり、結婚した馬締と香具矢が早雲荘で暮らしていた。妻を亡くした荒木が手伝いで編集部に戻っていた。またファッション誌の編集部にいた岸辺みどり(黒木華)という若い編集者も加わっていた。「大渡海」の出版は翌年の3月に決定しており、最後の確認作業に学生アルバイトもたくさん雇って、編集部の部屋はごった返していた。
「舟を編む」の結末
4校目の確認作業中に学生アルバイトが抜けている言葉を発見し、主任になっていた馬締に報告する。一つ抜けているということは他にも抜けている可能性がある、と馬締は自分の責任を認めながらも、社員とアルバイトにしばらく泊まり込みで見直しの作業をしてほしいと要請する。
ただでさえ出版時期にギリギリのスケジュールだったが、みんなの協力のおかげで、なんとか出版にこぎつける。監修の松本は、前年夏から体調を崩し、食道にガンが見つかって出版を見ることなくこの世を去った。
出版記念パーティーの会場の隅には松本の遺影が飾られていた。写真の前で間に合わなかったと悔いる馬締に、荒木は自分の元に届いた松本の遺書ともいえる手紙を馬締にも読ませた。そこには馬締の辞書編集者としての能力を認め、君たちに出会えてよかったという文章がつづられていた。しばらくして松本の納骨に立ち会った後とみられる馬締夫妻が、海岸で海を眺めているシーンでこの映画は終わる。
以上、映画『舟を編む(ふねをあむ)』のネタバレあらすじと結末でした。
この映画で松田龍平さんは一皮むけたような気がします。今まで確かに雰囲気のある役者さんでしたけどこの映画見るまではその良さがよくわかりませんでした。アクション要素なんていうのはほぼない映画ですけど人の感情や細かい仕草などや表情が素晴らしく良いです。松田さんじゃなければこの映画は成立してなかったと思います。最後の結末のところ悲しいんだけどスッキリとしていた感じになっていて見たこちら側も感動しました。この演技が認められアカデミー賞受賞されましたしこれからも注目の役者さんです。